第3話
「ミラ!何かここについて知っていることがあるか?俺は状況が全く飲めないんだが、」
そういうと彼女は窓の外に向けていた体を僕の方に向き直して、そっと微笑んだ。
「ハウト。今はそんなこと、気にしなくていいんだよ。」
「うん。分かったよ。」
彼女の驚くほど真剣な表情に、僕はそう言うしか出来なかった。それからしばらく列車に揺られていた。停車駅なんてものがここにあるのだろうか?そもそもこれはどこに向かっているのか。考えるなと言われても考えてしまう。彼女はそんな僕の隣で1人、窓の外を見ている。長い黒髪は艶があり、透けているようにも見える。綺麗だ。君は綺麗だよ。言いたいことなら星の数ほどあるんだ。でも君を前にしてしまうと何も、言葉が出ないんだよ。
「どうしたの?ハウト。真剣な顔して」
「なんでもない。」
その思いは1人、ポケットの中にしまっておいた。
次の瞬間、列車が大きく揺れた。一瞬バランスを崩したが、なんとか立ち直した。
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