第3話 本当のこと
「お母さん。悠の様子はどうだ――って悠!!!?」
リビングで待っていた夕寧姉さんが口をパクパクしながら俺の名前を叫んでいた。
うん。まぁこっちの世界だと2年ぶりならそりゃそうだよなぁ~なんて思いつつも、久々に会った姉さんに対して懐かしさを感じる。
前の世界に比べてこっちの姉さんは胸が大きいし美人になってるけど。
「うん。久しぶり?でいいのかな夕寧姉さん。しばらく見ない間にすごくきれいになったね。」
「えぇっ//あ、そのあ、ありがとぅ//じゃなくて、なんで部屋から出てきたの!?あんなにも顔を見るのもいやだって言っていたのに……」
うぇ?そんなこといってやがったのかこっちの俺は。いくら思春期だからって身内にそんなこといってひきこもるなよ。
はぁ。っと心の中でため息をつきつつ適当な言い訳でもするかと、口を開こうとした。
いや、待てよ。嘘つく必要ないよな。こっからボロが出て心配かけるくらいなら信じてもらえるかわからんが本当のことを言うべきなんじゃないのか。
「どうしたの悠ちゃん?どこか体調でも悪いの?」
隣にいた母さんが心配しながら顔を覗き込んでくる。
あぁもうどうにでもなれ。こんなにも優しい母さん、姉さんを騙し続けるのは俺には無理だ。
「えっと、別に体調は大丈夫。ごめんね心配かけて。二人には話しておかないといけないことがあるんだ。」
心配してくれた母さんに微笑みつつも、俺は自分のことを話しはじめる。
「俺は御門悠だけど、この世界、今この顔をしている御門悠とは違うんだ。」
急な俺の発言に母さんたちはぽかーんとしている。
「えっと、悠ちゃん。本当に体調が悪いんじゃないの?あ!そっかさっきの夢の続きでも見てるのかなぁ。ふふ、悠ちゃんったらお寝坊さんなんだから」
「そうか、悠はまだ寝ぼけているんだな。じゃ、じゃぁお姉ちゃんが膝枕をしてやろうか。初めてだが優しくするぞ!」
突然の意味不明な発言に二人は俺が寝ぼけているのではないかと思ったようだ。
そりゃ2年ぶりに話したのにいきなり別世界の人間なんだ☆とか言っても信じるわけないよな。俺だってそう思う。
でもここではっきりしておかなければいけない。今後のためにも。
「違うよ。俺は真剣なんだ。今から話すことを聞いてそれでも嘘だと思うならそれはそれでいい。でもまずは聞いてほしい今ここにいる俺が誰なのかを。」
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