人類の敵を阻むモノ

維 黎

お手入れいらず、手間いらず。置くだけ簡単♪

 新年を迎えたと思ったら早いもので、気が付けばもうすっかり春の陽気。3月21日現在、ご近所ではまだ桜は見てないけれども。

 なんにしても、朝夕や太陽の隠れる天候以外の日はポカポカと暖かい季節。

 年月や時間の経過は誰もが等しく平等ではありますが、大人――というか歳を取るにつれて一年が、あるいは一日が短く感じてくるのは誰しも思うところではないでしょうか。

 結局何が云いたいかといえば、三ヵ月なんてあっという間に過ぎるということ。つまりは夏。奴らの季節はすぐに来るのです。


 それは本能に刻まれたどうしようもない恐怖、もしくは嫌悪の一つであると確信します。

 高所に鳥肌が立ち、足が竦むように。

 夜道、街灯の届かない淀んだ闇のように。

 ガラスや濡れた発泡スチロールの擦れる音を聞けば肌が泡立つように。


 奴らは夏にやって来るのです。

 『夏の思い出』という唄の歌い出しのように、


「なつがく~れば――」


 思い出すのではなく、どっからともなく現れるのです。しかしながら、ここ三年ほど1DKの部屋わたしのへやで見かけることはなくなりました。

 ありがとう、アース〇薬さまッ!

 本当にありがとう!!


 私の――いえ、人類の怨敵である黒くてテッカテカ。秘匿名コードネーム"G"。

 そのGを寄せ付けず侵入を防ぐモノの名は漆黒の兜ブラックキャップ

 

「いや、ほんとマジで見かけてないんですよ、部屋に置きだしてから。小っちゃくて茶色い子供(?)みたいなのはたまに見かけますが、でっかいGはこの三年で1、2回見たかどうかってくらいに。前はGホイホイを使ってたんですが、あれって効果はあるけど捨てるのがすごい億劫じゃないですか。キモイし。でも漆黒の兜ブラックキャップにしてからは、もう部屋で見かけないんでほんと助かってます。ゲーム的に云えば英雄級道具ヒーローアイテム扱いですね」


 

 6月になれば新しい物と交換することが毎年の恒例となっている。



                    ――了――


※個人の感想です。個々の環境によって効果は違ってきます。あとこの作品は案件小説ではありません。

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