第35話 SSランクダンジョン

 快人達は閉塞型シールダンジョンの攻略を開始する。

 快人はノアに抱えられた状態で飛んでいる。

 ノアは快人が自分を頼ってくれているのがうれしくて、暴走していた。


(アークヴァンパイア!?待てよ!?今のはヴァンパイアロードか!?)


 アークヴァンパイアはAランク、ヴァンパイアロードはSランクのモンスターである。

 だが、それをノアはすれ違いざまに瞬殺していた。

 それに魔石やドロップの方もちゃっかりノアが回収しているのである。


(なんだあれ!?)


 快人はノアの動きが速すぎて、風圧で喋れていない。

 それにほとんど瞬殺しているので、敵が何なのかかろうじて分かる程度だった。

 ゴーレムのようなものが立ちふさがったと思えば、そのまま無視して突っ切って粉砕。

 アークヴァンパイアやヴァンパイアロードが飛びかかってきたかと思えば、その瞬間、チリに変わっている。

 快人がもしも、龍に少しでも変質してなかったら、まったく何も見えなかっただろうし、おそらく速度の反動でどこか骨が折れていただろう。

 龍に変質しそうになったことによる恩恵は結構多いのだった。

 そうして、5分程、超速のジェットコースター(常人なら死亡)を味わうと、ようやくノアは止まった。


「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」


(やりすぎちゃったかな?)


「カ、カイト、大丈夫?」


「大丈夫・・・じゃないかも・・・」


 数分程、快人は休憩する。

 ようやく息が落ち着いたので、快人は周りを確認すると、そこはすでに最上階らしき場所だった。

 周りには、他に部屋はなく、豪華な門がぽつんと存在している。

 それにさっきまで大量に現れていたモンスターが一切姿を現さない。

 もしかしたら、ノアが全部倒した可能性もないことはないが、ボス部屋前の安全地帯だと考える方が自然だった。


「ここがボス部屋か?」


「多分ね。」


「というか、Sランクくらいのダンジョンだったのに、ボス部屋まで一瞬だったな・・・」


 せっかくノアのおかげで安全なのだから、攻略らしい攻略をしたかった、と快人は遠い目をする。


「なんか、ごめんね?」


「いや、ノアは悪くないさ。それじゃ、行くぞ。」


 豪華な門に快人は手を触れて、勢いよくおしあけた。


――――――――――――――――――――


ノア「えい!」


ドゴォォン!(ノアから放たれたレーザービームのような魔法がそこらじゅうで爆発する音)


アークヴァンパイア達「「「「「ガァァァァッ!?」」」」」


ヴァンパイアロード「ナゼダ!?」


ノア「てりゃ!」


ピチュン!(ノアのパンチでヴァンパイアロードが粉々になる音)


ヴァンパイアロード「グワァァァッ!?」


ガーディアンゴーレム(Aランク)『侵入者、排除』


ノア「てい!」


ボガンッ!(ガーディアンゴーレムが紙のように貫かれる音)


快人(あれぇ、おかしいなぁ・・・)


ヴァンパイアロード達「「「カカレェェ!!」」」


ノア「もう!」


シュシュシュン!(レーザービームのような魔法がばらまかれる音)


アークヴァンパイア達「「「「「ガァァァァァッ!?」」」」」


ヴァンパイアロード達「「「オノレェェェ!!」」」


ノア「邪魔だよ!」


ピピピチュン!(ノアのパンチによりヴァンパイアロード達が消し飛ばされる音)


ヴァンパイアロード達「「「グワァァァァッ!?」」」


ヴァンパイアエンペラー(Sランク。事実上、ヴァンパイアの最上位個体)「同族をよくも!」


ノア「せりゃ!」


ドパンッ!(ノアのパンチでヴァンパイアエンペラ―が粉砕される音)


ヴァンパイアエンペラー「なんのこれしきぃ!」


ノア「とりゃ!」


ドパンッ!(再びノアのパンチでヴァンパイアエンペラ―が粉砕される音)


ヴァンパイアエンペラ―「まだまだぁ!」


ノア「しつこい!」


ドドドドドドドドドッ!(ノアの片手による連続パンチによりヴァンパイアエンペラ―が復活するごとに粉砕される音)


ヴァンパイアエンペラ―「ま・・・だ・・・や、・・・・やめ・・・・グワァァァ!」


チュパドン!(ヴァンパイアエンペラ―が完全に消し飛ばされた音)


ノア(なんかしつこかったなぁ・・・)


死後の世界にいるヴァンパイア達「怖かった!」「なんだあれ!?」「あっちの方がよほど化け物じゃないか!」「何もできなかった!」「我、ヴァンパイアの王なのに・・・」「我、ヴァンパイアの皇帝なのに・・・」


ノア「何か言った?」


死後の世界にいるヴァンパイア達「「「「「「いえ、何も!」」」」」」

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