第67話 喝采
※ AL編が本編、NL編がその裏側となります。
×××
九回の表、上杉のピッチングはやや精度を欠くが、圧倒的なスピードがそれを上回る。
ここのチェンジアップを投げたことにより、最終的にはまた三振を奪う。
そして追加点を与えることなく、マウンドを降りた。
あとは九回の裏、メトロズが追いつけるかどうか。
(佐藤はもう、限界に近いはずだ)
自分が切れてしまった時の、あの空気を直史はまとっている。
限界ぎりぎりを探りながら投げているのははっきりと分かる。
ベンチに座って、九回の裏の攻撃を見守る。
そうは言っても全ては、この回の先頭打者で決まるだろう。
大介がバッターボックスの前で一度止まり、それからゆっくりと入って地面を均す。
極限に置かれた緊張感の中で、いつも通りに笑える。
この大介に勝つことが出来るのか。
上杉はむしろ、直史が勝つところが見てみたい。
おそらく自分であれば、今の大介には勝てないであろうから。
天界からトランペットで、ダースベイダーのテーマが流れてくる。
それに苦笑しながら、観客に数えられることのない人々は、その最後の対決を見守る。
「うちの孫が勝つ」
「じゃあ私はせっかくだから赤い方を選ぶわ」
そんな会話もなされていたりする。
地上に生きる人々は、喧騒から離れたVIPルームで、ひたすら時間が過ぎるのを待つ者がいる。
またオーナーのくせにVIPルームなど入らず、土の匂いさえ届くスタンドで観戦していたりもする。
全米ではこの試合、地上波中継もあるのだが、二年前と比べて五倍以上の視聴率となっている。
去年と比べても、倍近くのものか。
それは海を越えて、日本でも中継されている。
時差の関係でほぼ真昼の時間帯、平日ではあるが憂鬱な月曜日、街中に流れるテレビなどでは、この試合の映像が流されている。
店舗のテレビの映像に、人々が群がるなどいつ振りのことであろうか。
「営業は野球の知識は知っておいた方がいいからな」
などと言って外回りの営業も、また普通に社会人も、この対決をひたすら見ている。
スポーツなど頭まで筋肉で出来ている人間のやるものだ、という偏見に捕われた人間も、その一方が司法試験まで通った直史であると、その理屈は通用しない。
スマホで普通に映像が見られるので、視聴率には関係なく、リアルタイムでこれを見ている人々は多い。
直史が勝つか、大介が勝つか。
どちらが勝ってもいいのだ。
ただ今年最後の、この対決を目撃したい。
人々の注目を集めることにおいて、おそらくこの二人の対決は伝説になる。
『さあ江口さん、九回の裏、白石の第四打席です。まずはどう入ってくるでしょうか』
『……』
『江口さん?』
『すみません、この勝負を見るのに集中したいんで』
解説者が解説をやめた。
ラジオの解説者たちも軒並みそれに倣って、アナウンサーの淡々とした言葉が続く。
球種、コース、ストライクボール判定。
ピッチャーとバッターの動き。
そこには一切の雑味がない。
変に自分で盛り上げようとも思わない、ただ純粋なメッセージ。
だが映像が見たければ、近所の電器屋にでも走るしかない。
既にNPBの方はシーズンが終わっている。
なので日本のプロ野球選手も、ほとんどがこの試合は見ていた。
大介の打席はここまで全て、ヒット性のものであった。
さらにその打球は、後になればなるほど鋭く遠くへ飛んでいっている。
レックスの人間。
ポスティング申請を出した武史は、どちらが勝つのか全く分からない。
自宅のソファに座って見ていると、同じくちょこんと座っている長男が、この勝負を瞬きもせずに見ている。
「やっぱり知ってる人がいるところに行きたいしなあ」
アフターケアも含めて、セイバーはメトロズを勧めている。
確かに先発は必要だろうが、武史をそこまで買ってくれるだろうか。
ただメトロズがこのワールドシリーズに敗北するとしたら、それは直史を打てなかったからではない。
第三戦のヴィエラが投げた試合で、三失点以内に収められなかったからだ。
