第27話 エピローグ

「は~。」


 アダマンタイトゴーレムとの激闘から数日が経った。

 徹と理恵が魂の契約をした後、徹が契約していたモルキングにより、理恵はアダマンタイトゴーレム(本体)から取り出された。

 だが意識すれば、アダマンタイトゴーレムに再びなれるというなんというか余計に人間離れしたらしい。


(ただでさえ、アイアンクローが人間離れしてるのに・・・)


 Sランクモンスターになれるとはどういうことだ、と快人は苦笑する。

 後々、専門家が調べたところ、理恵はかなり特殊な形ではあるが、アダマンタイトゴーレムと体全てを代償にした契約を結んでいるとのことだった。

 普通は融合するような形にはならないのだが、そこについてはよく分からないとか。

 契約印も存在しないため、本当に希少なパターンである。


「俺は、契約士やめるぞ。」


「私も。」


 徹と理恵は今回のことで契約士ギルドも信用できなくなったらしい。

 それにダンジョンの恐ろしさも実感したようで、契約士をやめると言っていた。


「寂しくなるなぁ・・・」


 部室には来るし、アドバイスとかはしてやるよ、とは徹が言っていたものの、快人が徹や理恵とダンジョンに潜ることはもうなさそうだった。


「まぁ、用心棒としては強いよな。」


 2人は契約士をやめるが、今後の人生が暗いものになることはないだろう。

 2人とも成績優秀だし、適応力も高い。

 それに加えて、契約士をやめるからと言って、徹はホワイトドラゴンたちと理恵はアダマンタイトゴーレムと(他のモンスターとの契約はなぜか解除されていたらしい)契約していることに変わりはない。

 スタミナをごっそり削られるとはいえ、一時的に呼び出すことができるのだから、いざというときの用心棒としても、もしダンジョンブレイクが起こった時は戦力としても有用だろう。

 職に困るということはなさそうだった。


(そもそも、徹先輩と理恵先輩の2人がそろってて、何か困るようなことが起きるとは思えないんだよなぁ・・・)


 いつの間にか、勤めている会社を掌握とかしてそうな2人である。

 俺も契約士やめることがあったら、2人に頼ろう、となんとも人任せなことを考えている快人だった。


「ねぇ、カイト。」


「ん?」


「今回、ボクもルーも頑張ったよね?」


「ん・・あぁ、助かったが・・・。」


「というわけでご褒美を要求します!」


「え?」


「ルーはおいしいものをいっぱい食べたいって!」


「いや、待て待て、どうやって?」


「レストランとかで。」


「呼び出せと?」


「そう。」


「いやいや!死ぬ死ぬ!10分が限度だぞ!というかそれでも普通よりは長いんだぞ!?」


 快人は首を横にぶんぶんと振る。

 なぜなら、ダンジョン内や特殊空間以外でのモンスターの呼び出しは体力の消費が尋常じゃないからだ。

 それこそ、衰弱死した人も中にはいるほどだった。

 快人の10分という時間は、契約士の中でもかなり長い方である。

 ギルド公式の最高記録が14分38秒ということの時点でよく分かるだろう。

 ちなみにそれをやった本人はその後、2日程寝込んだらしい。


「うーん、大丈夫だよ。モンスターを呼んで食事ができるお店もあるって。」


 ほら、とノアはいつの間にか端末で調べていた情報を見せてくる。

 ノアは買ってあげた端末を十全に利用しているようだった。


「そういうところ高いんだよなぁ・・・まぁ、臨時収入もあったしいっか。」


 今回の件で、理恵を殺すという計画をギルドが立てていたことや人とモンスターが融合したことについての口止め料として、数百万程、お金をもらっていた。

 当の本人である理恵は数千万程もらったとか。


「あとはボクだね!ボクは・・・」


 ごくり、と快人は唾をのむ。

 どんなご褒美を要求されるのか戦々恐々としていた。


「デートをお願いしようかな!」


「でーと?え?でーとってあのデートか?」


「そうだよ。」


 むしろ、自分のご褒美じゃね?と思う快人。

 なにせ、ノアは絶世の美少女なのだ。

 そんな美少女とデートができるだなんて、快人にとってもご褒美だった。


「分かった!」


「あ、もちろん、余裕がある時でいいからね。ただし!」


「ん?」


「次の土日はカイトはダンジョン禁止!」


「え!?」


 快人はそれは次の土日、ご褒美をくれということなのか?と考える。


「カイト、最近、頑張りすぎだからね。少しは休まないと。あ、ご褒美くれるって言うなら、ありがたく受け取るからね!」


「あはは・・・そうだな。次の土日休むことにする。デートは行こう。ルーのご褒美は・・・予約とれたらとっておく。」


「ならよし!」


「これからも頼むぞ。」


「もちろん!」


 さてさて、快人に平穏は訪れるのか・・・それこそ作者のみぞ知ることだった。


――――――――――――――――――――


快人「最後になんて不吉なナレーションつけやがる!?」


作者「主人公に平穏は訪れない!これ一般常識だぞ!」


快人「そんな一般常識あってたまるかぁ!」


ノア「・・・デートはちゃんとさせてね?」


作者「さぁ、どうかな?」


ノア「させてね?」


ヒュッ(ノアのパンチが作者の腹のギリギリで寸止めする音)


ごくり(パンチの風圧で腹が少し圧迫されたのを感じて、作者が唾をのむ音)


ドバッ(恐怖から作者が冷や汗を大量に流す音)


作者「は、はい。」


ノア「ならよし!」


作者「これにて2章完結!3章はどうなるかな?その前に快人とノアのデート編を挟むかも!いや、恋愛系の題材は苦手なので飛ばすかも。うーん、これもまた作者のみぞ知る!いや、やっぱり分からないかも。・・・とりあえず気分次第ということで!」


快人「優柔不断だな!?」

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