ロリコンの義母ができました

「あなたは、何ていう名前なの?」

「エマだよ、よろしくね。」

「エマちゃんだね! よろしく!」


 アレクシアは笑顔で私の手を握ってくる。かわいい。


「魔女さん、食材の対価だがな、実はアレクシアには魔力があることが分かってな。うちの子は八歳だからあと二年後には王都の学園に行かなきゃならねえ。そこでうちのアレクシアに魔術を教えてやって欲しいんだ。魔女さんに教わっときゃあ安心だからな」

「そういうことね、分かったよ、引き受けよう。エマも昨日魔術に興味があるって言ってたからね、一緒に教えようか」

「ほんとう? 魔女さん、ありがとう!」

「ああ、これからアタシの事は師匠って呼びな、エマはお母さんってお呼び」

「ちょっ、なんで?」

「この話は二人でしたいね、アレクシア、ちょっと離れるけどここで待っていてくれるかい?」

「うん! 分かった!」


 アレクシアは笑顔で返事をし、父親のもとへ離れていった。ヴァレリーさんはそれを確認し、話を続ける。


「エマにも魔力があるからね、学園に行くことになる。その時に保護者が必要なのさ。エマはこれからエマ・レアンドルだ」


 ヴァレリーさんの話では、魔力をもつ子供は十歳になると学園に通わなければならないらしい。主な理由としては、己の力の正しい使い方を学ぶこととその力を使える仕事先を紹介するためだそうだ。

 裏の理由としては、王国の脅威となる可能性のあるものを先に把握しておくという目的もあるそうだ。

 その学園の準備の時に保護者の同伴が必要らしく、そのために私をヴァレリーさんの子供にしようという話だった。そんな理由なら断るわけにはいかないから、形だけは了承する。する……。だけど、


「お母さんも王都にくるの? 大丈夫?」

「いや、アタシは行けないから。 でも、そこは何とかするさ。その話は帰ってからしよう。今は魔術の勉強だ、アレクシア!」

「はーい!」


 ヴァレリーさんは王都に父親がいるから王都に行くのは嫌なはずだと思って聞いてみたらどうやらあてがあるらしい。

 ヴァレリーさんと話し込むため一時離れていてもらったアレクシアに声をかける。それから魔術の勉強が始まった。


「勉強といってもエマはまず自分にある魔力を知覚することから始めないとね。アレクシアは自分の魔力、あと属性も分かるかい?」

「うん! 光と風、あと火属性に適性があるって! すごいでしょ!」

「ほう、三属性に適性があるのか。光まで。すごいな」

「えっと、属性って?」

「魔力には火、水、風、土、雷の基本属性。光、闇の希少属性。無の固有属性がある。光と闇は適性を持つ人が少なく、無は誰もが持ち、人によって異なる力を身に着ける。身に着けれない時もある。アタシの場合は錬金術だ」

「いろいろあるんだね」

「そうだ。エマの魔力を起こすと同時に適性がある属性を調べる。両手を出してくれ」


 私はヴァレリーさんに言われた通り、両手を差し出す。すると、ヴァレリーさんは私の手を握ってきた。ヴァレリーさんは目をつぶり、集中しだしたため、私もそれに倣って目を閉じ、繋いだ手に集中する。

 繋いだ手から何かが流れてくるのを感じた。左手から入って右手から出ていく、ちょっと痺れるような、でも痛くない、そんな感覚。


「何か感じたかい?」

「はい、ピリッときました。」

「それが魔力だよ。エマには雷、土、それに闇の属性を持っているね。希少属性持ちだ、すごいね」

「そうなの!? エマ、すごいね!」

「アレクシアと同じ数、そうなんだ。お母さんの属性は何なの?」

「アタシ? アタシは全属性だ」


 全属性……、そういえば何でもできるって言っていたな。でも分かった、さっき感じたのは雷の魔力だ。それに、大地と闇の魔力もなんとなくだけど感じる。


「光と闇の魔力があるなら精霊と契約した方がいいね。その属性は時に使い手が制御できず暴走することがあるから人外の力と言われているんだよ。精霊の助けがあればその暴走を抑えることが出来ると言われている」

「精霊! ボク、会ってみたい!」


 光と闇の魔力は使い手の心の変化によって暴走することが有るらしい。例えば光の魔力だったら危険にさらされた友達を助けたいという思いが強すぎて、魔法を放った時に力の暴走でその友達まで傷つけてしまった人がいると教えてくれた。

 それを防ぐために精霊に会いに行くらしい。精霊とは絵本に出てくるようなものなのだろうか。だとしたら私も見てみたい。


「そうか、でも精霊の里に行くのは時間がかかる。クロヴィスにちゃんと話すんだよ。場合によっては長いこと留守にするからね」

「うん! 分かった!」

「それじゃあ今日はここまでにしよう。精霊の里に行くならアタシにも準備したいことがあるし、アレクシアもクロヴィスと話さないといけないからね。それに、お昼だ」


 そして、クロヴィスさんの家で昼食を頂くことになった。お昼はトマトソースを使ったパスタを出してくれた。

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