武史にとって、直史は永遠に越えられない壁のようなもの。
当たり前の話で、ずっと同じチームだったのだから、競い合うこともなかったのだ。
メトロズには大介がいる。
この試合でも直史から、連続してヒット性の当たり。
しかしまだ直史を、完全に追い詰めるところまではいっていない。
直史に勝つには、不意打ちが一番なのだ。
あとは延々と0行進をすることで、その間に点を取ってもらうか。
「恵美理はニューヨークの方がいいかな?」
「私は武史さんが行きたいところに行くのが、一番いいと思うわ」
そうはいっても乳幼児三人を抱えて、海を渡るわけである。
ここはやはりセイバーの勢力圏である、ニューヨークを選択すべきだろう。
正直なところ、ツインズとあまり近くには行きたくないのだが。
メトロズは今年のオフ、間違いなくピッチャーの補強に走る。
そこには武史の入る余地がある。
「ニューヨークへ行きたいか」
武史はぽつりと呟いて、この試合の最後を見届ける。
同じレックスの選手としては、樋口もこの試合を見ている。
ただこちらの場合、上の娘二人はあまり、お父さんの仕事に興味がない。
下の男の子二人は、この先どうなるか分からないだろうが。
来年30歳のシーズンを終えれば、国内FA権が手に入る樋口。
年俸のことを考えると、FA権の行使は充分にありうる。
引退後のことを考えると、各方面にコネは作っておきたい。
上杉と共に働くにしても、自身の独自の伝手は必要だ。
すると球界の中でも、名士の支持の多いタイタンズが有利か。
一応今のタイタンズのキャッチャーは、固定されていない。
ゴールデングラブを連続で取り続けている、樋口の加入は大きいだろう。
選手を揃えても、それを統率する扇の要が不充分。
そこに入る意味はある。
ただ樋口は、本質的には反骨心の持ち主だ。
思想は保守的なのだが、それだけに現実の中で怠惰な人間は許せない。
タイタンズの今の雰囲気は、一時期よりは良くなっている。
投打の要をそれぞれ失って、逆にバランスは良くなったらしい。
ここに生え抜きではない樋口を入れることに、どういう意味があるか。
俗物である樋口は、年俸の高い球団、他の条件のいい球団を求める。
確かにレックスは、成績を積み上げるのには適した球団であった。
だがさすがにその分は返したと思うし、さらなるステージを求めてもいいだろう。
しかし樋口はこの時点では、ポスティングはあくまでも、二番目以降の選択肢としていた。
アナハイムではまだ夜になったばかりで、瑞希はじっとこの試合を見ていた。
直史は他のバッターにはほどほどの力で、大介にだけは全力で投げている。
ただそれでも、打ち取ったと言える打席がない。
二打席目も当たりはヒット性であった。ただ直史が、ホームランだけは避けていることも分かる。
この最終回で、先頭打者に大介。
直史としてはどうしても、ホームランを避けたいところだろう。
だが瑞希は、こういう時の直史が、裏を書くのを知っている。
大介はおそらくここまでの三打席で、打球が上がらないことを気にしている。
だからこの打席では、わずかに意識がボールの下を叩く感じになっているはずだ。
そこに直史は、ストレートを投げるのだろう。
もうずっと見てきたから、瑞希には分かる。
果たしてそれで、打ち取れるだろうか。
試合前に連絡してきたような、不吉な予感。
おそらく直史は勝つだろう、と瑞希は思う。
もうずっと勝ち続けてきて、負けるところを想像できないからだ。
実際に日本時代は、大介にもほぼ完全に勝ってきたと言っていい。
だがこのワールドシリーズの間に、大介は球速に成長したのか。
直史からヒットであれば、簡単に打って絵しまっている。
いや、ヒットでいいのだから、大介に簡単に打たせているのか。
直史は大介を、他のバッターと十把ひとからげにはしていない。
他にも注意しているバッターはいるが、大介には特に注意している。
だからこそ、ホームランだけは打たれていなかった。
