静かな怒り

 店内の整理中、店長が帰って来た。

「ただいま」

「おかえ…り」

 本を並べていたシュクの手が止まった。

「……それ…」

「ん? 入荷しました~。という訳で、この箱の中身も分類頼めるかな」

 その言葉を聞いて、シュクはちょうど持っていた本を構えた。

 静かに近付き、標的を射程距離内に収める。


「売れてもないのに仕入れるんだ?」

「新しく入った物の方が売れるかも知れませんよ」

「分類って言うけど、この店に溜まってる未分類の本、何年分か把握できてる?」

「溢れ出したのは――」

 宙を仰いで指折り数える。

「――店を構えて半年位かな」

  バシッ

 柔らかな笑顔に硬い表紙が直撃した。

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