お金

 お金は大事です。

 

 うちの次女まゆ(仮名)は、小学校5年生の時に、

「生きていく中で、いちばん大切だと思うことを書いてください」

という授業で、

「お金」

と書いて先生を困らせた子です。

「お金は確かに、確かに大事です。でも、お金じゃ買えないものも世の中にはあると思うんです。まゆさんと話し合ってみてください」

と、担任の先生から電話が来ました。どうやら、「お金」なんて書く子は、優等生ばかりの学校にはおらず、うちの個性あふれる娘だけだったようで。


 でも、担任の先生は、その後、「本音」も吐いたのです(笑)。

「全校生徒が半紙に筆で書いて、張り出すんですよね。だから、一人だけ『お金』って張るのもちょっと……ねぇ(笑)。正直、困ってしまって。本人がどうしても、って言うなら仕方ないと僕は思いますけど」

 先生、正直でいいな(笑)、と思って、娘を説得し、お前の言いたいことはよくわかるが、先生を困らせるな、と、笑いながら「友達」とかなんとか、綺麗事を書かせた覚えがありますが。



 私の両親は商売人です(父は亡くなってしまったけれど)。だから、常に、気付いたことを何か商売に結び付けられないか考える癖があるのですね。常にお金のことを考えているので、その考え方が、娘に飛び火したのかもしれないですね。


 私は、お金は大事だけど、必要以上に持っているとロクなことがないと思っています。が、物欲がなく、浪費癖もなく、ギャンブル要素のあるものには一切手を出さないので、勝手に貯まっていくんですけどね。


 そんな私は、最初から商売には向いていないと親に思われたらしく、

「お前は、うちの仕事のことに口を出すな。わからなくていい。」

と、父親に言われました。

 父親は婦人衣料、宝石、バッグ、寝具、着物、服地などのおろしの仕事をしていました。(所謂いわゆる問屋さんです。)母はブティックを。

 かなり大きな額のお金が動いていたと思うんですが、父と母とは、暗号のような言葉で金額を言うので、関わっていない私には全くわかりませんでした。


 弟(長男)は、父の会社に入りましたが、私は全然違う道を選びました。と言っても、まあ、父親に決められた道だったんですけどね。

 銀行とかではないんですが、まあ、一応金融機関に分類されるのかな。私は税理士さんを通しての中小企業相手がメインだったのですが、そこでも、大きなお金が動きます。それこそ、父や母の比ではなく、年間で億単位。

 でも、なんていうか、所詮しょせん他人様のお金です。それに数千万円単位になると、流石に銀行さんに同行してもらうので、実際のお金は目に見えません。

「これだけあったらいいなー」

とか、思ったことがないですよね。

お金数えながら、それがお金だという意識よりも、大切な契約の証、みたいな感覚でした。


 結婚後、会社を辞めなければならなくなり、私自身の収入はなくなります。それでも、十分な生活費を配偶者から貰えれば、問題なかったのですが……。

 生活できないくらいの生活費。私の貯金を切り崩すより仕方がなくなります。


 私はお金の苦労を知らずに育ってしまっていたんですね。十分なお金がないと、人は生活できないのだと、この時、初めて実感しました。


 生きていくのに必用なお金プラス、臨時で出ていくお金は、最低限必要なのだと思うようになりました。


 元夫は、ギャンブル色のお金をいつもポケットに入れていました。汚いお金を。遠くまで行って帰る時にでも、列車の入場券だけ買って、東京まで平気でそれで帰って来て、そこから何事もなかったかのように定期を使って帰ってくるという、「泥棒して節約」した汚いお金も入っていました。


 お金って全部同じに見えるけど、どんなお金かによって、綺麗か汚いか、何色をしているか、わかりますよね。



 実は今、とても私を悩ませているお金がありまして。義母様の入院保険金なんですけど、契約金額通りに支払われていないんです。私の計算の1/4以下です。何故こんな計算になるのかわからない。

 でも、郵便局に聞きにいっても、多分、所詮嫁は他人だから教えて貰えない。それどころか、どんだけ金にがめついんだ、と思われてるかもしれない。

 貰って当然のお金を貰ってないことで、私が質問することのどこが悪いのかわからないです。



 こんだけ、お金、お金、お金って書き倒しましたけど、結局、私って、お金に執着しまくってるんですかね?


 非常識なんですかね?


 私には、理解できないです。

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