5 MRI
フミカが校門のインターホンのボタンをおすと「はい。
「5年2組の相馬です。忘れ物をしてしまったのでとりにきました」
「17時で鍵を
「はい」
玄関でうわばきに
廊下は西日がさしてまぶしかったが、5年2組の教室にはいると日の光はさえぎられ、中はうす暗かった。ちょっとこわかったが、フミカは気をとりなおして自分の席へとすすんだ。
宿題のプリントは机の中にあった。
(よかったあ。でも……だれもいない教室……なんかきもちわるいからさっさと帰ろ)とフミカがおもった。そのときだった。
ガタン!
教室の前のほう、
「きゃっ」フミカのみじかい悲鳴をあげた。
(そういえば……)とフミカはおもいだした。
(朝の会で先生が、「さいきん学校のまわりで
フミカは物音がしたほうをじっとみつめる。というより、こわさのあまり目をそらすことができなかった。
しばらくすると、ぬっとふたつの
(にげなきゃ)
そう思っても体が動かない。
「ごめんなさい」大きいほうの影がしゃべった。
(え? 子供の声?)フミカはおもった。
「ぼく、3組のカジといいます。びっくりしましたよね? ごめんなさい。おどろかすつもりはなかったんです。ちょっとしらべものをしてて。すみません」
フミカは、不審者ではないことにほっとした。
「しらべもの? こんな時間に?」
「あれ? フミカじゃね?」小さいほうの影がいった。
「おれだよ。ソウタ、伊原ソウタ」
「げっ」
フミカとソウタは一年生から四年生まで同じクラスだった。ソウタは学年一のおさわがせ者で、授業中にいきなりおどり出すような男子だったから、五年生になったときやっと別々のクラスになって、フミカは心のそこからせいせいしていたところだった。
「あんた3組でしょ。人の教室でなにやってんの?」
「
「超常現象?」
「そう。おれらMRIだからね」
「MRI? なにそれ?」
「ミステリー・リサーチ・インスチチュート。日本語に訳すと超常現象研究所かな」
「はあ……」フミカはあきれていた。
「こないだの図書室の幽霊のほかにも、学校のなかで幽霊とか妖怪の
「え? もしかして
「まあね。これからまだ
「ああそう。それはごくろうさま」これはかかわらないほうがいい、とフミカはおもった。はやくここから立ち去ろう。
「そういえば、お前んちの母ちゃんとばあちゃんが学校きてたな。
「ああ、やばい! 59分じゃん! 5時に鍵かけるって。あんたらもはやく帰ったほうがいいよ」とフミカは言って教室を出た。
フミカが廊下に出たときにそれは起きた。
あれほどまぶしかった西日の光が、フミカが廊下に出た
廊下の窓からみえる外の景色は、
(閉じこめられた)
フミカはなぜだか、
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