第7話 契約モンスター登録
ノアと出会った次の日、快人は最寄りの契約士ギルドに出向いていた。
「え・・・!?契約できた!?」
「そうだって、何度も言ってるだろ!?」
今まで契約ができなかった快人はギルド職員に契約したことを信じてもらえないでいた。
「ほら!手に契約印あるだろ!?」
「何かのペイントなんじゃ・・・」
「いやいや!?なんでわざわざそんなことするんだよ!」
「だって・・・契約できないんでしょう?」
「失礼だな!?契約自体はできるっての!なぜか、契約ダンジョンでも襲われるだけで!」
「それできないことと同義なんじゃ・・・」
「だから、野良のダンジョンで契約したの!」
「えぇ・・・やっぱり、嘘なんじゃ・・・。」
「あぁ!もう!そもそも召喚してみせるから、早く場所を用意してくれ!」
「本当なんですよね・・・?」
「本当だって言ってるだろ!?」
職員の女性は快人のことを怪しみながら、契約モンスターを召喚できる特殊空間が展開されている部屋を1つ予約する。
今までが2年間も契約できていなかったのもあって、尋常じゃないレベルで疑われている。
契約したとしても、不憫なことに変わりはないようだった。
「よう!快人!」
「いてっ!?あ・・・なんだ、
受付でぎゃーぎゃーとやっていた快人の背中を誰かが叩く。
叩いたのは、前に言ったAランクモンスターと契約しているSランク契約士の武田だった。
武田は、Dランクモンスターのレッドベアーと殴り合ったという逸話を持つほど、むきむきの男性だ。
「なんだとはひでぇな。それはともかく、ついに契約できたのか!よかったじゃねぇか!」
「ありがとうございます。」
「おう!で・・・だな。」
武田は快人の耳に顔を近づいて、小さい声でしゃべる。
「どういうモンスターと契約したんだ?あ、いや、言いたくないなら言わなくていいぞ。」
「まぁ・・・武田さんなら、お世話になったので・・・ドラゴンの子供です。」
「まじかよ!?」
小さい声で叫ぶという器用なことをして驚く武田。
ドラゴン系はモンスターの系列の中ではほぼ最高位に位置する。
しかし、ドラゴンは幼体から成体に育てるまでにかかる時間や苦労が半端じゃないので、子供のドラゴンはあまり人気がない存在だった。
ただ、子供のドラゴンと言えど、ドラゴンはドラゴンなので、一部例外を除けば、最低でもDランク以上の強さは保証されているが。
そもそも、快人が契約したルーは、正確にはドラゴンではなく、龍という存在なので、通常のドラゴンよりはるかに強い。
「・・・快人、俺のグループに来い。将来性を買うぜ。もちろん、ドラゴンを育てるのも手伝うぞ。」
グループというのは、契約士達が複数人でつくった小規模のギルドのようなもので、中には千人以上のメンバーがいるグループもある。
武田が作ったのは、Sランクグループ『ギガント』。
Bランク2人、Aランク2人、Sランク1人で構成される日本でも最高峰に位置するグループだった。
「いえ・・・できれば、自分でグループを作りたいと考えています。」
だが、快人は武田の誘いを断る。
決して、武田を信用していないというわけではないが、ノアという存在は尋常ではない。
できるならば隠しておきたいし、ばらすなら、自分で信用できると思えた相手のみにしたかった。
武田はグループリーダーということもあり、日本でも数少ないSランク契約士ということもあって、ギルドの正式職員の1人でもある。
武田個人としてはもちろん、信用できるが、立場などからギルドやグループメンバーに秘密にするのは難しいと、快人は考えていた。
「お!それもそれでいいな!ならそんときは、ライバルだな!」
「はい、お願いします!」
断ったにもかかわらず、武田はニヤッと笑いながら、快人を応援する。
内心残念ではあった武田だったが、グループを作るのは条件が厳しいのも知っているので、グループ作るのをあきらめたときに、また勧誘すればいいと考えていた。
(その頃には、ドラゴンもかなり育っているだろうしな。)
馬鹿っぽく見えるが、意外としたたかな武田であった。
「あの~、用意できましたので、こちらへどうぞ。」
「おう、すまねぇな。ほら、快人行ってこい。」
「はい、行ってきます。」
武田と別れ、快人は職員に案内されて、ギルドの奥に向かった。
――――――――――――――――――――
快人「この人疑い深いな・・・」
女性職員「当たり前でしょ!なにせ、有名なんですから!」
快人「・・・(まじ、ふざけんなぁ!)」
作者「ぷぷぷ・・・」
快人「ルー、ブレス。」
ルー「キュアァァッ!」
作者「ぎゃぁぁぁぁっ!」
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