第2話

「……と言うわけであなたは死んで死後の世界にやってきたのです☆」


妙にハイテンションなロリっ子娘は語尾に星マークを付けれそうな明るさでそう言った。


「いやまあ自分で死んだのはわかってるよ。で?俺に何の用?」


「もう! そっけないんだから☆せっかく君にいい話を持ってきたのにぃ~☆」


無性にうざくなるが、そんなことが気にならないぐらいに愛くるしい。


ついつい顔がにやけてしまう。


「あー! なんか今変なこと考えたな~?」


「で話とはなんでしょう?」


露骨に話を逸らされて不満気に頬を膨らしていたが話を戻してくれた。


「それはですね~、あなたに転生をする権利をあげようって話なのです☆」


個人的にはとても魅力的な提案だが、こう言うものには裏があるのがこの世の通り「僕と契約して魔法少女になってよ」なんて言われたら確定だと思って良い。


「その目的は?」


「目的? 特にないよ~?あえて言うなら~ん~、面白そうだから?」


可愛らしく首をかしげながら爆弾発言をしたロリ神様に怪しい視線を送ると「いやいや」と手を振った。


「えっとね~本当はね?あなたを今から連れて行こうとしてた世界はね。ものすっごいつまらないの。皆つまらなさそうなの。だからね。あなたに出会ったら皆楽しくなれると思うの!だから、お願い。皆を幸せにして来てくれる?」


「そうですか……神様は色んなことを考ええるんですね。分かりました。俺を異世界に連れて行ってください」


俺の承諾に神様はロリっ子の特権である世界一の笑顔を見せて頷いた。


「了解! あっちで困らないように読み書きができるようにしとくね☆あと今回だけ特別! 私から一個だけスキルをプレゼントしてあげる☆ それじゃあ、行ってらっしゃ~い!皆を笑顔にさせてきてね~」


突然足元に穴ができたかと思う間もなく俺は落ちていった。


かくして俺の自由気ままな異世界生活?は始まったのだ……



「……うわああ!痛っ!あのロリ神もう少しマシな方法で送ってくれよな~」


俺は地面に頭から落ちる形で、無事に異世界にたどり着いたらしい。


立ち上がって回りを見回す。


「森の中だな。とりあえずロリ神様からもらえたスキルがあるはずだから……どうやって確認すんだろ……」


両手を上げたり某デスゲームみたいに人差し指と中指を揃えて振ってみたり「開けゴマ」とか叫んでみたり色々試していると、「ステータスオープン」と叫んだ瞬間、目の前にスキル一覧が現れた。


……

スキル名

 ???

効果

 スキルとして考えた能力を一つだけ取得できる(変更不可)

……


どうやら好きな能力を自分で選んでくれということらしい。


「これってもしかしなくてもとんでもないスキルじゃねえのか?もし俺が、戦車とか軍艦とか銃とか軍用機に搭載されているものも含めていくらでも召喚できる~なんてスキルにしたら、この世界征服できるよ?……って何この音?」


リズミカルなファンファーレと共に目の前にスキル決定の一文が現れた。


「え? なんで決まった?俺まだスキル考えて……いたよ,いたよ完全に! 戦車がなんちゃらって考えてちゃってたよ!」


ああなんて無慈悲なんだ!いやそう考えたの俺だけども!っと、半分諦めながらスキル一覧を見る。


……

スキル

 軍事愛好家ミリタリーオタク

効果

 戦車などの軍事系のものを召喚できる(転生前の世界に存在したものに限る)。ただしその部品を考え設計すればオリジナルを作ることもできる

……


案の定、なんか適当に考えていたものが選ばれていた。っていうか、スキル名ミリタリーオタクって安直すぎないか?


「とりあえず皆大好きコルガバちゃんでも出してみますか」


手を前に出して念じてみるすると生前、毎日腐るほど見てきたあのフォルムが手元に現れた。


手に取るとエアガンにはない、本物の重さが伝わってきた。


「よし! ちゃんと出て来た。しかもエアガンじゃなくて本物!ロリ神様、ありがとう!」


その場に跪くと俺は天に向かって土下座をする。


「さて、それじゃあ試射してみるか」


スライドを引き意気揚々と近くの木に狙いを付ける。


「……発射されない。セーフティも外してるのに」


引き金を引いたにもかかわらず、コルガバはハンマーが落ちただけでなにも起きなかった。


他にも何かあると思い、スキル一覧を見る。


「えーと……スライドを引くときに適切な弾薬を思い浮かべながら引くとマガジン一個分の弾薬が装填されます……良かった。そんぐらいですんで」


改めてスライドに手をかける。


45ACP……スライドを引く手を離すと、微かな音とともに薬室内に1発装填される感覚がした。


スライドが元に戻ると木に狙いを付け、そして引き金を引く。


今度はしっかり発射されたが、反動で弾丸は明後日の方角へとんで行った。


「……これは練習が必要だな」


思い浮かべ、ホルスターを作ると、ガバメントを入れ腰に吊るす。


「なにはともあれ。スキルの確認はしたし次は近くに村がないか探してみるか」


30分くらいをかけて近くの丘の頂上に着いた。


「歩いて3時間くらいかな? 村っぽいのが一つある、そこに行こう」


そう考え丘を下ろうとしたとき、腹が大きな音を立てた。


「そうだった。こっちに来てから何も食べてないな……とりあえず食えそうなものを探そう」


そして食べ物を探すこと1時間。やっと食えそうなものに出会うことができた


体長30センチ、毛が緑色で保護色になっているウサギを見つけた。まとまって5匹かたまっている。


今後のことを考えると5匹全部捕まえたいところだがガバメントじゃ良くて1匹だな…一度に大量の弾が出るもの……ショットガンぐらいしかないか。手榴弾なんか使ったら木っ端微塵だし……

そして召喚したのはウィンチェスターⅯ1897……ポンプアクション式のショットガンだ。


使用弾薬12ゲージ。


銃身下部にある弾倉から一発薬室内に送り込まれる。


距離は8メートルほど。ショットガンの射程距離内だ。


緑うさぎの群れに銃口を向け、引き金を引く。


ガバメントを撃ったときよりも強い反動がかえってきたが、今回はなんとか耐える。


「3匹か……まあこんなもんか」

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