怖い話②(蒼翁さんリクエストによる)

 思い出した話を一つしましょう。


 高校時代だったでしょうか。

 

 私には弟が2人おりまして、私達姉弟は、二階の2部屋を使っていました。弟たちは、私の隣の部屋を、二段ベッドを置いて、2人で自分たちのスペースを上手く作って住んでおりました。


 ある日、階下に用事があった私は、自分の部屋を出て、階段に向かう時、弟たちの部屋のドアが開いているのに気付きます。もー、いないなら閉めろよ! と思いながら覗くと、弟の背中。向こうを向いたまま、こころなしか猫背気味のうつむき加減で正座しておりました。

「あ、なんや、おったんや」

との私の声に、弟は背中を向けたまま頷きました。


 漫画でもよんでるのかな、と、特に気にもしなかったのですが……


 階下に降りると、上の弟がいて、話をしているすぐ傍に、台所からやってくる下の弟。


「へっ? あれ?」

姉の驚いた顔に、

「何?」

弟たちが尋ねます。

「いや、今、どっちか2階におらんかった?」

弟たち、顔を見合わせ、

「いや、ずっと下におったけど、何?」

と、答える。

「上に一人おったが。友達とか来とる?」

「来とらん来とらん。いや待って、何それ??」

「丁度あんたらくらいの男の子がおって、声かけたらうなずいた。」

「いやいやいや、誰もおらんって!」


 確認しに行けという姉。無理無理無理、やめてやめて、という弟。ちょっとした騒ぎになりつつ、みんなしてそ〜っと見に行きましたが、誰もいません。

「誰か入ってたんかな? 嫌やな」

「いや、全部鍵かかってるよ……」

「……」

「……」

「……」


…………。

真下は仏間です。何か通ったのかもしれませんね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る