メイドと旅立ち

 パスタを食べ終えたら、食後にジュースを出してくれた。


「お父さん、ボク達ね、精霊の里に精霊さんに会いに行くことになったんだ!」

「何? 魔女さん、何故だ?」

「アレクシアの魔力の暴走をさせないために、精霊の助けが必要なんだ。長旅になるがアレクシアのためだ、許可してやってくれ」

「そうか、分かった。それなら仕方がないな。準備する。その感じならアレクシアも行きたいんだろ?」

「うん! 精霊さんとお友達になりたいんだ!」


 どうやらクロヴィスさんの許可も取れたようだ。ジュースを飲み干し、旅に必要なものの準備をしようとしている。ヴァレリーさんとも相談して、必要なものを考えてくれている。食料なども私たちの分まで用意してくれている、本当にいい人だ。


 相談を終えた後、私たちは一端家に帰ることになった。私たちの方も準備がある。帰りも私はヴァレリーさんに抱っこされた。


「そういえばアレクシアの前では興奮しなかったね」

「流石に人の子だからね。エマはアタシの子だからいいのさ」

「その割には会った時から興奮してた気がするけど」

「エマはアタシのタイプだから、仕方が無いだろう?」


 自分の性癖が周りにどう思われるかは理解しているらしい。アレクシアは被害に合わなくて済みそうだ。それは良かった。私がヴァレリーさんをコントロールすればこの人は優しい人だ。一応面倒を見てもらっているわけだしあまり否定しすぎるのも良くない。

 家に帰った後、私はヴァレリーさんに連れられて、家の地下への階段を降りていた。私が学園に行くときに保護者をどうするかという問題を解決する方法がここにあるらしい。

 地下は暗くて、少し埃っぽい。ヴァレリーさんが蝋燭に火をつける。そこには黒い髪を伸ばし、メイド服を着た美しい女性が眠っていた。


「ヴァレリーさん、この人は?」

「もう、お母さんって呼んでって。こいつはグレース・レアンドル。人形さ」

「人形?」


 ヴァレリーさんの話では、グレースさんはヴァレリーさんが王都から逃亡した後、ヴァレリーさんのお世話をするために作られたメイドらしい。数年によってヴァレリーさんのお世話をしてきたが、体に怪我を負って眠っていたそうだ。それを今私のために起こすらしい。

 ヴァレリーさんにがグレースさんの額に手をかける。するとグレースさんの額から紋様のが浮かび上がった。少しして、グレースさんが目を覚まし、起き上がる。


「おはようございます。ヴァレリー様。そちらの子は? ヴァレリー様のお子様でしょうか?」

「いや、異世界から来た子だ。エマと言う。魔力があるからアタシの子として学園に通うことになる。グレースにはその時一緒について行って欲しいんだ」

「そうですか、分かりました。直ちに準備を致します」

「いや、その前に精霊と契約するために精霊の里に行く。出るのは明後日だ」

「分かりました。エマ様、これからよろしくお願いいたします」

「はい、グレースさん。よろしくお願いします」

「わたくしはメイドです。グレースと、言葉遣いも丁寧でなくて構いません」

「分かったよ、グレース」

「はい」


 その後、グレースに細かい説明と旅の支度を終え、眠りについた。明日も準備の続きだ。


 明後日、早朝から私達は村に来ていた。


「師匠! エマ! おはよう! そっちの人は?」

「メイドのグレースです。わたくしも旅にお供致します。よろしくお願いいたします、アレクシア様」

「そうなんだ、よろしくね! ボクも準備は終わってる。お父さんに行ってきますもしたよ。じゃあ行こっか、エマ!」

「うん!」


 私たちは、精霊の里に向かって旅立った。


ー-


作品を読んでくださりありがとうございます。

少しでもこの作品が面白いと思いましたら、ぜひ作品のフォローやご評価頂けると嬉しいです。

作者が思い付きで書いている作品なので、話の矛盾や誤字脱字のミスがありましたらご指摘ください。感想なども待っています。

初めて投稿しましたが、いつも応援して下さる方の名前は自然と覚えますね。

これからもこの作品を宜しくお願いします。


20時過ぎにもう一話投稿します。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る