7 銀髪の少女
フミカは校舎の二階の教室の中で、ひとり息をひそめていた。ソウタとカジとは、校舎内をにげまわっているうちにはぐれてしまった。
下の階からすさまじい音がきこえてくる。
とおくから悲鳴のようなものがきこえた。
(ソウタ? カジ君?)
フミカにはどちらの声か
しばらくして、別の方角から、また悲鳴。そして、
(なんで急にしずかになったの? ふたりはどうなった?)フミカは恐怖に押しつぶされそうだった。
そのときだった。
フミカの
(え? いつからそこにあった?)フミカはおもった。
フミカは黒い円にちかづいてみた。ふしぎと危険はかんじなかった。円に
そうしているうちに、黒い円は大きくなっていき、2メートルほどの大きさになった。
ブュン。
SF映画にでてくる〈光るビームソード〉をふったときのような音がした。ひとりの少女がその黒い円から飛びだしてきた。
(かわいい)
それがフミカの少女に対する
少女は教室の床の上にふわりと着地をすると、あたりを見まわした。少女がフミカの存在に気がつき、少女とフミカは目があった。フミカはドキッとした。が、少女はフミカに関心をしめすことはなく、すぐに視線をはずし、教室の外へと走り
「待って! あぶないから!」
フミカは少女のあとを追って教室をでた。しかし、廊下に少女のすがたはすでになかった。
「!」
背後に気配をかんじた。フミカがゆっくりとふりかえると、そこにソウタとカジが立っていた。
「よかった。二人とも無事だった……」そこまで言いかけて、フミカは二人の様子がおかしいことに気がついた。表情が
「けええええええ!」
「ぐがががあああ!」
とつぜん、ソウタとカジは
ソウタは妖怪すべらせ坊の姿に、カジは
しかし、妖怪の顔に、どことなく二人の
フミカはまたかたまりそうな体に「動け!」と心の中で命令した。ここでかたまってたら、おわる。フミカは勇気をふりしぼって、二人のあいだのすりぬけた。廊下を全速力で走る。うしろから妖怪になってしまったソウタとカジが追いかけてきているのがわかる。フミカは飛ぶように階段を
フミカは息を殺して、耳をすました。ふたつの雄叫びがこっちにちかづいてくる。雄叫びは、トイレの前をとおりすぎると、だんだん小さくなっていった。
「はあああ」肺にたまっていた空気を一気に
(どうしよう?)
このままトイレにこもってかくれていることも考えたが、トイレの中だとみつかったときに逃げ場がないことが不安だった。結局、ここからでることをえらんだ。
トイレの出入り口から顔をだして、あたりの様子をうかがう。妖怪の気配はない。フミカはトイレから出て、来た道をもどり、二階にあがった。
そのときだった。まばゆい光がフミカの両目を
フミカは
そこにいたのは先生ではなく、〈天使〉だった。
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