第4話 天然美少女と巻き込まれ系男子
俺は、あれからブレイ達に色々と、魔物の話を聞いたのだが。
心の闇がある人間が、そのような物を生み出すのだの、その人間の気持ちをどうにかしなければ、魔物を倒せないだのと分かりきっていることしか言われなかった。
正直に言えば、何も状況は進展していなかったのだ。
そんなこんなで、何時ものように現愛と登校していく。
それから、放課後になり部活もなかった為、ブレイ達と帰ろうと歩いていると……。
体が、何かにぶつかったようで、そのまま転んだ拍子に尻もちをつく。
「いたた……何だよ」
俺は、何にぶつかったか気になった為、確認すると、そこには美少女が自分と同じような体勢で尻もちをついていた。
よく見てみると、後輩の
彼女は、見た目は目が二重でパッチリとしていて、鼻も高くて丸い顔の黒い髪のストレートと言う、可愛い女の子なのだが正直会いたくなかった。
それは、落田の天然っぷりは度が過ぎていて、走ると必ず一回はこけるは、調理実習の時は目玉焼きさえも、不思議な黒い物体に変えるわで、関わると何かしらのトラブルに巻き込まれることで有名だからな。
そう、俺はできるだけ彼女と関わらないようにしていたのにもかかわらず。
今になって、こんな某恋愛マンガのお約束みたいな展開になるなんて、思いもしなかった。
「あ~、すみません……」
落田は、何時もこういうふうに謝るのは良いのだが、その後のお礼にクッキーを焼いてきて渡してくるのだ。
だけど、それはクッキーと呼ぶにはあまりにも、黒々しくほとんど木炭でも食べてるんじゃないかと言える見た目と味。
しかも、クッキーを食べた日は必ず一日中、腹が痛くて堪らなくなって、トイレに居なければいけなくなる。
その事により、落田のクッキーは別名、胃腸壊しと呼ばれてるとか無いとか。
つまり、落田は会うと迷惑をかけるということ。
俺は、とりあえず何事もなかったかのように、やり過ごそうと立ち去ろとした時。
「ちょっと! 待ってくださいよ! 大城先輩!」
そう、落田に言われながら肩を両手で掴まられる。
その手は、想像以上に力強くて前へ歩こうとしても進めない。
落田よ……何故に、何時も体育ではその力が出ないのか、それが出れば間違いなく成績よくなるのに……。
まあ、体育だけなので他はダメだが。
実は、落田は運動や料理だけではなく、勉強なども全く持って出来ない。
特に、理数系は苦手でおつかいすらまともに出来ない。
しかも、詐欺師に騙されそうになったり、菓子でつられて変態男達に連れてかれそうになったりと、小学生でも分かっていることが分からない始末。
だけど、彼女のファンが多く、ファンクラブが密かにできるてると言う噂だ。
だから、その後間違いなくその集団どもに変態男達や、彼女に危害を加えた者は、容赦なく成敗されて二度と近付こうとしない。
後、それに加えて超大金持ちのお嬢様なため、別に彼らファンが居なくてもどうにかなるんだよな。
本当に、落田という女は恐ろしいよ……。
「大城先輩! クッキーとか好きですか?」
これは、死の宣告か何かか?
そう、俺は聞きたくなる状況。
だって、廊下の柱の後ろにはファンが凄い形相で睨んできて、とてもじゃないが四方八方が塞がれていて逃げられない。
まさに、食って死ぬかそれとも逃げてボコボコにされるかの、地獄の二択を迫られている。
はあ~、俺はもう死ぬんだと悟った瞬間。
たまたま通り掛かった伊藤が、こちらに気付いてくれた。
「大城くん? 天ちゃん? 何をやってんの?」
それは、こっちがこの女に聞きたいわ。
それから、俺は仕方なく伊藤に助けを求めるが、しかし……。
「委員長お願い! 助けて!!」
「はあ? どう考えても、お礼をしようとしてるんじゃないんですか? 何で、助けるのよ? 大城くん?」
本当に、この人は相変わらず俺のことが分かってない。
何度も、あれから二次元の女の子しか愛せないと言ってるのに、しかもずっと好き好き言ってくるし。
そう考えていると、現愛もやってきたのでジェスチャーで、どうにかSOSの文字を手で作り助けを求めるも、何故か怒った顔をしながら眉間にシワをよせて、こっちに迫ってくる。
「あんたねぇー!! どんだけ、女の子に誤解させればいいのよ!! この! 無自覚女たらしー!!」
「はあ?」
正直言って、訳が分からない。
それは、単純にいってる意味が不明とかのことじゃない。
何故、起こしてもいないことに大して、責任を取らなきゃいけないのか。
それと、大体女が勝手に好きになって行動してるだけなのに、何で俺が悪いことをしたみたいになってんだよ!
