第7話 陽キャ・>・陰キャ
その背後に集う連中も、荒っぽい
その異様さが佐土原の実力、統率力を示していた。
「でも、いいんすか
「どの道そこの伸びてる連中も、こいつらも放っとけねーだろ。たまたま
佐土原のまつ毛の長い目が、レピアを見つめる。
レピアもそれを見つめ返す。
「美人な上に
「あ?」
「
「は? 違うけど?」
夢生も胃に多少重いものを感じたが、無視した。
そんなことを気にしていられないほど――
〝もう撃たない、これでいい?〟
(……あんなこと、言わせちゃったけど。勝てるのか? 銃なしで、ボクシング部の佐土原先輩に……!)
「はは、そうだよな、ンなワケねえよな。灰田愛の誰からもパシられて、授業中も学校中走り回ってヘコヘコしまくってるような奴になあ? そのチビがそんな奴だって、あんた知ってた?」
「――あんた、授業中までそんな調子なの?」
「…………」
言葉にせず、苦笑いしながらうなずく夢生。
ハァ、と遠慮のないため息が、レピアの口から
「マジ冷めるわ、あんたのそういうとこ。そこまでコケにされてまだ笑ってられんの」
「…………」
「……なんでそんなにも自分を大事に出来ないワケ?」
「な? 関係ねえ俺達でもイライラすんだ、レピアもたまんねぇだろ? だから疑問なんだよ――なんであんたほどの女が
「!」
「――――」
〝
〝僕のこと一割なの……?〟
〝避けられない争いなら大歓迎だから、アタシ。ここのやつらもちょっち面白いし〟
「一目見ただけで
「! レピア――」
「こっちについてくれりゃあ、その銃使って好きなだけ暴れてくれてもいいんだぜ? そして風紀には、おあつらえ向きな
『!』
――もはや夢生は、レピアの顔から目が離せない。
いかにもギャルといった出で立ち。
銃を使いたい欲求。
そのどれもこれもが――レピア・ソプラノカラーは本来「生徒会側」にいるべき存在であることを、
「こっちに来いよ、レピア。歓迎するぜ――己の拳一つでのし上がれるこの灰田愛で、俺らともっと楽しいことしようや」
「レピア……? レピア!」
「何がレピアだよあのチビw」「マジになってんなww」「何がよくてあんなカスとつるんでんだろあの女」「あんなナリして実はあのチビかなりの……とか?」「かなりってなんだよ」「クソ抱きてえあの女。胸いくつあんだよ」「Gはあんだろ」「バカお前、女は小さく見えてもDとかEあったりすんだぜ」「じゃあお前いくつだと思うんだよ」「J……とか?」「風俗でしかみたことねーよンな数字w」「バッカお前ら、今もう佐土原さんがツバつけようとしてるとこじゃねーか、俺らに出る幕があるかよ」「会長にもいい女いるもんな、マジでヤバい体だよなあの根暗女も」「いや、あの金髪の子もいい勝負してるよ」「やー、俺は若干根暗の方がデカいと見たね」「なんにせよ場違いだよな。あのザコチビはw」
「………………」
言い返したい。
でも言い返せない。
言い返せる理由が何一つない。
夢生にはレピアを信じることしかできなかった。
できなかった、のに。
「……そーね。悪くないじゃん、それ。つかそっちの方がいっか、フツーに」
「!!!」
「――待ってたぜ、その返事」
佐土原が笑い、レピアへ手を伸ばす。
つられるようにレピアが笑い、佐土原へ歩き出す。
雛神夢生を、離れていく。
「…………!」
夢生が口を開く。
だが声が出ない。出せる声など無い。
元から、彼が彼女にかけられる言葉など、何一つなかったのだ。
陰キャとギャルは並び立たない。
歩き去っていく後ろ姿。
金色の髪、銀のピアス、下着が見えそうな程短いスカート、長い爪のギャル。
そうして自分の下に歩み寄ってきた
「アイサツ代わりだ。後ろの腰抜けに
「うん、そだねー――んじゃ、そういうことで」
レピアは、不良達が思わず目を見張るような殺人級の笑みを浮かべ。
生徒会幹部、佐土原のアゴ下に銃口を突き付けた。
「………………」
「おととい来い。チャラ男」
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