そしてこの打席も、ホームランを打たせない布石の、全てを活かすのだろう。
眠っている子供たちはそのままに、瑞希はノートとペンを持つ。
直史のピッチングから感じる、何かを記さなければいけない。
今年のこのワールドシリーズの最終戦は、とんでもないバランスの果てに成り立ったものだ。
おそらく来年にまた、こんなシリーズが発生するとは思えない。
だからこそ、勝ってほしい。
瑞希の願いは、おそらく直史に届く。
大介がツーストライクまで追い込まれた。
それを見ていたツインズは、ここからが大介の力の見せ所だと思っている。
だが画面越しにしても、マウンドの上の直史が、恐ろしく集中しているのも分かる。
「どっちが勝つかな」
「どっちかな」
「おとーさん」
やや舌足らずに、昇馬がそんなことを言う。
可愛い息子を名で繰り回しながら、直史のボールを見ていく。
フルカウントまで、ついにこの勝負は持ち込まれた。
そしてこの時点で、二人は直史の目論見に気づいている。
「うわ~まずいよ~」
「次はカットしないと~」
直史はおそらくこの試合、次の最後のボールのためだけに、全てを組み立ててきた。
逆に言えば次でしとめられなければ、大介を打ち取れる組み立てにはならない。
この一球に、直史は全力を込めるだろう。
ここを上手く切り抜けてしまえば、逆に大介が勝てる。
だが、それは大介もしないだろう。
打てるコースに投げられれば打っていく。
直史は大介に対して、敬遠はしないという縛りの中で戦っているのだ。
それなのに下手にカットするなど、この場面ではありえない。
そして直史の、最後のストレートが投げられる。
大介の打ったボールは、角度が悪い。
「風!」
「吹け!」
メトロズのフランチャイズは、風の影響が両方に強く出やすい。
ただここで神は、完全に中立であった。
そしてフェンスの向こうまでは、ほんの少し足りない。
左右のどちらかに打っていれば、充分に届いただろう。
だが大介は、真正面に打ってしまった。
直史の勝ちだ。
前の三打席、全てでヒット性の当たりを打たせて、この最後の打席だけを打ち取った。
それでも運の偏在があれば、ホームランにはなったのかもしれない。
だが普段のような打球が打てなかったことで、その点では間違いなく大介の負けである。
次は来年。
そう思っていた二人は、直史がうずくまるのを見た。
球速が明らかに、限界以上出ている。
それもまた大介を打ち取るのに必要だったのだろうが、肉体が耐えられなかったのか。
ただ抑えている部分は、肩や肘ではない。
立ち上がって、自分でベンチに戻ることが出来る。
二人はもう、それ以降の試合などどうでもよかった。
瑞希や球団それぞれに連絡を取って、直史とは病院で合流した。
なぜか大介までついてきていたが、考えてみれば親戚なので、別になぜかというわけでもなかった。
肩や肘ではなく、股関節でもない。
また背中の張りなどでもなく、左の脇腹。
なんでそんなところを、という故障であったが、まあそれこそが限界まで投げたという証明なのだろう。
選手生命に関わるような故障ではない。
そう言われて大介は、チームの元へと帰っていった。
椿が子供たちを見ているので、桜がこちらには来ている。
兄妹二人になって、ようやく桜は言うことが出来る。
「お兄ちゃん、もう限界じゃないの?」
「否定はしない」
ワールドシリーズではなく、レギュラーシーズンでも大介と当たっていたら。
もしそうであれば、大介はワールドシリーズの直史に、対応できたのではないか。
ただ第五戦では、パーフェクトで敗れている。
それだけに直史の限界がどこなのかは、桜であっても判断が難しいところであったが。
「あと二年だからな」
直史としては、そう言うしかない。
それにその二年の間に、大介と対戦するならワールドシリーズ。
普通ならばワールドシリーズでも、先発三回はありえない。
もっとも直史だからこそ、やってしまったとも言えるが。
男同士の関係というのは、どうしても女には分からないものがある。
