第3話 あばよ

 田原さんはもの凄い勢いでぼろぼろのTシャツを太陽に向かって扇ぐ。しかし、一向に効果はない。それもそのはず、ちぎれたTシャツをいくら扇いだところで意味はないし、真空では風も起きない。そのことに気が付いた田原さんは、Tシャツを木星の方向に投げ捨て、水泳のバタフライのように、自らの肉体でダイナミックウェーブを起こし始める。


「うおりゃああああああっ!」


 すると――あまりの激しい背筋運動に宇宙空間が呼応して、大きく時空が歪み始めた。漆黒の宇宙を埋め尽くすダークマターを震わせて、小さなブラックホールが出現。


 きっと、田原さんはこう言ってるんだ。


「俺は24時間、のんすとっぷだぜ!」


 決め台詞とともに、次々と発生した小さなブラックホールが太陽目掛けて飛んでいく。それはまるで、闇を照らす暗黒魔法のようだった。




 きれい……。




 そう、睫毛が、熱く、濡れた。




 太陽フレアは無事鎮火されて、再びうまいことステーション号は田原さんを回収し、勇者の帰還となる。

 激戦後の姿は筋肉むきむき。もちろん、大胸筋はいきり立ったカンガルーぐらいに盛り上がっていた。再び、下腹部に熱い小宇宙こすもを感じてしまう。


 クルーの大歓声とともに田原総一朗は、にっと薄く笑った。


「いいかい、一番大事なのは好奇心。これだよ、コレ」


 やれやれといった風に肩をすくめて、わたしを見つめる。


「おじょーちゃん、もう俺が言いたいことはわかるよな」


「は、はい。小林勤務さんにメッセージですよね?」


 おうっと一呼吸置いて、


「『田原総一朗』って名前使うならタブーはなし。タブーをエスプリに変えてこそ、真の二次創作だよ。まさか、最後は宇宙で戦うとは思わなかったぜってな」


「は、はいっ!」


「あばよ」


「あ、あの、わたし、三度も助けられてお礼もなにも……」


「礼なんていらねーよ」


「で、でも、わたし……」


「何度も言うけど、俺が好きなのは********だけだよ」


「そんな……。せめてヒントだけでも」


「ギャグが好きなら、の名前になるし……。まあ、最後までお楽しみってとこだな。実名はNGっていうルールは守らないとな」


「わ、わたしじゃだめですかっ?」


「そうだな……。そんなに俺がいいなら、ちゃんと勉強して有名な学者になる方が早い」


「つ、つまり」


「世界を変えるのはいつだってペン。でも剣がなければペンも振るえないってことだ。いつか俺とカクエちゃんで討論しようぜ。朝まで寝かせねーよ。色んな意味でな」


「は、はいっ」




 ファイナルバトル――劇終



~エンドロール~

〇主演:田原総一朗

〇原案・脚本・照明・撮影・技術・衣装・監督:小林勤務

〇提供:カクヨム

〇SpecialThanks:

・ヤリサ―軍団ANSの皆さん

・彦根動物園の猛獣飼育係の皆さん

・国際宇宙空間ステーション号の皆さん

・読者の皆さん

〇創作意図:超絶バトル×エスプリ×田原総一朗=最強。


 番外編(フードバトル) PART4につづく


 https://kakuyomu.jp/works/16816927862746382648


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田原総一朗VS宇宙の脅威。ちっちぇ地球で争ってんじゃねえ。超絶バトルの開幕~PART3~ 小林勤務 @kobayashikinmu

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