第3話 契約

 眠りについて2、3時間が経った頃だった。部屋でカチコチとなっていた時計の音がぴたりと止まりあたり一面静かになる。謎の空間に吸い込まれた感覚を覚えた。そして目が開くと目の前には青い目を持ち白い巨体の悪魔らしきものが仁王立ちで構えているのが見えた。


「貴様か、わしを眠りから目覚めさせたのは。」

「はい。僕の願いを聞いて欲しく祖父から受け継がれた本を使いあなたを起こしました。」

「あやつの孫か。実に面白いな。そこまでしてわしに貴様は何を望む?何が欲しい?何を叶えたい?」


 一連の会話が行われる。悪魔?はどうやら祖父のことを知っていたらしい。そして少し急かすよう僕に願いについて聞いてきた。


「幼馴染の佐田沙耶を蘇らせられる力が欲しい。」

「それは無理な願いだ。わしは生命に関与することが禁じられている。しかし他にも方法はあるぞ」

「、、、それは?」

「タイムリープだ。回数制限はあるがその中で貴様が未来を変えられれば助けられるかもしれんな。」


 少し戸惑った。助けられる方法は僕が未来を変えるしかない。しかし回数内に彼女を助けられなかったら?これ以上あの忌まわしき死に様をただ棒立ちで見るのか?そんなのは嫌だ!僕は、、、


「一回で変えてみせる‼︎大事な人のためだから。」

「いい度胸じゃ。しかし一回だけの能力は渡せぬ。なので10回じゃ。これでできなくとも文句は言うなよ。代償は、、、」

「代償は別に言わなくていいですよ。あと文句は元から言わないつもりですよ。」


 契約成立だ。と悪魔はシュルシュルと煙に巻かれて消えていった。そして次第に空間が歪み始める。契約したことにより領域らしきものが解けたのだろう。

 目覚めるとそこは朝になっていた。時計を確認すると1日前の7月13日の日付に変わっていた。それを見て僕は小さくガッツポーズをしてしまった。

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