第15話 ハイスペック姉さん

思ったよりも時間がかかってしまったがようやく家に帰ることができた。


「ただいま~」


「悠ちゃぁ~ん!!!おかえり!!よかったよぉおお!!!怖い人たちに連れ去られちゃったらどうしようかと…、って写真で見るよりも実物の方がイケメンすぎるぶふっ…」


「ちょっ!母さんまた鼻血!!俺の心配よりも、ほらこれティッシュ使って!」


帰って来て早々に母さんからの鼻血攻撃を喰らってしまったが、こんな時のためにポケットに入れておいたティッシュを母さんに渡した。俺は学ぶ男なのだ。

そして鼻を抑える母さんと共に家の中へと入っていく。


そこからリビングに戻った俺に対して、母さんから写真に一緒に映っていた吉野さんについて問い詰められ、なぜ写真を一緒に撮る必要があるのか、拡散されたらどうするのかなどと、軽くお叱りを受けた。


そのあとはただの担当してくれた人だよと誤解を解こうとしたが、何を言っても納得してくれなかった。

最終的になぜか母さんと写真を撮ることで今回の件についてはお許しをいただくことができた。


もしかしてただ羨ましかっただけなんじゃないかと思ったが口には出さなかった。



♦♢♦


買ったものを部屋にしまいリビングに戻ると母さんがご飯を用意してくれていた。


ご飯を食べながら今日あったことを母さんに話しつつ、二人が通っている天川高校について聞いてみることにした。


「ねぇ母さん。今日親切にしてくれた子たちから、天川高校にいる女の子は男性への耐性がある子が多いっていう風に聞いたんだけど、あとほかにはどんな学校なの?今、男性の先輩も通っているって聞いたからちょっと気になって。」


「あぁ、天川高校ね~。夕寧ちゃんもこの前まで通ってたんだけど、悠ちゃんの言った通りこの付近にある共学校のなかでも、特に男性が安心して通える学校っていう感じかな~。校内には男性専用の休憩室とか食堂なんかもあるのよ。一応前の悠ちゃんにも入学しないか聞いてみたんだけど、そのときは興味ないって言われちゃったのよね~。」


だから俺は16なのに学校に行ってなかったんだなと納得した。

当時の母さんは何か危ないことに巻き込まれるくらいなら、家にずっと居てくれても問題ないと思っていたそうだ。


全く、そのおかげで俺は恋人の一人もいなかったというのに。


「なるほど、でもやっぱりとしては学校に行っておきたいなぁ。どうしても人と関わらないで過ごすっていうのに耐えられないんだよね。」


俺としてはせっかくの高校生活を自宅で引きこもっているというのは耐えられない。

まぁこの顔になったからこそ、モテモテ生活を送ってみたいという下心でしかないんだけどな!


すると姉さんがある提案をしてくれる。


「なら、天川高校に編入できるか聞いてみようか?さっき母さんも言った通り、私の母校でもあるし、今日出会った2人も通っているから、もし通うなら悠としても気が楽だろう?」


「そうね〜。せっかく悠ちゃんが学校行きたいって言ってくれたんだし叶えてあげたいわ〜。それに夕寧ちゃんならその辺うまくできるだろうしお任せしちゃおうかしら。」


学校に通えるのはありがたいが、姉さんならうまくできるってどういう事なんだろ?


じーっと姉さんを見ていると、俺の言いたいことを察したのか、ふふっと笑った。


「悠の言いたいことはなんで私が編入に関してうまくできるかもしれないってことだろう?」


俺はこくこくと頷く。


「私は在学中ずっと首席だったんだ。それでそのまま卒業して天川高校からエスカレート式で大学へと進学したんだが、大学に通いだしてから、主席ということで目をつけられたみたいで、いろんな教授のサポートをすることになってな。その流れでなぜか理事長から呼び出しを受けて…まぁ細かいところは省くが結果的に連絡先を交換するくらいには仲良くなってしまったんだ。だからその辺の根回しなら私が適任だという訳だ。」


首席で卒業で、進学時から教授のサポート!?しかも理事長と仲良しで誰もが振り向く超美人とかうちの姉さんハイスペックすぎやしませんかね…。


「えっと?つまり、俺は天川高校の編入試験を受けれそうってこと?」

と尋ねると、姉さんは頷いて「悠が望むなら全力でサポートする。」と言ってくれた。


「そこまでしてくれるならぜひ受けてみたい。もちろん筆記試験も受けるし、あまりにもついていけないレベルだったら落としてもらっても構わないから!姉さんには迷惑かけるかもしれないけどいろいろとお願いします!」


「あぁ。わかった。悠は真面目だな、えらいぞ。まぁ、とはいってもほぼ編入できると思っていていいぞ。今日の買い物中の電話も理事長かのじょからだったしな。悠のことは話していたから何度も入学しないかと打診されていたんだよ。だから快く受け入れてくれるだろう。」


なんだそれ、めちゃくちゃ出来レースじゃん。まぁなにはともあれ、編入できそうでよかった?のかな?

あとは試験でひどい点数をとらないようにしないと…



勉強するため部屋に戻ろうとしたところで母さんに捕まり、イメチェンした俺との撮影会が始まるのであった。




ちなみに撮影会には姉さんも参加してきた。

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