第22話 Aランクダンジョン
それから次の日、徹と快人は目的地である理恵先輩がいるというAランクダンジョンへと到着していた。
だが、すでに問題が発生している。
「入らせろ!」
「ダメです。規則上、誰もいれるなと命令が出ています。」
「くそ!堅物め。邪魔をするなら・・・」
「ストーップ!」
快人はモンスターを呼び出してまだ強行突破しようとする徹を止め、とりあえず、いったん引き下がった。
「先輩、落ち着け。」
「くそ・・・」
「別の方法をとりますよ。」
快人はそう言うと、端末を取り出して、武田に連絡をした。
『あ?快人か?いったいどうした。』
「武田さん、ダンジョンオーバーの件で何か知ってますよね?」
『・・・あまりそれに触れるな。また面倒事に巻き込まれるぞ。』
「もう絶賛巻き込まれ中です。というわけで助けてください。」
忠告してもらったはいいのだが、すでにがっつり快人はかかわってしまっている。
『できることは限られるが・・・何をしてほしいんだ?』
「さすが武田さん。ダンジョンオーバーが起きてAランクになったダンジョンへの攻略許可をください。」
『・・・無茶を言うな。待て・・・そもそも、知っているのか?』
何を?とは快人も聞かない。
分かり切った話だからだ。
「被害者が学校の先輩でして。」
『・・・分かった。だが、今回の場合、俺よりも今のギルマスの方がいいだろ。そっちに連絡しろ。ギルマスやめたがってたからちょうどいいんじゃないか?』
「分かりました。ありがとうございます。」
快人は武田との通話を切ると、今度はあの時の女性職員、今ではギルマスとなっている人に電話をかけた。
『はいはい・・・ってあなたですか。』
「久しぶりです。」
『今回は何ですかぁ・・・私忙しいんですよ。』
「端的に言うと、閉鎖しているAランクダンジョンへの攻略許可をください。」
『封鎖しているAランクダンジョン・・・?私まだ知らないんですけど・・・』
がさがさと紙をあさるような音が電話から聞こえる。
『あ、ありました!何々・・ってえぇぇっ!?何ですか、これ!?』
「とりあえず、そういうのいいんで。許可ください。」
『いやいや、ダメですよ!』
「・・・いいんですか?ギルマスをやめるせっかくの機会ですよ?」
『話を聞きましょう。』
キリッという副音声でもつきそうな手のひらがえしに、快人は苦笑する。
「俺ともう1人いるんですけど、その人に攻略許可を出すとします。」
『はい。』
「そしたら、勝手な行動をしたということで自分から退任してしまえばいいんですよ。それで後は反省として、平職員からまた活動しますとでも言えば・・・」
『ギルマスを下りれると・・・分かりました!許可出しますよ!』
「俺と、もう1人はBランク契約士の宇嶋徹です。」
『はいはーい。ちょちょいのちょい!っとKマップの方に許可出しときましたよ!』
「ありがとうございます。」
『あれ・・・?でもちょっと待ってください。もし2人が死んだら、私ギルマスやめるところじゃ、すまn』
快人は途中で電話をプチっと切る。
そして、徹の方を見た。
「行きましょう。許可出たはずです。」
「そ、そうか?」
(なんか、ひどい詐欺を見たような・・・)
ダンジョンの監視員と少しもめることとなったが、正式な許可が出てるのは確かなので、監視員も通さざるを得なくなり、快人と徹は件のダンジョンの攻略を開始した。
――――――――――――――――――――
ギルマス『ちょっと!まずいんじゃないですか!?』
職員A『ギルマス!何してるんですか!早く仕事してください!』
ギルマス『ちょっと待ってくださいって!』
職員A『書類どんどん来てますよ!』
職員B『追加でーす。』
ドンッ(山盛りの書類が机の上に置かれた音)
ギルマス『ひぃぃっ!』
バサバサバサ(ギルマスが慌てて書類を処理する音)
ギルマス『忙しいぃぃっ!あれ?何かやらないといけないことがあったような・・・』
職員C『追加でーす。』
ドドンッ(山盛りの書類がさらに机の上に置かれた音)
ギルマス『ひぃぃっ!もうやだぁぁぁぁっ!』
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