これじゃあ、自分からこの状況を作ったことになるだろ。
絶対に違うのに……。
それから、小一時間ぐらい過ぎた後、突然校内放送が聞こえてきた。
どうやら、天音のテストの赤点のことだったらしく、慌てて急いで天音はその場を後にしようとした……。
だけど、俺は彼女のスカートがめくり上がっていたので、仕方なく古いジェスチャーのパンツ丸見えをやった。
本人に、通じたみたいで恥ずかしそうに、スカートをびっしり整えた。
「言ってくださいよ! 大城先輩!!」
そう天音は言いながら、走って職員室の方へと向かい、すぐにその姿は見えなくなった。
だが、何だか嫌な視線を感じると思い、その方向を見てみると……現愛と伊藤が目を細めていて、いかにも変態をみるかのようなに見ていた。
だって、仕方ないじゃないか。
ああでもしないと、あいつ気付かないほど頭が悪いし。
「な! あのまま、パンツ見えてるより。言った方がいいからさ!」
「はあ!? だからって、あんな訳が分からないジェスチャーする!?」
「すみません……」
俺は、とりあえず申し訳なさそうに謝る。
「はあ~……まあ、いいわよ! 私も、彼女が変なことを起こして、お色気ハプニングを起こすことは、知ってたし!」
「じゃあ、何でそんな事を言ったんだよ!」
俺は、とりあえずその発言に突っ込みをいれずにはいられなかった。
すると、現愛はニヤッと笑い、伊藤は眉間にシワを寄せながら……。
「ちょっと、面白いかったから……フフ……嫌がらせしたくなっただけよ……フフ……」
「私は、単純に他の女とイチャイチャしたから。ムカついた、だけですけどね! フン!!」
どんだけ、身勝手なんだよ……。
この二人は。
それに、現愛に至っては明らかにからかって、笑い者にしてるのは悪意しかないし。
そうこうしてるうちに、いつの間にか夕方の下校時間直前ギリギリまでになっていた。
そして、歩いている人影があったので見てると、そこには天音が泣きながらこっちに向かってきた。
「うえ~ん!!……グスングスン……勉強出来なかったから、説教されちゃったよ~!」
どうやら、天音は先生達にみっちり説教をくらい、なおかつしごかれたようだ。
それゃあそうだ、だってこいつ算数すら出来ないんだからな。
むしろ、どうやって今までやってきたのか、こっちが知りたいくらいだ。
その後は、何も変わったことなく、翌日の放課後までは何もなかったのだが。
俺の、教室の廊下に天音がずっと、虚ろな目をしながら立っていた。
まさに、その光景は不気味で生気がなく、この世の者とは思えないくらいの表情。
それに、何故か天音の周りには、伊藤がまとっていた黒いオーラのようなもの、闇のオーラがついていた。
「なんで……いつも、頑張っているのに! 上手くいかないの!」
天音は、そう言いながら頭を抱え始める。
「また、このパターンかよ……」
俺は、ウンザリしていた。
また、リアル女どもの心の闇を解決したなきゃいけないことに。
「まあまあまあまあ! これも、僕のためと思ってさ!」
そんな、ブレイの一言は俺の背中を押してくれた。
「そうだよな……ブレイ達のためならな」
ブレイは、俺の扱いがわかってきたらしい。
これは、正直言って一本取られたな。
俺は、とりあえず前みたいに、剣を想像して出現させて構える。
だが、現愛と伊藤は目の前の天音の姿に困惑して、それどころじゃなかった。
まあ、現愛はこの前の伊藤がそういう状態だったのを見てないから仕方ない、しかし伊藤は自分がつい最近まで、似たようなものだったじゃないか。
俺は、伊藤がそのことに気付かないことに呆れながら、天音に心の闇を聞く……。
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