第2章 ダンジョンオーバー編
第16話 プロローグ
今日、快人は学校に来ていた。
私立紫苑高等学校、偏差値は50くらいの高校だ。
特進科もあり、そこは60程の偏差値だ。
「よぉ!快人!」
「いてっ!なんだ、
「なんだとはひでぇな。」
「というか、この流れ前もやったぞ・・・」
「ん?」
「いや、こっちの話。」
座っていた快人の背中をバシッと叩き、声をかけてきたのは、武田伸司。
そう名前からも分かるだろうが、あの武田の息子・・・というのは冗談で、従弟にあたる。
ちなみに、武田・・・フルネームだと武田
伸司は、武田を尊敬しているということもあってか、かなり性格も似ている。
「なんか、兄貴から聞いたぞ。盛大にやらかしたんだってな?」
伸司の言う兄貴とは武田のことだ。
「俺が原因じゃないぞ。」
「まぁまぁ・・・でさ、ドラゴン系と契約したって本当か?」
「あぁ。」
声を小さくして、こっそりと聞いてくる伸司。
こういうところも武田とそっくりだった。
「まじかよ。いいなぁ。」
「そうは言いつつ、お前もうCランクに上がりそうなんだろ?」
「へへっ、そうだぜ。早くBになって、『ギガント』に入れてもらうんだ!」
伸司が自力でBランクになれれば、『ギガント』へ入ることを許可すると、武田が言ったらしく、それを目標に伸司は契約士活動を頑張っている。
(これ、俺が誘われたことは知らない・・・よな?)
ちょっと不安になりつつ、この程度で壊れる友情じゃないよな、と快人は少し笑う。
「でさ、せっかく、快人もモンスターを手に入れたんだろ?なら、今度一緒にダンジョン行こうぜ!」
「おいおい・・・俺とだとEまでしかいけないだろ?」
「そうだよなぁ・・・グループに入ってれば、そういうの無視できるんだけどなぁ。」
グループの特権の内に、ダンジョンに潜る際、潜るメンバーの最高ランクを元にダンジョンに挑戦してよいというものがある。
つまり、グループのメンバー内なら、Aランクの人が同行することでFランクの人をBランクダンジョンに連れていくことも可能ということだ。
メリットが少ないので、遠征とか以外では、ほぼ使われない特権だが。
「まぁ、俺がEランクに上がったら行こうか。」
「おう!そしたらDランクに一緒に行こうぜ!」
「そうだな。」
その後も、どこのだれかが有名だの、どのモンスターが強いだのとしゃべっていると、先生が来たので、伸司は慌てて席に座った。
――――――――――――――――――――
その後、授業が終わり、昼食も食べ、午後の授業も終わり、放課後になる。
そしたら、快人と伸司は部室に向かった。
「今日はどんだけ来てるか予想しようぜ。」
部室に向かう途中で伸司はそういった。
「そうだなぁ・・・俺達を含めずに2人かな。」
「お、じゃあ、俺は3人で。」
そんなことを言っている内に部室にたどり着いたので、ガラッと扉を開ける。
と中には誰もいなかった。
「残念ながら0だな。」
「早く来すぎたか?」
「ぐー。」
「あぁ・・・いや、1人いたな。」
「いたけど、この人、今日、この部屋から出てないだろ・・・」
2人が見つけたのは、寝袋の中に入り、アイマスクをつけてぐーすかと寝ている男子だった。
「この先輩、これでもBランクなんだよな?」
「人は見かけによらねぇってことだろ。」
その男子の名前は、
この高校の3年生で、Bランク契約士の1人である。
快人と伸司が在籍している部活、それは契約部である。
学校側が契約士の適性を持つ人を把握するための部活で、契約士でなくても、契約士の適性を持つ人はこの部活に必ず入らなくてはならない。
もちろん、部活動自体は参加自由で兼部推奨だ。
「しかも、成績優秀なんだろ?」
「人は見かけによらねぇってことだろ。」
快人はありえないだろ、と思いつつも言うが、伸司はもはや壊れたスピーカのように同じ言葉を繰り返すだけだ。
「どうなってんだ?」
「俺はそれよりも、北里先輩がこの人のことを好きだってことの方が信じられねぇ・・・」
「あぁ、伸司は理恵先輩の方が好きだもんな?」
「うるせぇ!」
にやにやと笑いながら快人は伸司をからかう。
伸司は顔を赤くしながら叫んだ。
「お前ら、やかましいぞ。」
うーん、と不機嫌な様子で起きる徹。
「あ、起きたんですか。おはようございまーす。」
「おはようございまーす。」
「お前ら切り替え早いな・・・」
さっきまで自分をけなすような感じで喋っていたのに、今ではさわやかに挨拶をしてくる様子を見て、徹は呆れる。
「で、今日はどうしてたんですか?」
「ずっと寝てた。」
「ずるい。」
「堂々とサボり宣言。」
「仕方ないだろ。最近遠征があったんだ。」
そう徹はBランクだけあって、グループに所属しているAランク契約士がリーダーの『旅団』というグループである。
イケメンぞろいということでそこそこ有名だ。
徹ももちろん、イケメンである。
「いいご身分で。」
「まぁな、お前らもBランクになれば、俺みたいに過ごしていいんだぞ?」
「そんなこと言ってると、理恵先輩呼んできますよ。」
理恵は唯一徹をたじたじにできる相手で、徹の幼馴染である。
「そいつは勘弁。」
「何が勘弁ですって?」
「おっと、失言だった。」
徹は降参と言わんばかりに、両手を上げる。
快人も部室の入口の方に振り替えると、口元がぴくぴくと動いている理恵が立っていた。
――――――――――――――――――――
徹「これ、俺死ぬかも。」
快人「頑張ってください。」
理恵「待ちなさい。」
ガシッ(自然に逃げようとした快人と黙ってこっそり逃げようとした伸司を捕まえた音)
理恵「あなたたちの中で私のイメージがどうなっているのかきちんと聞いておかないと・・・ね?」
伸司「綺麗な先輩です!」
快人「伸司に同じく!」
理恵「それは嬉しいけど・・・本心?」
伸司・快人「「本心です!」」
理恵「・・・ダウト。」
ガシッ(北里の手が伸司と快人の頭をつかんだ音)
プルプル(北里のアイアンクロー待ったなしの状況に震える2人)
ギギギッ(アイアンクローが開始した音)
伸司・快人「「ぐあぁぁぁぁつ!!」」
徹「ははは・・・」
理恵「徹もあとでやるから。」
徹「いやいや・・・別に無理にやらなくても・・・」
べタンッ!(北里が手を放したことで2人が地面に激突した音)
ガシッ!(北里の手が徹の頭をつかんだ音)
プルプル(北里のアイアンクロー待ったなしの状況に震える徹)
メギィッ!(伸司や快人の時よりもはるかに強い力でアイアンクローが開始した音)
徹「ぐぁぁぁぁぁぁっ!」
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