第4話 打ち明ける
「俺は御門悠。年齢は24歳でIT系の会社に勤めていたんだ。黒髪短髪のツーブロックで顔も平凡だった。そんな俺でも彼女だっていたこともあったし、給料もそこそこもらってたから普通に生きていたんだ。」
俺が真剣な表情で話し始めると二人は黙って聞いてくれた。「彼女がいた」というところで過剰に反応していたことは言うまでもない。
「でも人とは違うところがあって、なぜか交通事故に遭遇する確率が人より多かったんだ。俺じゃなくて他の人が事故にあってるのを助けるってことばかりだったんだけどね。」
事故という言葉で顔を青ざめていた二人だったが俺が対象じゃないことでほっとしたような顔になっていた。
「でもある日女の子を事故から助けた後に、俺は事故に遭って多分、いや即死だったんだと思う。自分が事故にあうことはなかったから後ろからきている車にきづかなかったんだろうなって今なら思うよ。そして目が覚めたら部屋にいて、自分の顔が全くの別人になっていたことに気づいたんだ。」
今思うと即死でよかったのかもしれない。引きずられて意識がある状態を考えるとぞっとするしな。
「それで母さん、優花さんと出会って俺の名前と優花さんの名前を確認して俺は別世界パラレルワールドに来たんだなって受け止めざるを得なかったんだよ。」
俺に優花さんといわれた母さんは一瞬照れた顔をしたがすぐにうるうるとした今にも泣きだしそうな表情へと変わっていった。
「さっき夕寧さんとも会って、ほんとはこの世界の御門悠として振舞おうとしたんだけど、この世界の俺は思春期だったのか夕寧さんにも優花さんにも酷い態度をとってたことがわかって、嘘をつきたくなかったんだ。これが俺が二人に話さなくちゃいけないことだ。ちょっとの間とはいえ嘘をつこうとしてごめんなさい。そしてこの世界の御門悠を奪ってしまってほんとうにごめんなさい。」
この世界にやってきたことを言い終わり、今まで二人と暮らしてきた俺を奪ってしまったことを謝罪した。
夕寧さんは困惑した顔でこちらをみており、優花さんはずっと俯いたままだった。
無理もない。2年ぶりに会った息子の中身が別人になっていました。なんて受け入れられることではないだろう。
俺はここでどんなことを言われようと受け入れる覚悟はできている。決めるのは二人だからだ。
顔を上げた優花さんはすごく優しい顔をしながら俺に近づき抱きしめてくれた。
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