別に二人とも、お互いが憎いわけではない。
むしろ親戚として、普通に接することが多いのだ。
高校時代や国際大会では、双方が共に、一番頼りになる味方だったのだ。
それなのにというか、それだからこそと言うか、大介は戦ってみたくなる。
「お兄ちゃん、負けず嫌いすぎ」
「それが約束だったからな」
「そんな約束忘れてもいいのに」
治療を受けた直史は、とりあえず今日は大介のマンションに泊めてもらうことにする。
そして明日は、チームメイトとは別にアナハイムに戻る。
桜が付き添って、瑞希の元へ送り届ける。
そしてしばらくは、病院での生活になるというわけだ。
全治一ヶ月と言われているが、実際のところは二週間ほどで大丈夫とも言われている。
ただし直史は投げない時も、ストレッチと柔軟を欠かさない。
それが出来なくなっているため、リハビリ的に体を動かすのに、時間がかかるのではないだろうか。
すると来年のスプリングトレーニングまでには、調整が間に合わない可能性がある。
そう思っていた翌日、白石家を訪れたのはセイバーであった。
直史の付き添いに、もう一人出現したわけである。
あの幻のような試合を、セイバーも見ていたのか。
合理的な彼女であっても、あの対決だけは心動かされるものがあったのか。
そしてしばらくの間、直史は自分が病院暮らしをすることとなる。
樋口からの電話があったのは、その間のことであった。
直史がこれまでに投げてきた中で、もっともキャッチャーとしての能力と相性がマッチしていたのは、間違いなく樋口である。
その樋口が、ポスティングを申請するという。
「お前、MLBには興味ないんじゃなかったのか?」
「そういうわけでもないんだ。ただメリットよりデメリットの方が上回っていると考えただけで」
だが日本での事件が、樋口のメリットとデメリットの計算を変えることとなった。
なんと愛人の一人が、樋口の息子を誘拐しようとしたらしい。
自業自得の側面がないではないが、さすがに茶化していい問題ではない。
樋口はもちろん結婚している妻帯者であるが、名古屋、神戸、広島に沖縄と、それぞれ愛人がいる。
沖縄の方が愛人と言うより、ファンの女の子を適当に食っているらしいが。
樋口の女の扱いは、本当に即物的なものだ。
ただ妻にしている女性を除いては。
長く愛人などしていると、現実が見えてくる女性も多いのだろう。
その中の一人が何をとち狂ったのか、樋口の血を引く子供をほしいと思った。
完全に事件であるが、一応は表ざたになってはいない。
ただこの一件で、さすがに樋口の妻は参ってしまったらしい。
環境を変えるべきだと樋口は判断したのだが、FAまではあと一年。
国内の球団でも、セであれば普通に愛人がいる土地だ。
そこでMLBへのポスティングを考えたらしい。
元々引退後のコネクション作りのために、MLB挑戦というのは選択肢の一つにあったそうだ。
ただ今まではその、天秤が日本に残る方に傾いていた。
しかし今回の事件で、アメリカへの逃亡を図っているということだ。
マスコミから逃れるため、大介がアメリカに渡ったのと同じノリである。
もっともこちらの方は、かなり樋口の自業自得が大きいと思うが。
さっぱりとした付き合いの出来る女性を、樋口は選んだつもりであったのだろう。
だが人間というのは、良くも悪くも変わるものだ。
なんだかんだ言って、妻以外には自分の子供を産ませようとしない樋口。
それはまあ、愛人の執着が変な方向に行くのも分かる。
しかし女性関係をリセットするために、アメリカに渡る。
直史としてもどうしようもない、ひどい男だとは思う。
そして樋口はアナハイムかロスアンゼルスを候補にしているらしい。
だがアナハイムには坂本がいるではないか。
「坂本はトレードか何かで出るんじゃないか?」
「FA権は来年だったような」
もしもFAになれば、坂本の年俸は跳ね上がる。
その前にトレードして、いい若手を取りにいくというのも一つの戦略だ。
