第3話

「あ、そろそろ集合時間だ」


俺は時計をみて、集合時間まで近いということに気づく。


「先輩、楽しんでるといいな」


俺は少し笑ってから、集合場所のホテルへと急いだ。


◆◆◆


「はーい、みなさんこれからバーベキューまでのあいだ、各自部屋で休んでいてください」


全学年が集まるとなると、かなりおおい。


たくさんの人が「はーい」と答えて、友達同士で部屋に戻っていく。中にはペア同士も。


俺も先輩を探したが、どこにも見当たらない。


探していると、いつも先輩が仲良くしているグループの人たちが真っ青な顔をしながら先生に話しかけた。


俺は思わず耳を立てた。


「先生、大変なんです。天音が……いないんです!」

「「え?」」


先生と俺の言葉が重なった。


俺の言葉はおそらく聞こえていないだろう。


だが、俺も先生も顔が真っ青になっていた。


天音先輩が、失踪…?


「大変だわ!今、スキー場は吹雪なのよ!まあ、初心者コースとかのほうは大丈夫だけど……探すわね。あ!霧島くん!」

「はい!」


先生に呼ばれて、俺は背筋をぴんと伸ばした。


「あなた、高橋さんのペアよね?高橋さんが、いなくなってしまったの……」


ついに俺は、心配と不安、希望があふれてしまった。


「俺、探しに行ってきます!」

「え⁉ちょっと、危険なのよ!戻ってきて!」


先生が俺を呼んでいるけど、そんなの関係ない。


先輩が、先輩が……死んでしまうのかもしれないのだから。


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