執着

「執着」

深く埋まった君を探し求めて動かすスコップ


繰り返せども虚を彷徨う孤独に目を逸らし


凍えた汗を君の腕で拭う


繊細な君の愛撫は火傷するほどに冷たくて


かつての利き手で黒子が燃えている


消えてしまいそうなほど柔らかな


栗色の染みが微笑を浮かべ僕を包み


瞳をくすぶる君の残り香に酩酊する


舌を這う蜜の如き甘美な色に


対の手の色が記憶の中で褪せてゆく


色を塗ろうともがき重ねる絵筆


闇の中に闇を刻むスコップの絵の具はあまりに鮮烈で


奏でられた唐紅はもはや君のものではない


たまらず僕は小さな影法師を咀嚼した

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