第4話非日常が始まった日だった

 俺もシャワーを浴びて、着替える。いつもの部屋着は貸してしまっているので、普段出かける時に着る。少ししっかりした格好だ。


リビングに戻ると、テレビの前に置かれたソファにちょこんと、すわってテレビを見ていた。シャワーを浴びている時、ドライヤーの音が聞こえたので髪は乾いている。


「あ、玲先輩!上がったんですね」

「あぁ、なんか飲み物でも飲むか?」

「いえ、お構いなく」

「そうか…」


気まずい…なんだかんだまださっきあったばっかの娘と会話盛り上がろって方がむずかしいよな。


「あの!先輩!連絡先教えて下さい!」


この娘は違ったらしい、距離を詰めてくる。頬が赤くなっているが、きっとさっきシャワーを浴びて体温があがっているのだろう。


「まぁ、それくらいいいけど」


そう言ってスマホをポッケからだし、指紋認証を解除して、スマホを春菜に渡す。


「スマホそのまま渡せる人ってほんとにいるんですね…まぁありがとうございます」

「なぁ、俺らは付き合ってんの?」


ずっと気になってたことを聞いてみる


「もちろんですよ?…でも先輩が嫌なら…」


不安そうな顔で上目遣いになる春菜

なんでさっきあったばっかのやつにそんな顔出来るんだよ…これ断ったら俺が悪いみたいな雰囲気になってるだろ…


「お前は、俺のことが好きなのか?」

「好きですよ!私の目標は玲先輩に好きって言ってもらうことなので!」


上目遣いのまま安堵ならような笑みを浮かべる春菜


「そんな日が来るといいな」


顔を逸らしてぶっきら棒に答えるが照れ隠しだ、俺の顔は恐らく赤くなってる。


「ならせめて名前呼びだけでも、今から」


会話の流れおかしいだろ


「はぁー、やだよ」



 それから数時間経ったが、雨は止まずスマホでこの先の天気を確認しても、ずっと大雨だった。


「お前どうする?親とか、迎え来てくれる人居ないんだっけ」

「元々、親は仕事の関係で長く家を空けることがよくあって、しばらくは帰って来ません」

「そっか」

「先輩こそ、家見た感じ一人暮らしぽいですが」

「俺は一人暮らしだよ、だから俺の親に頼むってのも無理なんだよなー」

「高校生で一人暮らしってたまに居ますけど、大変じゃないですか?」

「まぁな、家事とか面倒だしな」


一人暮らしを始めて親のありがたさが分かるものだ。


「私、今日泊まります」

「ん?どこに?」

「ここに、です。親が居ないなら問題無いですよね?」

「いやいや問題だろ。年頃の男女が同じ家に泊まるのは問題だろ、付き合ってもいな…いのに…」

「付き合ってますよ?」

「そっか、なら問題ないか」

「面倒な家事は任せてください!先輩のためならどんな仕事でも苦じゃないです!」


なんでこいつは俺にベタ惚れ見たいな態度なんだ?一目惚れとかそういう類なのか?ほんとに分からない。

でもこういう今までの日常ではあり得なかったことが楽しく感じている俺がいる。







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