ただ樋口もまた、年俸はかなり高い選手になるのではないか。
日本人キャッチャーを取るというのは、かなりの冒険だと思えるのだ。
だからこそ樋口は、アナハイムかトローリーズを選ぶわけか。
アナハイムには直史が、トローリーズには本多がいる。
日本人ピッチャーを一番上手くリード出来るのは、日本人キャッチャーだということか。
これ以上どうやったら、直史の成績を上げられるのかという疑問はあるが。
「まあ年末はそっちに戻るし、少し話そうか」
11月の終盤にならないと、直史の体が空かない。
しかし確実に正月は日本の実家に戻る直史である。
樋口も今年は、チームの中の三冠王であり、そして打率はリーグ首位打者、打点はリーグ二位と、完全に打撃でもスペシャルな成績を残した。
キャッチャーとしての能力は、盗塁阻止率から見ても高い。
ただ日本とアメリカでは、キャッチャーに求められる能力が違う。
あるいは打てたとしても、コンバートなどが持ち上がるかもしれない。
樋口は身体能力が高いので、やろうと思えば他のポジションも出来るのだ。
直史としてはチームの人事には、全く口を出すつもりはない。
ただ来年も最大のライバルになるかもしれないメトロズに、武史が入りそうな動きらしい。
この段階で明かしてもいいのかと思うが、セイバーは「バレなければいいんです」というのみだ。
佐藤兄弟の投げあいを、MLBで見たい。
ただ単に投げ合うだけなら、同じニューヨークでもラッキーズがいいのではと思うのだ。
メトロズは上杉が抜ける他、何人かの契約が切れる。
あまり去年は関心のなかった直史だが、メトロズは契約の再延長というのは、かなりシビアなチームである。
上杉の獲得のために、若手の有望株をかなり放出した。
なので来年のためには、FA選手を金を出して取っていかなければいけない。
武史はおそらく、MLBではあっさりと適応するか、ものすごく苦労するかのどちらかだ。
これまで日本流らしく、判断の多くをキャッチャーに任せてきたのが武史だ。
とくにこの数年は、樋口と言うNPBでも屈指のキャッチャーと組んできた。
その外付け演算装置がなくなった時、数字がどう変化するのか分からない。
なるほど確かに、MLBはシーズンが終わっても、面白いのだなと直史は思った。
NPBでも契約更改はあるが、最近ではあまり球団と選手が揉めることは少なくなってきた。
かつての丼勘定ではなく、各種数値で評価するようになってきたからだ。
実際に武史も、ポンポンと景気よく判子を押していたらしい。
直史の場合はかなり特殊なので、全く参考にならないが。
やがて本格的な冬が来る前に、直史一家は日本へと戻る。
アメリカで生まれた明史にとっては、初めての日本。
カリフォルニアに比べて11月の日本は、ずいぶんと寒いであろう。
そのあたりも本当なら、合わせておいた方がいいのだが、アナハイムと日本では、かなりの気温差がある。
もう少し早めに帰国すれば、上手く気候の変化に合わせられたのだろうが。
とてつもない記録が、いくつも達成された一年が終わった。
選手たちは次の一年へ体を休めるか、あるいは次のチームを探すか、もしくはさらなる進歩のためのトレーニングに入るか。
まずはあの懐かしい実家に戻って、年末年始を過ごすのだ。
球団のフロントなどは、むしろこの時期に大きく働くらしいが。
直史の場合は三年契約でトレード拒否権もあるので、何かが動くはずもない。
しかし来年には、大きくチームが変わっている可能性はある。
(もう少しだけ得点力がほしいかな)
来年、連覇という名誉を狙えるのは、MLB球団全てのうちで、アナハイムの一つだけ。
オーナーやGMは、そのあたりをどう考えているのだろう。
考えても仕方のないことは考えない。
だが直史の予想通りに、それなりにチームは変貌していく。
直史がそれを知るのは、日本に戻ってからのことであった。
第三章 了
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