第31話 クエスト
快人はギルドから、快人がダンジョンオーバーに巻き込まれた場所である元妖精系のEランクダンジョン、今では悪魔系のBランクダンジョンとなったダンジョンがボス部屋がある最下層以外が解放されたという連絡がきた。
「いや、俺、Fランクだから関係がないんだけど?」
『いやぁ・・・実はですね。』
元平職員、今はギルマスの女性。
ダンジョンオーバーによる人とボスモンスターの融合事件について、快人と徹に攻略許可を勝手に出したことの責任を取る形で辞任しようとしたのだが、元々理恵を殺そうと考えていた上層部が自分達の痛い腹を探られないために、良く決断した!と褒め称えたため、辞任できず、逆にギルマスとして、有名になってしまっていた。
「はぁ・・・?元のダンジョンとの違いを知りたい?」
『どうやら、ピクシーと契約したことをかぎつけたらしくですね。快人さんのような人には片っ端から声をかけてるみたいなんですよ。』
「そこのダンジョンで契約した人ってことか?俺以外にいるのか、それ。」
『それがですね。いないんですよ。ただ、攻略したというか、観光に行った人はいるらしくてですね。その人にも声をかけてるみたいです。』
「なるほど・・・」
ダンジョンの研究者には稀にフットワークの非常に軽い人がいると聞いたことがあるが、そういうタイプの人がかぎつけたらしい。
「ちなみに断ることは?」
『できますけど、できれば受けてほしいんですよ。観光した方は、現在海外にいまして・・・』
「高ランク契約士なのか?」
海外にいるという事態にSランク以上の強い契約士なのか!?と快人は驚く。
『いえ、Cランクらしいです。その人は、たまたま、日本に来ていた時に寄っただけらしくてですね。』
「なるほどなぁ。報酬は?」
『出来高制ではありますけど、前金で100万、これは護衛料も含めてですね。あとは有用な情報が手に入ったり、何か危険なモンスターに襲われたりした際には、報酬を後で追加で払うという形みたいです。』
「護衛は俺だけか?」
『はい。ですけど、その研究者本人はBランク契約士なので、大丈夫ですよ。』
「本当に情報が欲しいだけか。」
『はい。これでも受けないなら、特殊クエストになる可能性も・・・』
「そっちの方が報酬よくなるんじゃ・・・」
断った方が報酬がよくなるということに気づく快人。
まぁ、別に金がそこまで必要ってわけではないが、あまり気の進まないことを引き受けるなら、報酬が高い方がいいよな、と考える。
『ただ、特殊クエストってギルドごとに出せる回数が決まってるんですよね。』
「その回数を減らしたくない、と。」
『はい。いざというときに特殊クエストの回数がない!ってなると困りますし、やっぱりここのギルドは他の場所と比べると、多少小規模ですから、元から回数が少ないんですよね。』
「なるほどな・・・というか、随分としっかりギルマスやってるな。」
嫌!とか言ってた割に、きちんとギルマスをやっている女性に快人は感心する。
ゴリラパワーだけじゃなかったんだな、と結構失礼なことを考えていた。
『そうなんですよぉ!そういえば、あの時よくもだましてくれましたね!私、ギルマスやめれると思ったのにぃ!』
「いや、正直、あれは想定外すぎるぞ?」
まさか、上層部に逆らったにもかかわらず、逆に褒められるという形になるとは快人は思いもしなかった。
徹はその可能性に気づいていたらしいが、ギルマスとのやりとりは快人が勝手にやったことなので、口を出すことはなかったのだ。
そもそも、徹もダンジョンに入れた方がよかったので、気づいていたとしても、言う気はなかったのだが。
『このぉ!恨みますからねぇ!』
「分かった!分かった!クエストを引き受ける!それでいいだろ!?」
『・・・それでも許しませんからね。』
「しつこいな!?なら、特殊クエストになるまで待つぞ!?」
『分かりましたよ~、これでチャラにしてあげます。』
なんか、いいようにされた気もしないでもないが、快人は結局、そのクエストを引き受けることになったのだった。
――――――――――――――――――――
ギルマス「ふぅ・・・このネタ使えますね・・・今後も使えるときは使いましょう!」
ノア「じーーーー」
ぞわぞわ(ギルマスの悪寒)
ギルマス「なんか悪寒が・・・はっ!これは、私がジャングルで毒蛇にかまれそうになった時に起こった直感!つまり、この話題はもう使わない方がよさそうですね・・・(でも、もったいないですから、後1回くらい・・・)」
ノア「・・・」
ギルマス「まだ悪寒が!?口ではこう言ったけど、本当はまた使おうと考えていたからですか!?もう使いません!絶対!」
ノア「・・・よし。」
ギルマス「悪寒が消えた・・・やっぱり、下手なこと、考えるべきじゃないですね。」
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