リナと僕とフィギュアスケート
Tonny Mandalvic
リナと僕とフィギュアスケート
フィギュアスケート日本人金メダル!
フィギュアスケートに関して、日本は昔と比べ強くなった。
金メダルを取れるようになり、そのあと、様々な選手をアイドルに仕立て上げたこともあり、強くなっていった。
しかしながら、僕が子供のころはそんなに強くなかった。
決して強くなかった頃の昔のお話。
スマホもなければインターネットもない。
というかインターネットなんてダイアルアップ回線だったころだ。
僕らの娯楽というものは、友達とテレビゲームをすることしかなかった。
まあそれはそれで今よりも楽しかったかもしれない。
テレビゲームばかりやっていたので俺なんかを間違って産んでしまった人が外で遊べと騒ぎだしたので、仕方がないので外で遊ぶことにした。
外で遊ぶにしたって、遊ぶ場所がない。
児童会館行ったってしょうがない。
児童会館でド〇ベンばかり読んで遊ばなくて怒られたしな。
何を思ったのか、たまたま近所にスケート場があったので、そこに行くことにした。
そこで彼女と出会うこととなる。
スケートリンクに行くから金をよこせと親に言ったら、親は涙を出して喜んでいた。
友達と行くといったら、さらに涙を流した。
まあ、家の中でゲームをしている子供が外で健全な遊びをするということは親にとって感動的なのだろう。
(そのくせ今となってはスマホばかりしている。)
いつもスマ〇ラばかりやっている友達を引き連れて、スケートリンクに向かう。
スケートリンクは、そんなに人がいなかった。
夏だし仕方ないだろう。みんな海でも行ってんだろ。
とりあえず滑ってみることにした。
一緒に来ている友人たちはずっこけまくっていたが、まあ壁を伝いながら滑っているとなれるものである。
そのうち壁を伝わなくても滑れるようになってきた。
誰にも教わっているわけではないので、ただぐるぐる回っていると、中心ではフィギュアスケートの練習をしている女の子がいた。
ぐるぐる回りながら、それを尻目に、よくもまあこんなに回っていられるなと思いながら見ていた。
後フィギュアスケートはBS見ていたからそれなりに見ていた。
そのうち友人どもが飽きて、スケートをやめようぜと言い出したので、僕は外に出ることにした。
そのあとも彼女は一人だけ、黙々と滑っていた。
スケート場の時間割を見ると、一般解放のあとはフィギュアスケートのジュニアチームの時間らしい。
ご苦労なことだ。
友人どもは飽きてきてスマ◯ラでもやりたそうにしているが、僕はもう少し、彼女のスケートを見たかった。
あと体動かしたいと思った。
なので、友人と別れて、彼女のスケートを見ることとした。
僕は外周を回り続ける。
彼女はジャンプの練習をするもあまりうまくはないようだ。
しかしながら、スピンの練習になると、彼女は輝きを見せてくれた。
ビールマンスピン。
彼女のビールマンスピンは少し前にBSで見た、どっかの国の選手のビールマンスピンのようにとてもきれいだった。
まあ、ただ僕は今周りを回り続けているしかないし、ジュニアフィギュアスケートなんて親に言えばやらせてくれるかもしれないが、そんな保証はないのでただ外を回って見続けるしかなかった。
一般開放のおわりの時間が近づくにつれて、フィギュアスケートサークルの連中がやってきた。
僕はスケート靴を返した。
ポスターを見ると、どうやら毎週やっているらしい。
来週もまた来てみよう。
母親に、来週もスケート場に行くから金をよこせと言ったら、本当に言っているのか疑われた。
息子を信じれや。
翌日、学校に行くと、隣のクラスの女子がやってきた。
昔同じクラスだった経験はあるが、ほとんど話したことがないのでなんの話だろうか。
昨日スケートリンクにいたいたしょ。
別に隠すことでもないしうそを言ったってしょうがないので、いたがと回答する。
ずっと見ている男子がいてきもかったと話していたけど。
見られたくないのならスケートなんかしなきゃよい。
