第6話 帰宅
その後も即死しない限り、傷がすぐ治るような体になったとか、白いチビドラゴンと契約することになったとか、いろいろあったもののようやく帰宅できていた。
「はぁ・・・疲れた。」
「お疲れ様。」
「おう、ありがと・・・ってうわっ!?」
ベッドにぼふんっと倒れ込んだ後、独り言をつぶやくとなぜか返事が返ってきたことに驚く。
快人は起き上がって確認すると、ぷかぷかと浮かんでいるノアがいた。
「えぇ・・・勝手に出てるし。」
「もちろん!ボクはずっとカイトの傍にいるよ!」
通常は契約したモンスターは契約印の中にいて、勝手に出ることは不可能なのである。
一応、特殊な空間やダンジョン内では召喚できるが、普通の場所でモンスターは召喚できないはずだった。
いや、できるのはできるらしいが、主である契約士の疲労がえげつないので基本はやらないとのことだった。
「というか、俺が疲れてる原因、ノアが出てるからなんじゃ・・・」
「いや違うよ?ボクは自力で出てるから。多分、結構強いやつらは自力で出てこれると思うよ。」
「それ何気に新情報な気がする・・・」
新情報を契約士ギルドに提供すると、情報料がもらえる。
例えば、快人が契約ダンジョンにデュラハンが出たというのもそうだ。
だが今回の場合、どうやって知ったんだということが説明できない状況だった。
快人はノアという超戦力と契約できたのはいいが、契約士としてはド素人もいいとこだ。
いろいろ狙われる可能性を考えると、ノアと契約したのがバレるのは後であればあるほどいい。
というわけで、ノアと契約したことは隠して、あの白いミニドラゴン(安直だが名前は鳴き声からとって『ルー』と名付けた)とたまたま野良のダンジョンで契約できたことにして、今後、契約士として活動しようと考えていた。
もちろん、1人で行動する時で周りに誰もいない場合とか命の危険がある場合は、ノアにもいろいろと手伝ってもらうつもりではいたが。
「それに、ほら。」
ノアが地面に降りるとパァッと一瞬光る。
まぶしっ!と目を閉じ、快人が次に目を開いたときにはノアの姿が少し変わっていた。
美少女っぷりは変わっていないが、角だけが消えていた。
「これで一緒にいれるよね?」
「そりゃ、まぁ・・・ってずっと、出ておくつもりか!?」
「もちろん、ダンジョンに入る前とかには契約印の中に隠れておくよ。でも日常の時は・・・ね?ダメ・・・かな?」
「っ!」
(その聞き方は卑怯だぞ!?)
ベッドの上にいる快人にすりよるかのようにノアは動き、上目遣いで不安そうな表情で尋ねる。
童貞である快人には効果抜群、ほぼ反射的にうなずいていた。
「やった!」
「つい、反射的にうなずいちまった・・・えぇ・・・やばいんじゃ・・・」
喜んでいる様子のノアを見て、快人はまぁいっかと考えるのを放棄した。
どうせどうにかなるだろう、と。
――――――――――――――――――――
とあるダンジョンの最奥にて。
『まさか・・・あのノアと人間が契約・・・?そんな馬鹿なこと・・・いえ、まぁ、封印から逃げるために利用したというところでしょうか。厄介なことには違いありませんね。』
そうつぶやく存在の姿は、角がないノアとそっくり・・・いや、髪は神々しく銀色に輝き、その瞳はまるで宇宙から見た地球の海のように澄んだ青色をしていた。
ちなみに、ノアは契約主である快人に惚れているので、その存在が考えていることは全く的外れなことだった。
『監視すべき・・・いえ、逆探知される可能性は避けた方がいいですね。当分、大きな行動を起こすまでは放置しておきましょう。』
システムから来た報告から目を離し、ダンジョンの構築と調整を再び始める。
彼女の名前は『ステラ』。
地球にダンジョンを創造し、破滅をもたらす役割を得た存在である。
――――――――――――――――――――
作者「何気にボス枠登場です。ちなみに、快人達には秘密なので、黙っておいてね!」
ノア「何をかな?」
作者「ぎゃあぁぁっ!来ちゃダメ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます