『微笑みの魔女シルヴィア』とも呼ばれるシルヴィアは、弟子のディランとともに教室を開き、子どもたちへ様々な知識を教えている。
そんなとき一人の子どもからの質問、「ディランせんせいの好きなじょせいのタイプは?」のディランの答えを聞いてシルヴィアはショックを受けてしまう……
シルヴィアがいつも微笑を浮かべているのには理由があります。
悲しくても辛くても微笑んでいるシルヴィアの苦しみが深く胸に刺さりました。
ディランが弟子になった理由も後々になって重要な意味を持つことになり、一万字足らずでこれだけ上手く物語をまとめる力量は羨ましい限りです。
弟子でありながら師匠の世話を焼き、無表情なため『鋼のプリンス』とも呼ばれてしまうディランと、苦しみを背負う『微笑みの魔女』シルヴィアが互いに胸に秘めた思いとは……!?
森の奥に住む魔女シルヴィアは常に笑みを浮かべているせいで「微笑みの魔女」と呼ばれています。でも、それは彼女が負う役目のため。
精霊が好む、気高く強い存在であり続けるために。
そんな彼女が心を揺らしてしまうのは、いつも冷静で、けれど世話焼きの弟子のディラン。ひょんなことから彼の好みの女性について聞いてしまったシルヴィアにはとある事件が起きて——。
自らの意思で魔女という役割を担う選択をしたシルヴィアの、森での生活と人々との関わり合い、そして、彼女を支える押しかけ弟子のディランとの不思議で温かい日々。
ほのぼのとしたお話ではあるのですが、ディランが語ったシルヴィアが微笑んでいる理由についての彼なりの言葉が、とてもとても胸を打ちました。
美しくて不思議なファンタジーの世界のお話ですが、日々頑張っている人々にもきっと響くのではと思います。
ディランのようにあなたを見守っている人がきっといるはず。
そんなふうに信じてまた毎日頑張ろうと思える、素敵な物語でした。