とりあえずやることもなかったので、月に1回ぐらいスケートリンクに行くと、彼女は必ずスケートをしていた。
時間が過ぎ、中学生になった。
中学生になって部活を探す段取りになると、スケートをしている彼女が先輩として、スケート部としているではないか。
当然、彼女のために部活にはいることとする。
親にこんな部活に入るとは思っていなかったといわれたし、小学校の時に彼女がきもい奴がいるといってきた隣のクラスのクラスメイトもスケート部に入っていた。
ついに外から見ていた彼女と話す機会を設けられることとなる。
とりあえず自己紹介をした。
1年2組、大村悠哉です。
あなたのビールマンスピンに憧れてきました何て言えません。
フィギュアスケートは初めてですが、頑張りますのでよろしくお願いします。
1年2組 津久野羽衣です。
先輩と一緒にスケートができて嬉しいです。
よろしくお願いします。
先輩が俺をキモいと思っていると言ってきたやつの挨拶が終わる。
別にあいつなんてどうでもいい。
一応大村くんは初めてだよね。
僕の存在は彼女にも知られていた。
それだけで喜びを感じる。
3年1組塚本理奈です。
どうやら塚本先輩というらしい。
2年間なぞだった名前がついにわかった瞬間だった。
まあ個人競技だけど、仲間ができて嬉しいです。
今後もよろしくお願いします。
ところで、大村くんは、どうしてこの部活に入ったのかな?
剣道部やサッカー部、野球部、パソコン部だってあるよね。
当たり障りのない部活と、この見た目だからパソコン部っていうのはありかもしれない。
あなたのビールマンスピンを間近で見たいからですとは言えない。
なので、当たり障りのない回答とする。
オリンピックを見てやってみたいと思ったからです。
彼女にそう答える。
どんな選手が好きなのと聞かれたのでロシアの銅メダリストというと彼女の目付きが変わった。
私も彼女が好きで、ビールマンスピンをやろうとしているの。
ずっと見ていたのでわかります。
とは言わずに、そうですか。
と答えておいた。
津久野さんはつまらなそうだった。
まあ塚本先輩に存在を認めてもらった後も、ずっと彼女は、ひたむきに練習を続けていった。いつも彼女のビールマンスピンはきれいだった。
そして中学、高校と彼女と同じ学校にいったが何も変わらず惰性で続けた最後の大会を迎える。ここから上へは進めないしもう追い続けられない。
いつも罵声を飛ばしてきた津久野も、この日だけは、罵声を飛ばしてこなかった。
何もいってこなかった。
まあ今日もボチボチやりましょうかと思いつつ最後は必殺技でも決めましょう。
まずは苦手なジャンプから。
いくらやっても2回転しかできませんけど何か。
まあ今日は転倒しなかったのでよしですね。
次にいきなり必殺技とでもいきましょうか。
フライングビールマンスピン
最後なんだからやりたいようにやらせてほしい。
5年かけて開発した彼女との思いでの必殺技だ。
誰に馬鹿にされようが、これだけはいれておきたい。
後はもう達成感にみちあふれていた。
採点なんかどうでもよかった。
津久野はボソッと、
始めからあんたがやりたかったことってビールマンだったんだよね。
そうです。その通りです。
津久野は塚本先輩に僕の最後の大会を送ってくれたらしい。
塚本先輩はビールマンスピンなんてすごいね。と喜んでくれた。
まあ津久野もできるがな。
後日、大学生活をごろごろしていたところ、津久野から塚本先輩が呼んでいると言われたので会うと、次のシーズンに関して、私とペアで参戦してほしいと言われた。
正直、俺のレベルは低いので、勝負にならないですよといったら、ビールマンスピンができる人がほしいと言われた。
無理かどうかはやる前からわかっているが、僕の憧れが困っているのならやるしかないだろう。
ひたむきに追い続ければたまたまだが私のヒーローを支えることができるのだった。
リナと僕とフィギュアスケート Tonny Mandalvic @Tonny-August3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます