2 相馬フミカの憂うつ
5年2組の教室は今日も朝から
いまもクラスメイトの
「
「きょうで三日目だね。図書室の
フミカはうんざりとこうおもった。
(なんで? なんで、わたしのまわりにあつまって、わざわざそんなはなしするわけ? こんなはなし一番したくないのは、このわたしなのに)
5年2組のクラスメイトのだれもが──いや、この
事件の翌日に、図書室のまえに
「フミちゃんはどうおもう?」メイがきいてきた。
「え?」
「司書の神崎さん。悪霊に取り憑かれたとおもう?」
「う、うん。そう……かもね」
「あ、そういえばみんな、あれ知ってる?
「〈いだてんくん〉て、
〈いだてんくん〉とは、〈
「そうそう。あの〈いだてんくん〉が〈しんのう商店街〉をすごいはやさで走っていくのをみた人がいるんだって」サユリがいった。
「なにそれ。それって幽霊なの? それとも妖怪になるのかな?」
「コスプレしたおじさんなんじゃない」
「なにそれ。ウケる。ははははは」
メイとサユリは大笑いしていた。
メイは校内でもトップの
「だったらこの話は知ってる?」メイがいった。
「
ドキンッ。フミカの心臓が
「ええ! なにそれ、カッコいい!」サユリがおおげさに反応する。
「さいきんさ、幽霊みたとか、妖怪にあったとか、そんなのがおおいとおもわない? じっさい、神農町全体で
「除霊師キター!」サユリが
フミカは全身にいやな
(だから幽霊さわぎなんかはやくおわってほしかったのに!)
いつかその話題になるんじゃないか、とフミカはおそれていたことがあった。それがいま、おきてしまった。除霊師……。フミカには、クラスみんなに知られなくないかくしごとがあったのだ。
そのときだった。となりの5年1組が急にさわがしくなった。「なんだアレ?」「
メイとサユリは「除霊師!」と
「フミカ〜」と手をふった。
クラスメイト全員がふりかえって、フミカをみた。だれかが「あれ、相馬んちのお母さんとおばあちゃんじゃないか?」と言った。とたんに「マジー!」「相馬の母ちゃんとばあちゃんが除霊師ってことか!」「ヤベー!」と教室は
「ええ! フミちゃんほうとうなの!」メイがさけんだ。
「うっそー! すごーい! なんでだまってたの、フミちゃん。いってよ~」サユリがいった。
フミカは下をうつむいたまま、「……おわった」と、ちいさくつぶやいた。
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