貴方は探していたヒーロー

アキノリ@pokkey11.1

私だけのヒーロー

私、結城ユキ(ゆうきゆき)は周りから言われているけど美少女らしい。

とても可愛い短髪の女の子らしい。

だけど私にとって今はそんな事はどうでも良い。

そもそも私は恋愛などしなくて。

生きていくだけで精一杯であるから。


こんな私だけど高校3年生になり。

昔、死のうとしてから6年も経ってしまった。

でも私は未だに人間関係の悩みで列車に飛び込んだ時に助けてくれたヒーローを見つける事が出来ない。

私は小学6年生の時に自殺未遂を図ったけどその男の子に助けられて今を生きている感じだ。


ずっと考えていた。

何故私は生かされたのだろうか、と。

その事に答えを私は考えた。

私は生きる価値があったのだろう、と。

だから私は生きているのだろう、と。


その男の子に会ったら私はお礼を告げたい。

何故なら.....私はお礼も言えなかった。

人混みに混じって去って行った男の子。

名前も分からない。


私は.....その男の子に答えを聞きたい。

模範解答じゃない答えを。

本当の答えを。

何故私を救ったのか、という答えを。


「.....」


そんな私だけど。

大学の費用を稼ぐ為にアルバイトを始めた。

初めてのコンビニアルバイトで戸惑っている私に。

そこに居た先輩の男の子。


大学1年生だという男の子、田中健(たなかたける)先輩に優しくしてもらう。

私はそんな優しい先輩にいつしか恋などした事無かったけど.....この田中先輩に惹かれる感じを何か見せていた。


6年間ずっと恋などした事無かったのに。

だけど田中先輩だけは心を許しても良いと思っている。

いつしかそうなっていた。

だけど私は恋は怖い。

人間関係が怖いから、だ。


「でもそういうのもひっくるめて良い子だよね。君は」


「そうですか?」


優しく微笑む田中先輩。

田中先輩はそんな私にそんな感じで優しく誰よりもアドバイスをくれる。

私はいつか.....この人の隣に立ちたい。

役に立ちたいな、なんて思ったりしていた。

そんなある日の事だ。


私は.....田中先輩の落とし物を見つけた。

定期券の落とし物。

勝手に見てしまったのは申し訳無かったけど、誰の物かな、と思って中身を見る。


そして私は驚きと目を丸くせざるを得なかった。

何故かといえばそこには表彰されているのか表彰状と一緒に撮られた様な田中先輩の制服姿の写真が入っていたから。

それも.....日付も私を救った日付であるから。


「.....え.....嘘.....」


偶然だよね?、と心に言い聞かせる。

私は田中先輩のロッカーに何も無かった様に届ける。

だけど私は顔が赤くなるのを抑える事が出来ない。

心臓も高鳴ってバクバクしている。

赤くなる。


「.....た、田中先輩が私のヒーロー.....?」


そんな事を呟きながら頬に手を添える。

それから赤くなる顔を覆う。

駄目だ.....恥ずかしくて前に出れない。

田中先輩の前に。


「どうしたの?」


田中先輩は普段通りに私にそう接してくる。

その事に私はある日の事だけど決意をして聞いてみた。

田中先輩は私を覚えていますか、と。

すると田中先輩は、少しだけ考えてから素直に答えた。

覚えている、と。


仕事の後に、だ。

もう既にアルバイトを始めてから半年近く経っている。

なのに私に何故.....私に接してくれなかったのか。


それは寂しい気持ちになる。

私は思いながら悲しげな顔をしながら見ていると。

そんな私の頬に手を添えてきた。

そして私を見てくる田中先輩。


「.....ゴメンな。俺に根性が無かったから。恥ずかしかったんだ。君に出会ってから心臓が高鳴ってしまって.....歓喜してしまって。だから顔合わせるだけでもう限界だったんだ」


「え。それって.....」


「可愛くなっていた君が好きになっていた。いつの間にかね」


「.....」


私は涙が止まらなくなっていた。

そして私は涙を拭うが。

田中先輩が代わりに私の涙を拭ってくれた。


それからいきなりだったけど。

そのまま唇で唇を塞がれる。

私はビックリしながらビクッとしながら田中先輩を見るが。

いつの間にかだったけど。

嫌な感じがしなかった。


「.....田中先輩.....」


「付き合っちゃおうか。俺達」


「.....はい。.....凄く嬉しいです」


職場でキスをしてしまった。

私は目を回しながら赤面しつつ嬉しい感じで唇に触れる。

そして田中先輩を見る。


そう言えば聞きたい事があった。

これだけは絶対に聞きたい。

付き合う前に絶対に。


「田中先輩。何故私を救ってくれたんですか」


「.....!.....それは.....」


「貴方の命も危なかったですよね。.....なのに.....」


「それはね。.....君が生きたいって叫んでいたからだよ」


「.....え?どういう.....」


君の背中が叫んでいたから。

だから俺は君を救ったんだ、と田中先輩は頬を掻きながら言う。

そして俺にはにかんだ。


私はその姿を見ながらますます顔が赤くなっていく。

マズイ.....本当に嬉しくて仕方がない。

そして涙が出る。


「私は生きて良いんですか?」


「.....当たり前だ。君は僕の彼女になるんだから」


「.....有難う.....先輩。私、生きていて良かったです」


そして私とヒーローは。

彼氏と彼女の状態になって。

誰も居ないこの職場の裏側でまたキスを交わした。

そして手を繋いでからはにかむ。

2人で赤くなりながら。


「.....先輩。貴方はヒーローです。私のヒーローです」


「俺は救っただけだよ。君をね」


「でも私にとっては貴方はヒーローです。有難う御座います。.....田中先輩。.....いや。健さん」


「そうだね。これから宜しくね。ユキ。お爺さんお婆さんになっても一生、一緒に居てあげるからな」


「.....はい」


号泣しながら私は健さんを抱き締めた。

そして私は外を見る。

やっと見つけた。


答えを.....そしてヒーローを。

私は何て幸せ者なのだろうか。

考えながら恋人になれた事を心から嬉しく思い。

そして生きていて良かったと。

そう思えた。


fin

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