第18話 闇の魔王とリアルの闇
魔王は、余裕そうな顔をしながらこちらを見てニヤニヤと不適な笑み浮かべている。
それは、まるで俺達をバカにしているように感じる、ガイコツみたいな仮面を被っていたが、それだけは何故か不思議と分かった。
「何が、可笑しいんだよ……」
「あははははははは!! そんなもので、我の闇の力に勝てると思っていることにだよ!」
確かに、この魔王ダグネス・ローダスは明らかに、他の魔物と違って誰かの闇によって生まれた訳ではないし、とてもじゃないが説得して改心出来る相手ではないことは、俺が良く知っている。
なんせ、コイツのファンでもあるから、過去に俺以上に嫌いなことがあって、人間全員を嫌っているという設定があることも。
「まあ、確かにな……でも、勝たせてもらうぞ! そうじゃなければ、ブレイ達が幸せな暮らしを出来ないからな!」
「愚かなことよ……光の勇者よ……貴様は、我が倒されれば。勇者ブレイ達も、元の世界に戻ることを知っているのであろう? それにだ、貴様はこの世界が嫌いで。どうにか、なっても良かったのではないか?」
「しょうがないことさ……ブレイ達が、幸せになるのならね……」
魔王ダグネスは、仮面を外してその整った顔をあらわにする、だが眉間にシワを寄せていたためか、それも台無しになっている。
「良かろう……我が、貴様らに本当の闇の恐ろしさを……教えてやろう!!」
魔王が、そう言いはなった瞬間、教室に風が強く吹きカーテンが激しくたなびき、マントも同時に後ろにたなびく。
そして、闇のオーラが今まで出会った魔物より濃く、不安と恐怖が周りに伝わってくるような感じがした。
その為、俺とブレイ以外は体が震えていて、冷や汗を大量流しているのでとてもじゃないが、戦える状態ではないな。
「現愛、伊藤、落田、瀬里崎先輩、尾張先生、お前らは、帰ってもいいからな!」
「誰が、帰るって!?」
「私は、このクラスの委員長として帰る訳には、いきませんから!」
「先輩と、付き合うまで離れられないので、無理ですね!」
「私は、平二くんと一緒にいなきゃ寂しいから、無理よ~」
「私は、先生として大城を面倒みなきゃいけないからな! 後、お前の根性も叩き直さなきゃいけないから」
このリアル女どもは、こういうことになって尻尾を巻いて逃げるかとおもいきや、何故か誰一人としてそう言った奴はいなかった。
「本当に、勝手な女達だな!」
この女どもは、他のリアルな女と違って芯は腐ってないことが分かるが、正直言って恋愛することしか脳に今ないのが嫌だなと思う。
もうちょっと、ましな考え方してないのかと。
「やはり……愚かだな、人間という奴は……」
魔王は、手を俺達の前に向けて黒い炎のような物を放つ、幸い誰も当たらなかったが、当たっていたら危ない。
「ふははははは!! どうだ? 貴様ら、人間ども我の力に恐怖したか?」
リアル女どもは、震えながらもなんとか魔王に立ち向かおうと、身構えていた。
別に、無理する必要ないなと思ってはいたが、それを言うと女どもが怒って暴れそうなので一応黙る。
「それがなによ! そんなもの、怖くないわよ!」
「これが、当てれば恐怖で立ち直れないような。幻を一生見続けることに、なってもか!?」
「な!?」
リアル女どもの、先ほどの勢いはどうしたのかと思うくらい、元気とやる気が無くなっていく。
本当に、この世界の女っていうのは、後先を考えて行動出来ない感情的なバカしかいないのかと、呆れて言葉が出てこない。
「それにだ……私は、この世界の人間達の闇を吸収して力を得ている……つまり、無限の力ということだ……あははははははは!!」
そうだった、魔王は不安、憎しみ、嫉妬、恨みなどの心の闇を吸収して、力を得ることが出来るのでどんなに攻撃しても、すぐに回復してしまうんだった。
俺は、ゲームのファンだったのにすっかりそのことを忘れていたようだ、これじゃあオタク失格だな。
「と言うか、平二!! あんた、この事を知っていたんでしょ! 何で、言わないのよ!」
「しょうがないだろ! お前らリアル女が、問題ばかり起こすから。すっかり、その設定を忘れてたんだよ!」
「全く……オタクのくせして、こういう時にその知恵を生かせなきゃ……意味ないじゃないの」
現愛が、言ってるのは最もでこれでは全オタク達に申し分ないな、それにリアル女ごときにうつつを抜かしてるなんて、オタクの名折れだよ。
だが、そんな事はもう問題ではない、魔王は無敵だと言うことが一番大事で、何より倒す手段がないとかリアルよりクソゲーだろ。
まあ、ゲームではイベントとかで、新たな力が覚醒してどうにかなるのだが、それもない上に闇の力に有効な武器やアイテムもない。
本来、こういった場面ではそれがある。
だけど、現実においてはそんなものがあるはずもなく、もう詰みゲーとかしてるので、諦めるしかないのかと、俺とリアル女どもは絶望してうつ向く……。
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