第17話 メイドの苦しみとお嬢様の決意

 俺は、ずっと何か対策を考えてみるも、何時ものような自分でどうにか出来るような、事ではなかった為にひたすら茫然としてるしかない。


「とりあえず、平二! 僕が、彼女の攻撃を防ぐから……ぐぐぐ……どうにか、自分の力で色々やってみてくれ」


 ブレイにそう言われても、俺に出来る事と言ったら、自分の心の闇を追い払ったり、人の病気を治したりしか出来ない。

 後は、何もしてないしそれ以外は、まだ何が出来るかは分からない。

 それと、特徴と言えば光の勇者ってところだけ……光の……。

 俺は、ひょっとしたら相手を光らせることも出来ると思い、九寺に手を当てて光を体中がにまとわせる。


「何だ! 私に、何をしたのですか!?」


「九寺さん! あなたは、これで何処にいるかは分かるでしょう。だって、体は透明になっても周りが光ってるだから」


「そうですか……だったら、私も闇の魔物を出すしかありませんね……」


 九寺がそう言うと、闇オーラから魔物を作り出した、どうやらまだ力を使ってなかったようだ。

 これには、俺とブレイも唖然としていた、まさか自分の力で目に見えないようにしていたとは、そんな技術も説明されてはいたが、正直全く持って構造が分からなかった。


「これで……長き、落田一族との因縁もなくなる! 私は、やっと自由だ! あははははははは!!」


 九寺は、狂ったかのようにいきなり歓喜し、その声は不気味に辺りに響くので、俺達は引いてしまう。

 ただ、一人の女だけは違った、落田家の跡取りの天音は必死に説得を試みて対話をまたし始める。


「九寺……私は、あなたとの思い出は忘れてないわ……色々なことをしたわよね。あなたは、辛いときも私をよく慰めてくれた……そんなあなたが、苦しんでいるだから……私は!!」


 天音は、俺達の前へと出てなんとか話をしようと頑張るが、九寺の闇の力により吹き飛ばされそうになる。

 そこで、必死に踏ん張り力に抵抗して、傷だらけになっても耐えて九寺の前に立っていた。


「あなたが、今までどれだけ辛かったのかは分からない……だけど! 私は、あなたに今まで励まされて支えられてきた! だから……今度は、あなたを私が支える番!」


「何を言ってるのですか!? 私は、あなた達一族を恨んでいるんですよ! もしかしたら、あなたも殺すかもしれない……そんな、私を助けようだなんて……どんだけ、バカなんですか! あなたは!!」


 天音は、腕を横に伸ばして無抵抗であることをアピールして、どんなことをされても受け入れると九寺に伝える。


「九寺! あなたの、気がおさまるのなら……私は、なんと言われても何をされようとも構わない! 私にとっては、あなたは大切な人だから!」


 九寺は、そんな天音の姿勢をみてか泣き崩れてしまい、天音だけが人として扱ってきてくれたことを話し始める。


「何で……お嬢様は……いつも……うぅ……私に、優しくしてくれるのですか……うぅ……これじゃあ、あなたを痛め付けることさえ。出来ないですよ……うぅ……」


 九寺は、どうやら本心では天音を攻撃したくはなかったようだ、だが父親が死んだ原因の一族がそこにいたら、どうしても腹が立って当たって同じような苦しみをあじあわせたかった。

 そんなふうに、俺には見えた。


「それに……ちょっと、父から話があるの」


 天音は、スマホを取り出して九寺の耳にそれをあてる、天音の父親の声を聞いた瞬間、茫然としていた。


「実は……あれは、君の父親が身代わりになると言ってしたんだ……本当に、そのことを伝えずすまないと思う……」


「いえ……そうだったんですか……父が……ぐずぐず……」


 その九寺の表情からは、いっきに苛立ち消えていき、唖然として地面に座り込み、何も言い出せなくなる。


「これで……私は、メイドとしてクビですね……当然ですよね……」


「何を言ってるの! 私が、主人であるかぎりあなたをクビにするものですか!! だから、私を一生支えなさい! この、どうしようない制度なんて。私が変えてやるわ!」


 九寺は、その天音の言葉に感動していたのか、真っ直ぐ真剣に顔を見ていた。

 それから、普段のメイドとしての態度に戻る。


「お嬢様……ですが! あなたは、全く勉強も出来ないのですから。主として、今はふさわしくありません!! ですから、これからはそこをビシバシいくので。覚悟してください!!」


「え~え!! 今、そんな雰囲気じゃなかったじゃないの!! どうして、そうなるのよ!」


 やはり、天音は本当に何処か抜けていて、どう考えても上には向いてはいない、自分のことすらまともに出来てないしな。


「それに……私は、お嬢様専属のメイドですので……大城さん! あなたのことは、全く信用もしてないので。あなたとの、お嬢様の付き合いは。認めてません!」


「何を言うの! 私の好きな人に!」


 俺は、とりあえずこちからこんな面倒な女はお断りだと言ってやった、天音は怒っていたものの俺にとってはどうでも良かったので、適当に受け流した。



 そうこうしていると、黒い渦のような物が表れて、そこから魔王ダグネスが出現した。

 俺達は、剣を構えて最後の戦いに挑む、とてつもない緊張感もがあったが、気合いを入れてことにあたっていてく……。

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