第12話 ダンジョン攻略中・・・

 あれから1週間経って、土日になる。

 快人は一応高校1年生なので学校は普通にある。

 まだ、6月なので、夏休みもまだ先といったところだった。

 一応、契約士活動に寛容な学校を選んだので、1週間に1日休むくらいなら問題はないのだが、快人は自分でも契約できるか分からなかったので、学校にはきちんと通っていた。


「よし!今度こそダンジョン攻略だ!」


 今回挑むのは5層のFランクダンジョンである。

 こういうダンジョンはどうやって見つけるのか、そして勝手に潜っていいのかという今更な話なのだが、その答えは簡単だ。

 契約士専用のアプリにKマップというものがある。

 Kマップにはダンジョンの位置が表示されており、挑みたいダンジョンの条件などを選択すると、近場にあるものから表示してくれる機能もある優れモノだ。

 そして、地図上のダンジョンをタップすると、挑戦するかどうかの選択がでるので、そこで挑戦するをタップすると、そのダンジョンに潜るよーという情報がギルドの方へ連絡される。

 勝手に潜るのは法律違反であるため、Kマップやギルドへの連絡なしに潜った場合は最悪、契約士としての資格の取り上げもあるので、大抵の人がルールを守る。

 それでも犯罪目的などで勝手に潜る人もいるのだが、そこまでは管理しきれないというのが契約士ギルドの言い分だった。


(まぁ、そりゃそうだよな・・・)


 よくラノベとかでダンジョンを管理するなどと言っているが、勝手に出現するダンジョンを発見するごとに管理するための対処を行うというのはどれだけお金がかかるだろうか。

 それにFやEなら、すぐにクリアされてなくなってしまうことも普通にある。

 最初の頃はそういった対処も考えていたらしいが、対処しようと考えた次の日にはクリアされてなくなってましたーということも多かったらしく、全部への対処は無理ということで、ある程度数が限られるかつ、実入りの多いダンジョンだけ管理するという形に変わった。

 Bランク以上はモンスターがダンジョンからあふれ出すダンジョンブレイクの被害が大きすぎるので、絶対管理。

 Cランクは実入りの多いタイプのダンジョンのみ管理しているらしい。

 Dランク以下はほぼ無視で、一応ダンジョンが確認されてからある程度の年月が経つと、調査員達が派遣され、ダンジョンブレイクの可能性があると見なされれば、即攻略するという形となっているとのことだった。

 見つかると、ダンジョンのランクの確認のために、調査団を派遣するというのはどの場合でも変わらないとのことだが。

 ちなみに、ほぼ全部が武田からの情報である。


「出てこい、ルー。」


「ルゥ!」


「初めてのダンジョン攻略だ。頼むぞ!」


「ルゥ♪」


 快人はいつも通り、隠れようとするが、よくよく考えれば、もう隠れる必要はないんだった、と隠れるのをやめる。

 一応、Bランク以上ともなれば、不必要な戦いを避けないとモンスターの消耗が激しいので、隠れる技術は必要不可欠だ。

 だが、すでに快人の隠れ方は、モンスター相手には十分に通用するものだった。

 狩人をやっている人に隠れ方を教えてもらったり武田にも教えてもらったりしたというのもあって、快人の隠遁の技能はそれなりに高いのである。

 それもあって、今更練習しなくても余程特殊なモンスターじゃない限りは問題ないのだった。


「キュアッ!」


 今回快人が来たダンジョンは前回と同じゴブリンばかりのダンジョンのようだった。

 ルーが襲ってくるゴブリンを瞬殺しているので、まるで散歩するかのようにダンジョンを進んでいける。


(ねぇ、カイト。ボクも出たらダメ?)


(ダメだ。出すとしてもボス部屋だけ・・・それだとしても過剰戦力だぞ。)


(だって、ボク暇なんだもん。)


(でもなぁ・・・もっと強いところにいくようになるまで待っててくれ。)


(分かったよ、楽しみに待ってるから、早くいけるようになったね。)


(分かったよ。)


 これは快人の契約士ランクが原因だ。

 快人は今までダンジョン攻略回数0の完全初心者である。

 いくら強いモンスターと契約しようともFランク契約士であることは変わらなかった。

 いやそもそも、契約できていない時点でFランクですらなかったのだが。

 Fランクになる条件はモンスター1体と契約することなので、契約ができていなかった快人はFランクですらなかったということだ。

 『なんちゃって契約士』と言われるのも無理もなかった。

 そして、ダンジョンは契約士ランクの1個上までランクのものまでしか挑戦できないので、カイトの場合、Eランクのダンジョンまでしか受けることができない。

 少なくともノアが活躍するレベルとなると、契約士ランクがCにならないと話にならないのである。


「というか・・・ルー強すぎ・・・」


 ちょうどルーが牙と爪でゴブリン数体を余裕でぼこぼこにしていた。

 ダンジョンでモンスターを倒すと魔石をドロップする。

 快人はさっきからちょこまかとルーが倒したモンスターの魔石を拾っていた。


(すでに30個くらいあるなぁ・・・)


 Fランクモンスターの魔石なんて、200~300円(需要と供給で変動)くらいなので、子供のお小遣いにしかならないが、40,50個も集めれば、約1万円とまぁまぁのお小遣いである。


「意外と楽勝かもな。」


 これならDランクくらいまでならすぐに上がりそうだ、と快人は喜んだ。


――――――――――――――――――――


ついにPVが1000を超えました!

嬉しいです。ありがとうございます。

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