第5話 子供?

「ん・・・」


 気絶してから、2時間程が経ち、快人はようやく目を覚ました。

 極度の疲労から起きたにもかかわらず、なんだか頭がぼんやりとしていた。


「そうだ・・・確か・・・ノア!」


「・・・呼んだ?」


 声がした方向を快人は見ると、なぜか三角座りになってぷかぷかと浮いているノアがいた。


「ノ~ア~!」


「悪かったよ・・・だから、ごめんね。」


「許すかぁ!」


「ひっ!だから悪かったから!」


 なぜか快人が怒ると、おびえた様子でノアは快人のことを見る。

 先ほどまでの堂々とした姿はどこに行ったのか、今のノアは快人にとって脅威に見えなかった。


「なんで、おびえてるんだ?」


「お、怯えてなんかないよ。」


「ははーん?なんか、あるな?」


 びくびくした様子でノアは快人のことを見る。

 どう考えても、何かあるようにしか見えない。


「う・・・分かった!言うから!」


 ノアは無理矢理言わされるよりも自分から言った方がいいかも、と考えて言うことを決断する。


「さぁ、吐け!」


「・・・カイトに命令権が与えられたんだよ。」


 しぶしぶとノアは口を開いた。

 ノアにとっては言いたくない内容だったが、その内容が原因で教えざるを得なかった。


「命令権が与えられた?」


「ボクがやった龍への変質がうまくいかなすぎて、主、つまりカイトへ危害を加えた認定をされたんだよ。そのせいで、魂の契約なら本来あり得ない、命令権がカイトに与えられたってこと!」


 本来ならば、龍への変質は主を守るための行動扱いだったが、快人があまりにも龍に変質せず、異常な回復力を除けば、長時間痛みを与えたのみという結果になったので主への危害認定されたのだった。


「つまり、俺はノアに命令を聞かせることができる・・・と?」


「そうだよ!犯すでもぼこぼこにするでも好きにすればいいよ!」


 もうどうにでもなれ!と言わんばかりに、ノアはふわふわ浮いた状態から地面に降りると大の字に寝転がった。


「・・・絶対、二度とあんなことするなよ。」


「しないよ、もう!」


「なら、もういい。」


「え?」


 驚いた様子で快人のことを見るノア。

 少なくとも何回か攻撃されるか、何かしらの罰を命令されると思っていたので、何もないという結果はノアも予想外だった。

 快人は何故だが、ノアを罰するという気にはならなかった。

 なぜなら、今までなぜか、モンスターに襲われ、ずっと『なんちゃって契約士』と言われて、さげすまれてきたのだ。

 それが今度は人型種と契約。

 正直なところ、喉元過ぎれば熱さを忘れるという感じで痛かったのは痛かったが、契約ができたということへの喜びの方が強かった。


「いいの・・・?」


「良くないけど!あれ、すんごい痛かったんだからな!?」


「うん・・・ごめんなさい。」


 ノアはしっかり頭を下げて謝る。

 これがノアにとって生まれて初めてと言ってもいい、反省をした瞬間だった。


「もういいって。だから、これから頼むぞ、ノア。」


「分かったよ!ボクに任せて!」


「ルゥ♪」


 突然、鳴き声が近くで聞こえたので、快人は声をしたところを見ると、白く小さいドラゴンがパタパタと飛んでいた。

 快斗は驚きから目を点にし、呆然としていた。


「はぁっ!?え!?どうなってんの!?」


「あ・・・それ、カイトの魂のかけらが龍に変質したものだよ。」


「え?」


「ま、まぁ・・・カイトとボクの子供みたいなものかな・・・?」


 ノアは顔を赤くしながらそう言う。


「な・・・」


「な?」


「なんじゃそりゃぁぁぁぁっ!!」


 快人は驚きにより、激痛の時の叫び声よりも大きい声をあげたのだった。


――――――――――――――――――――


快人「子供ができるにはまだ早すぎる!」


ノア「ボクの処女・・・いる?」


快人「いら・・・いや、欲しいというか、そういうのは興味あるけども!?ダメだろ!?」


ノア「快人なら・・・いいよ?」


快人「ぬあぁぁぁぁっ!」


作者「頑張れ!」


快人「お前が言うな!」


ノア「そうだよ!ちゃんと書かないと・・・」


作者「書かないと?」


ノア「ボクの血をあげて、一生眠れないようにしてあげる。」


作者「殺すんじゃなくて、そっち!?というか、何気につらい!」


ノア「多分、龍に中途半端に変質させれば、十年くらいなら飲まず食わずで眠らなくて済むんじゃないかなぁ。」


作者「それは嫌だぁっ!最近、食欲と睡眠欲以外の欲が消えかかってきてるのに!それを奪われたら、私に何が残るんだぁぁ!」

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