My hero, Mine hero.
辺理可付加
My hero, Mine hero.
「私は孤独に闇へ立ち向かう戦士、ハイパーツムグ!」
あぁ、素敵、素敵ですツムグさん。あなたは
私はドクターモモコ。表の顔は普通の女子大生、でもその正体は悪の組織『香港マフィア・リトルウルフ』から人々を守る為に知識と技術を振るう正義の科学者です。
そして愛に生きる乙女。ここ重要。
そして今、目の前で『リトルウルフ』の幹部エリゲーターと戦っている彼女がハイパーツムグ。
美麗な顔立ちと高音ハンドベルのように清らかな声ながら、
普通女性のことはヒロインって言うんですよね? 知ってますよ? でも私はツムグさんをそういう目で見ているからヒーローで間違ってません。私だけのヒーロー、私にとってだけはヒーロー。
あ、一応補足しておきますが私はツムグさんに出会うまでレズビアンでもトランスジェンダーでもなかったし、今もツムグさん以外の女性に興味は無いです。
「食らえ! アイゼナッハアハトアハト……何ぃ!? 効いてないだと!?」
「私のアーマーにはアンチ闇の魔力コーティングが施されている! お前達の攻撃については対策済みだ!」
さすがですツムグさん! アーマー作ったのは私ですけど。
私とツムグさんが出会ったのは大学に入学したての頃。私は機械工学、ツムグさんは医学部で同期入学だったんですよね。
はっきり言って陰キャ、友達がいなかった私にも優しくイケメンに接してくれたツムグさん。それ以来彼女に付き纏うようになった私は、ある日街中で突然彼女と一緒に『リトルウルフ』の襲撃を受けました。巻き込まれただけなんですけど。
その事件でショックを受けた私は、得意の機械工学で元から抜群だったツムグさんの身体能力を最大限に引き出すハイパースーツを作成、最強のヒーローハイパーツムグを産み出すことで連中に対抗することにしたのです。
「お返しだ! ハイパー中段蹴り!」
「ぐわぁぁぁぁぁ! 何故怪人はいつも敗れ去る時爆発するのかーーっ!?」
あらやだ、破片が飛んで来ました、ばっちい。
ま、ま、それはいいんですよ。それで私のヒーローハイパーツムグは正直思った以上に強くて(さすがですツムグさん)連中をバシバシ倒し(それでこそですツムグさん)人々を颯爽と助け(堪りませんツムグさん)一躍スーパーヒロインに昇り詰めたんですよね(ハイパーツムグですけど)。
それで一つ困ったことが……
「あ、あの! ハイパーツムグさん! 危ないところを助けていただき、ありがとうございました!」
「気にしないで。君が今日も笑顔で『おやすみなさい』を言える一日にするために私がいるんだから」
「……!♡!♡! あの、よろしかったら連絡先……」
「はいはいそこまでそこまで。ツムグさんは忙しいんです。時間取らせないでください」
ツムグさんの認知度が上がるにつれて、悪い虫が
「モモコちゃん、何もそんな言い方しなくても……」
「ツムグさんはちょっと黙っててください! 早く帰ってメンテナンスしないと危ないのは貴方の方なんですよ?」
「あぁ、うん……」
「じゃあそういうことですから。お嬢さん、
面倒な女が纏わりつく前にツムグさんを回収してラボに戻る、これも彼女を支える博士としての立派な役割ですよね。
「ねぇモモコちゃん、私だって連絡先交換しようとは思わないけど、人として会話くらい……」
「ダメです」
「……ねぇモモコちゃん、帰りにコンビニ……」
「ダメです!」
「……大学に提出物」
「ダーーメーーでーーすーー! 後で私が代わりに持って行きますから! ツムグさんは一刻も早く帰って調整をする! 貴方はスーツの副作用でもう、私のチューニング無しでは生きていけないんですよ!? だからさっさと二人の愛の巣……、もといラボに帰りましょう!」
「……ねぇ、副作用ってわざ「とじゃないですよ?」
「わざと」って悪意があることでしょう? だったら違います。
だって、これはツムグさんが幸せになる為に必要なことなんですから。
私の名前はツムグ。普段は普通の大学生なんだけど、実は日夜『香港マフィア・リトルウルフ』という悪の組織と戦う戦闘ヒロインでもあるんだ。
その名も、
「ツムグさん、今日のメンテナンスは終了です。お疲れ様でした」
「そ」
「いいですかツムグさん? 貴方はもう私無しでは生きられません。でもその代わり、貴方に必要なことはなんでもしてあげますし必要なものはなんでも用意してあげます。そして勿論私も貴方にあげちゃいます♡ きゃっ♡」
「あぁ、そう……」
「だからもう、昼間みたいに訳の分からない女や男の相手をしたり、余計な外出や寄り道をしようとしないこと。いいですね?」
「Ha-ha」
「誰にも触れさせないし関わらせない。何故ならツムグさんには私さえいればいいから、私だけ見てればいいから。下手に他人と関わって汚れないこと。よろしいですね?」
「……よろしくあるかい」
「え、なんですって?」
「何も言ってないよ」
「そうですか。じゃあ今からお風呂にしましょう! 汗かいたでしょう? 背中流して差し上げます!」
「それはちょっと」
「もう! ツムグさんったら奥手なんだから♡ でも、そういうところも好きですよ。
その名も、孤独に闇へ立ち向かう戦士、ハイパーツムグ。
My hero, Mine hero. 辺理可付加 @chitose1129
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