3 超常現象マップ
5年3組。
用紙は、インターネットからひっぱってきた、
たとえば、地図の北側に東西をよこぎるおおきな川があり、そこにバツ印がひとつあった。そのよこに貼られたメモにはこまかい字でこう書きしるされていた。
〈すべってころぶ人おおぜい。かせんじきをさんぽ・ジョギングしてる人のあしもとにドロのようなものがとんでくる。むかしから妖怪「すべらせ坊」のうわさアリ〉
また、地図の東側にある〈しんのう
〈しんやに、ものすごいはやさではしる「いだてんくん」がもくげきされる〉
地図の南側は
〈きんにくムキムキのジジイ幽霊、もくげき者おおぜい。「マッスルじじい」といわれている〉
そのほかのメモにも、幽霊、妖怪、UFOなどに
ソウタがいま書きおえたばかりのメモにはこう書かれていた。
〈7月16日夕がた。としょしつのかんざきさんが女の子の幽霊とコンタクトし、ケガ。としょしつ立ちいりキンシ〉
ソウタはそれをみて「よし」とつぶやきながら、ずれたメガネをなおした。
立ちあがり、いすを前後逆にして
「カジ、これみてくれよ」
背もたれに腹をつけるような
「
「え……ちょ……ソウタ」カジのいかにも気弱そうな顔には
「で、みてくれよ、これ。おもったとおり、神農小付近に目撃例が集中してる。俺がおもうに、この学校のどこかに霊的なものをひきよせる〈
「ソウタ……その話、いまじゃないとダメか?」カジは視線をキョロキョロさせ、
「はあ? なにいったんだよ。いまじゃないとダメにきまってんだろ。おれはすぐにでもこの〈場〉を探しにいきたいんだよ。カジもいくだろ?」
「伊原くん」
3組
「先生もいまじゃないとダメな話をしてるんだけどね。だって、いまは国語の授業中だから」
「え?」
ソウタがまわりをみると、クラスメイトたちのつめたい
ソウタはなにかに集中するとまわりがみえなくなるクセがあった。
「……」
(いつものことだ。いつもどおりふるまおう)とソウタはかんがえた。
「あっちゃー! すんません、先生! またやっちゃいました、えへへ」
ソウタはあえて明るくふるまった。しかし、まわりに笑い声はおきなかった。
正面に座りなおすと、さっきの地図を机の中にしまい、国語の教科書をひらいた。
「ごめんな、ソウタ」カジがソウタにだけ
「56ページです、伊原くん。ではつづけます。主語と……」
その後、授業はなにごともなかったかのようにすすめられた。
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