第17話 死屍累々
快人、伸司、徹は理恵により、お仕置きを受けて、ゾンビのようにあーあーとしか言わなくなるというカオスな状況になっている部室。
もしも誰かが見ていたら、やばい儀式をやっていると先生に報告が届いていたことだろう。
「もう・・・」
ダイイングメッセージのように血で文字を書く快人と伸司。
内容は全く同じで「犯人はアイアンクローが得意な女子。」である。
というか、血が出るだけの力でアイアンクローを行えるのがおかしいのである。
ちなみに、理恵の「もう・・・」というのは、血の汚れが落ちないことに対する不満だった。
「ほら、3人とも起きて。」
「「「へーい。」」」
まぁ、この光景は徹がいるときはほぼいつものことなので、慣れ切っている3人。
ゾンビから人に戻ると、水で血を洗い流していた。
(俺・・・傷もう治ってるんだけどな・・・)
血が出たのに傷が治っているというのはおかしな話なので、快人も一応、傷がないことを隠すために、常備している絆創膏をこめかみ付近に貼る。
「さてと・・・部活なんだけど。何か報告ある?」
「特には。」
「ないな。」
「ない。」
理恵が取り仕切るが、快人も伸司も徹も特に何もないのである。
実質、契約部の部室はただのたまり場にすぎなかった。
「じゃあ、いつも通り解散です。」
「「「はーい。」」」
ぐだぐだもいいところだがこれがいつも通りなのだった。
「よっしゃ。快人、ダードやろうぜ。」
「いいぞ。」
ダンジョンカード、通称『ダード』。
ダンジョンに出てくるモンスターが元となっているカードゲームだ。
アプリ版もあれば、実物のカードも存在する。
アプリ版では実物のカードのICチップを読みこむことで、カードを使えるようにする事もできる。
快人も伸司も実物も集めているが、基本プレイするのはアプリなので、端末を用意する。
しばらく2人でプレイしていたのだが、途中からは徹や理恵も混ぜってバトルを続けるのだった。
―――――――――――――――――――――
快人「徹先輩が強すぎる・・・」
伸司「まじで強カードばっかり・・・」
徹「金はあるからな。」
快人「金の亡者め。」
伸司「金に物を言わせやがって。」
理恵「でも、そもそも2人とも弱いような・・・」
快人「いやいや、というか、理恵先輩も強カード多くないですか?課金しまくってません?」
理恵「月に数千円くらい・・・?」
快人「普通ですね。」
伸司「意外と普通だな。」
作者(ここで説明を。ダンジョンカードのアプリはそもそもカードを手に入れる方法は課金以外ほぼ存在しないので、課金するのが普通です。数千円といえば、パックの箱を1つか2つ買う程度で、まともにプレイするにはそれくらいの課金が必要です。以上、すごいどうでもいい説明でした。)
徹「理恵は昔から運がいいんだ。」
快人・伸司「「なるほど。」」
快人「で、ちなみに、徹先輩は月に何円ですか?」
伸司「気になるな。」
徹「あー、今月は5万くらいか?」
快人・伸司「「多っ!?」」
理恵「徹は昔から金遣いが荒いから・・・ちなみに2人は?」
快人「俺は1万くらいです。」
伸司「俺も同じくらい。」
理恵「私もそれぐらい課金してみようかな・・・」
快人「やめてください。」
伸司「快人に同じく、やめてください。」
理恵「どうして?」
快人「強運の人がこれ以上買って強くなったら勝てる要素が一切なくなるからです。」
伸司「そうそう、徹先輩は金使いまくってるから諦めがつくけど・・・北里先輩にこれ以上強くなられるのはちょっと・・・」
徹「お前ら結構情けないこと言ってるぞ。もはや、逆にすがすがしい気もするが。」
快人・伸司「「あんたも原因だけどな。」」
理恵「うーん、じゃあ、我慢しておく?」
快人・伸司「「お願いします。」」
徹「気にせず買ってしまえ、理恵。」
快人「鬼!」
伸司「寝坊助!」
快人「悪魔!」
伸司「ぐうたら!」
快人「魔王!」
伸司「金の亡者!」
徹「おいおい。快人はともかく、伸司の悪口がかなりひびくんだが?」
快人「そりゃ、身に覚えがあるからでしょ。」
伸司「そうだな。」
理恵「おふざけはそこまで、もう6時になるから解散。」
快人・伸司・徹「「「はーい。」」」
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