第6話 これから

鼻血を洗い流してさっぱりしたところでリビングに戻ると、母さんは意識を取り戻したのか鼻にティッシュをつめて姉さんと座っていた。


「ごめんね。悠ちゃんいきなり鼻血かけちゃって。目の前が尊すぎてつい鼻血が出ちゃったの…」

「ううん。俺は大丈夫だよ。それよりも母さんこそかなり鼻血が出てた気がするけど大丈夫?」


俺の顔が血だらけになるくらいの量出ていたのだからかなりの心配事だが母さんは思ったよりもケロッとしていた。


「うん!お母さんは丈夫だからね!そこらへんの女の人よりも強いんだから!」


「ははは、それを言うならそこいらの男よりも強いとかでしょ。」


母さんも面白いことを言うなぁと自分にとってはなことを口にする。


「何言ってるの悠ちゃん。よりも強いわけないじゃない~。ふふふ」


ん??今母さんなんていったんだ。男が女よりも強いわけがない?


「あのさ、母さん。今男の人が女の人よりも強いわけがないってそういったんだよね?ちょっと気になったんだけど、俺が暮らしていた世界では男の方が力が強くて家族を養うっていうのが当たり前だったんだ。もしかしてこの世界では男女の立場が変わってたりするのかな?」


「え、うん。男の人は基本おうちからでないし、危ないことはさせないはずだから女の人の方が強いのよ。あと、立場が変わるっていうのはわからないけれど、悠ちゃんの言ったこととは逆で女の人が養うのが当たり前かな。」


「そう…なんだ。」

男の人が極端に少ないとは聞いたがいまいち信じられないな。家から出ないとは言うけど、まったくでないってこともないだろう。案外外に出たら普通に男も女もいるんじゃないだろうか。うーむわからない。

いや、わからないなら確かめればいいじゃないか!そうだお散歩にいこう!


「うん。よし、じゃぁちょっと散歩してくるよ。この世界がどんなとこなのか見てみたいし」


俺は軽い気持ちで外に出る支度をしようと動き出したところで二人から同時に腕をつかまれてしまった。

腕をつかみ無理やりソファに座らされてしまった。


「ダメ!!!絶対だめだよ!外に出たら悠ちゃん食べられちゃう!!!」

「そうだ!そんなことがあってはならない!悠のような男が一人で外に出るなんて自殺行為だ!」


ちょっと待ってよ。俺ただ散歩するっていっただけじゃないか。近いしいいにおいするし怖いんだけど!



「二人とも落ち着いてって。ただ外を散歩してくるだけだって。すぐに帰ってくるよ~」


俺のお気楽な態度に呆れつつも、中身が別人になったことを思い出した母さんは呟く。


「あぁそっか、今の悠ちゃんには常識が通じないんだった…」


誰が非常識だ。


「そうだったな。母さん、今の悠にも、以前のようにしっかりと外の危険性を教えるしかないようだよ。」


二人は俺の目をみながら真剣な表情で話し始めた。


ここで初めて俺はこの世界がただのパラレルワールドではないことを実感することになる。

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