第2話 人食い門
「よし行くぞ!」
今日、快人が挑むのはいつも行っていた契約ダンジョンではなく、亜人系のモンスターが主に出現するFランクダンジョンだ。
どうせ契約ダンジョンでも襲われるのだから、もう少し規模が小さい普通のダンジョンに行った方がいいのではないかという結論から選んだ。
快人は良くも悪くも有名で、『なんちゃって契約士』と呼ばれている。
快人が契約士として目覚めたのは実を言うと中学2年生の最初、つまりすでに2年程経っているのだ。
にもかかわらず、一度も契約できていない、つまり、ダンジョンも一度も攻略していないのである。
契約ダンジョンと通常のダンジョンの違いを快人は分かっていないのだった。
快人は意気揚々と光り輝く転移門をくぐる。
くぐり抜けた先はダンジョンで、ちらほらとゴブリンがいた。
快人に気づくと、襲ってくるので、快人は隠れながら、ダンジョンを進んだ。
(契約しなくたって、クリアできるはず・・・)
基本的には契約ダンジョンは最下層まで5層。
ダンジョンもモンスターと同様にランク分けされており、FからSSSまで存在する。
基本、ランクが高くなればなるほど、階層が増え、1層ごとの広さも広くなる。
契約ダンジョンは基本5層で構成されており、通常のダンジョンと異なり、前回のようにBランクが出たり、アメリカで一度だけだがSランクのモンスターが出たケースもあったりと、ランク付けできるようなダンジョンではない。
快人の場合は襲われるので、通常ダンジョンよりもモンスターの危険性という意味では、はるかに上回るだろう。
今回、快人が挑んでいるのは野良のFランクダンジョン、それも3層しかない最も小規模のダンジョンだ。
(1層はクリア・・・)
ダンジョンは基本、下に降りる構造となっており、このダンジョンも下に降りていくタイプである。
快人は隠れながら、下に降りていく。
亜人タイプは基本視覚に頼っているので、いざとなれば、契約士ギルドで買っておいたスモークグレネードを投げて逃げればいいと考えていた。
「うわっ!?」
1層から2層へと階段を下りると、ちょうど入り口のところでゴブリンとばったり遭遇した。
(最悪だ!)
快人は慌てて、階段を上って1層へと戻る。
基本的にモンスターは階層間を移動できないのだ。
しばらく待った後、そろそろと音を立てないように、快人は2層へと向かう。
2層に入口にそーっと顔をのぞかせて、周りに何もいないことを確認すると、ふぅーっと息を吐いた。
「よし・・・目指せ3層!」
契約ダンジョンと比べると圧倒的に狭いFランクダンジョンだから、余裕だと思っていた快人だが、モンスターの密集度は契約ダンジョンよりもやばかった。
(隠れずらい・・・)
ゴブリンの群れと遭遇しそうになって、慌てて木に登るなど、たびたびアクシデントがありつつも、快人は最下層である3層の最奥・・・ボス部屋の前へと到着した。
「ゴブリンばっかりだったから、ホブゴブリンかな・・・?」
ホブゴブリンはちょっと大きめのゴブリンで、強さはゴブリンより少し強いくらいで、F+だとされている。
快人がとりあえず覗くだけ覗いてみようと、ボス部屋の門に触れた瞬間だった。
『特殊条件のクリアを確認。【■■】の間へと転移します。』
「えっ!?はっ!?ちょ・・・」
快人が触っていたボス部屋の門に魔法陣が現れると、ガバッと門が勝手に開く。
快人は突然の事態に叫びごえを上げる間もなく、門の中へと吸い込まれて消えていった。
快人を吸い込むとまるで満足したかのように、門はゆっくりと閉まり、ダンジョンはいつもと同じ様子に戻った。
こうして、快人は契約ダンジョンとは違う通常のダンジョンの特徴、思いもよらないことがおこる突発性を身をもって知ることになるのだった。
――――――――――――――――――――
快人「あれ?でもいつも、契約ダンジョンで突発的に襲われてるような・・・」
作者「・・・よし!次行こう!」
快人「おいこら!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます