私だけのヒーロー

にーりあ

私だけのヒーロー

なぁ。ちょっちきーて?


なんかさぁ、タカがいってたんだけど、魔王を倒すためには装備を集めないととかで?


今いる街にその装備の一つがあるらしいんだけど、りーちゃんはそんなものないっていってんだよね。


とりま儂っちとしては? 正直どっちでもいいんだけど、りーちゃんが「レベル上げ優先です」って言ってきかなくてさ。


んで、せっちゅーあんてきに? じゃあ儂はレベル上げして、タカは情報集めて、わかったら合流しようぜってことになったわけ。


儂っちはレベル上げすりゃりーちゃん満足だし? タカにはアイテム手に入れる手伝いすればおkだし? 丸く収まんジャネー的な?


「わかりました。では、私は情報を集めてきます」


って、タカはそう言って、別れたのよ。


それから何日経ったかなぁ。結構儂のレベルも上がってさ、儂もタカも同じ宿屋使ってたからいっつも顔合わせてたんだけど、あいつなんかきょどーがへんなんよ。


どした?ってきいたら


「ツヨシさん。魔王とは何なのでしょう」


とかいいだして?


うぇいうぇいタカどしたのよ? 装備みつかったん? ってきいたらさ


「はい。南に魔王を倒すのに必要なアイテムを守る【ウロツク鎧】という魔物がいる情報を得ました」


っていうから、じゃあそいつサクっとたおすんべ、っていったわけよ。


したっけ


「しかし、私は北の魔法使いを倒さなければなりません。悪の魔法使いがある少女に呪いをかけていて、私はそいつを倒さなければならないんです」


って、超深刻顔すんの。


そゆことなら、どっちもやらいいんべって儂ゆったんよ。


したらあいつ急にムキになって


「ダメです! 一刻も早く悪の魔法使いを倒さなければ! そうしなければ僕は少女の「私だけのヒーロー」になれない! 僕は一刻も早く彼女を助けて少女のヒーローになってそれで――」


「そいつは放っておきましょう勇者。私たちはレベル上げです! あなたはどうぞお一人でタカユキ。どうぞどうぞお行きくださいさぁはやく! 今すぐに!」


何が言いてーかよくわかんねータカと割って入ってきたりーちゃんのバトルがはじまっちって、儂っち困りまくりんぐ。特にりーちゃんの怒りが半端なくて「このド変態が!」「性犯罪者予備軍!」「女の、いや人類の敵!」とかくっそ口悪ふえぇぇはぅあうぅふぁぁぇぇん状態。


結局タカはダッシュして次の日は返ってこなかった。


はぁ、しょうがねぇなもう。じゃあここでのレベル上げのおさらいで、みなみの【ウロツク鎧】とやらでも探してみますか。


ダチの手伝いすんのもオトコってモンでしょ。






 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




ちょいパーナイ! パーナイきいてみそ?


マジウケることあったさ。


なんかやべーヤツ出てきた! マジデ!


この前さ、ウロツク鎧がどーとかゆったじゃん?


まぁ儂っちもいつも同じようなの相手にしててもツマンネーし、気晴らしかねて?  兼ダチの友情あっためーの? 的に? 南いってみたんよ。


したっけ、そのウロツク鎧ってのがすっげーわかりやすくいたわけ。小高い丘で行ったり来たりしてんの。


あれぜってー待ちくたびれてたな。見つけられたがってたもん。しきりにこっち見つけてからは、体プルプルしてアピってた。ちょいあいつマジかーって具合。マジ動画にとりてかったー。


でさ、いつまでやんのか見てよーって思ってたんだけど、りーちゃんが

「さぼらないでください。時間は有限です」

とかせっつくから、ちょいもったいなかったけどサクッと倒したわけ。


そしたら――


「あぁ! 私の勇者様! 私だけのヒーローは本当にいたのだわ!」


って、なんかきた。


すげえ綺麗なフォームでなんか喚きながらこっちに走ってくる子供っぽいなんか。


しかもよく見たらその後ろには、少女を追っかけるタカもいた。


は?


なにしてんのおまえ?


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