第50話 幸・一・辛
「
倒れた
のけぞり前へと吹き飛んだ体を、その顔を――――
「いくら服に
「ッッ――やめッ、」
「だが喜べ、メス。お前のような汚い女にも――俺は平等に
「あぁ、あ――――――――ぁぁあぁあああああああああああッッッッ!!!!!」
立ち尽くす
そんな夢生の前に、天使が
もはや
「……どうして……」
夢生が顔をゆがめ、涙を流す。
レピアの
「さあ。これでお前を守るものは何もなくなったな。お前が見捨てたからだ。ずっとお前だけを守り、そしてお前だけを求めていたたった一人の女を」
「どうして……どうしてこんな
「そら。また
「……は……?」
「『どうして
「……!」
「だがお前はそこから目をそらした。自分が幸せになるために他者を辛い目にあわせることを受け入れられず、レピアの気持ちに気付きながらその想いに
ヨハインが
「だから俺は、お前に
「だからそれがお前の勝手な――」
「『わたしだって幸せになりたい』」
「――――」
「レピアは訴えたぞ、俺に。涙を流し、すがるように。そんなになるまで彼女を生殺しに、
「……僕だって、いうのか……?」
「ハァ……どこまでも恥ずかしく情けなく失望させる見下げ果てた男だな、夢生。この
それがどうしても――どうしても何故か許せなくて、夢生は悪魔を
悪魔の顔から笑みが消えた。
「そもそも。
「……え、」
「レピアはお前を撃たなかった。でも風やサクラは
「……何を、」
「レピアはそんなことをする女か?」
「待って、」
「違うだろ?」
「そういうことじゃ――」
「じゃ誰だそうさせたのは?」
「論点が――!」
「お前だよ。他の女を殺してでも雛神夢生を自分のものにしたいと思うまでにレピアの感情をほったらかしにしたのはお前だよ。それが風を殺した。サクラを
「違「ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶお前のせいなんだよ雛神夢生ぅぅううううううううううッッッッッ!!!!!!!」
――脳を悪魔の声が満たす。
そんなことないと、違うと心がどこかで叫んでいるのに、どうしてもそれを声に出すことができない。
それがヨハインの
(――そうだ。僕はレピアの気持ちには気付いてた)
誰だって
でも動かなかった。
体調や生徒会との戦い、様々なことを言い訳に――雛神夢生は動かなかった。
恋のキューピッドと、恋する人間。
決して
どうしたって誰かが傷付くことになる結論を出したくなくて、決着を
それは事実なのだ。
〝むーくん〟
雛神夢生は逃げた。
また逃げた。
そしてまた血を見た。
また「罪」を重ねた。
だから、罰は与えられなければならないのだ。
「大切な人を奪われてなお、お前は自分の『罪』を認めない。救いようのない男だよ、本当に。だから――更なる痛みが必要だな」
夢生の前方が、光る。
夢生がゆっくりと、光を見る。
レピア・ソプラノカラーが――――
夢生は
「クピドの矢」だ、と。
「
「――――」
闇の
夢生の目の前で、
体は動かなかった。
動こうと、思わなかった。
これが「罪」だというのなら――少年は、
調整を
引かれ切った弓とまっすぐこちらを向く
「――――」
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ストーリーを読み間違えていたって構いません。
どんな感想も、いただけるだけでスゴくうれしいのです。
なので完結前でもエンリョせず。
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どうぞよろしくお願いします!!!
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