第9話 出発!初めての美容院
チチチチ……
「ん…もう朝か…」
伸びをしながら起き上がる。
目が覚めるとそこは…昨日も見た光景と同じだった。
夢でこちらの御門悠がどうやって今まで過ごしてきたのかある程度見ることができた。なぜそんな夢を見たのかわからなかったが、結局見た内容はほとんんど家の中だったので大して意味はないのだが。
今日のことを楽しみにしつつ、着替えを終わらせてリビングへと向かう。
「あら、おはよ~悠ちゃん♪」
思ったよりも早かったのか母さんはもう起きていた。
「おはよう母さん」と朝からご機嫌な母さんがご飯を作ってくれたので食べていると、姉さんも起きたのかふらふらとボサボサの頭でリビングへとやってきた。
「おはよ~~。うぅ~ねむいぃ~」
呆れつつもおはようという母さんに続いて俺も挨拶する。
「おはよう姉さん。」
「うぁあ~あ。おはよう悠……ん!??え、あ。悠!?な、な、なんで。あ、そっか昨日それで…ああああああ!!」
そのまま叫びながらドタバタと部屋に戻っていってしまった。
いやぁレアなもんみれたなぁ。美人の照れ顔と寝起き姿は最高だぜ!
しばらくして姉さんが着替えて戻ってきたが、寝ぐせの一つもない完璧な恰好だったがさっきの姿を見られた恥ずかしさで、顔が真っ赤になっていた。
「う゛んんっ。あー、おはよう悠。今日は帰ってきたら一緒に美容院に行こうな。」
姉さんは頬を赤らめ、ニッコリと笑いながらさっきのことは忘れろと言わんばかりの圧をかけてくるのだった。
その後二人を見送り、家でゴロゴロしているとあっという間にお昼になっていた。
ごろごろしている間はずっとテレビを付けていたが、やはりというか映っているのは全員女性だった。
たまに流れてくる痴漢だ下着泥棒などの被害にあっているのは男性であることがすぐには受け入れられなかった。
「ただいま。何も変なことは無かったか?ちょっと遅くなってしまってすまない。すぐに出れそうか?」
「おかえり姉さん。すぐ出る準備するよー」
姉さんが帰ってきたので出る準備をする。適当にロンTにスキニーを履きジャケットを着て降りたところ、姉さんから無理やり帽子を被らされマスクをつけられた。あとピンは没収された。
今から行く美容院は『apricot』という名前らしい。男性をカットする資格をもった美容師が複数いて、今までに女性に触れられることへの嫌悪感が強かった男性がそこでは安心して受けられたと口コミに投稿したことがキッカケで男性の利用客が多く全国的にも有名らしい。
そんな話を聞きつつ窓の外を見てみると、どこを見ても女の人ばかり。ただその容姿に驚かされてばかりだった。
太っていてかなり不細工な女の人が少々、その他は全員美少女・美人しかいなかったのだ。
人の容姿に関してあまり口を出したくはないが、その中でも母さんと姉さんは間違いなくレベルが違うんだなと思いながら姉さんの方を向くと見すぎていたのか頬を赤く染めていた。
いや失敬失敬。身内に惚れてもいいことないからな。
などとしょうもないことを考えていると『apricot』と書かれている看板が見え、その店の前で数人立っているのが見えた。
「よし。着いた。車を停めてくるから先に降りて、吉野さんについていってくれ。あの店の前で待っている金髪のショートヘアの女性だ。彼女は私を担当してくれているから信頼しているが、もし危なくなったらすぐに逃げるんだぞ。」
姉さんは店の近くでいったん車を停めてお店の人に手を振っていた。
「了解~。ありがとう姉さん。それじゃ先に中で待ってるよ。」
車から降りると先ほど姉さんから紹介された吉野さんが近くまで来てくれていた。
「こんにちは!吉野 凛(よしの りん)といいます御門さんにはいつもご利用いただいており、今回はご指名をいただきました。ささ、ここでは目立ちますので店内へとご案内いたしますね。」
こりゃまた驚くほど美少女な人が出てきたなぁと思いつつ、連れられ店内へと向かう。
店内へと入る途中周りの人からすごく見られていたが、やはり男は珍しいのだろうか。
「前髪で隠れてるけどまじでやばいかも…はぁぁこんなかっこいい男の人初めてだよぉ。」
前にいた吉野さんが何か言っていた気がするけどきっと、インカムとかでなんか指示出してるんだろうなと思うことにした。
☆あとがき☆
思ったよりも長くなってしまいました…
短い文量で表現するのは難しいですね。ついつい細かいところまで書いてしまいます。
さて、ようやく新キャラの名前を出すことができました。
単発になるかこれからも登場するかはもう少し先の話を考えてからにしてみます。
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