第148話 トリックスター
一試合で二度の三振。
実は大介はMLBに来てから、一試合に三回以上の三振を喫したことがない。
そして実は二度の三振も、一試合しかない。
これは記念すべき、二度目の二三振だ。
常識的に考えて、これだけ三振が少ないのは、スラッガーとしては異常なのであるが。
とんでもない長打力を持つアベレージヒッター。
大介の本質は、こちらにあるのかもしれない。
武史の奪三振もとんでもないが、直史もこれで九つ目の奪三振。
六回が終了した時点で、被安打一の敬遠四球一という、また恐ろしい数字を残している。
このペースで完投すれば、またもマダックス。
だが連投で、果たして最後まで投げきることが出来るのか。
ベンチに戻ってきた直史は、すぐに水分と塩分、そして糖分を補給する。
一番は糖分で、脳へのエネルギーを回復させる。
脳を動かして、肉体を操作し、そして相手の打線を封じ続ける。
目を閉じて、これ以上の情報を、脳に届けないようにする直史。
その姿を見て、このイニング先頭の樋口は、どうにか武史を引き摺り下ろそうと考える。
九回まで一点差を守って、勝つというのも一つの手段だ。
だが九回の裏の最終打者に大介が回ってくれば、ホームランを打たれる可能性もある。
そしてその可能性は、決して低くはない。
おそらく5%ぐらいはあるのではないか。
たったの5%と思うかもしれないが、5%の確率で追いつかれてしまうのだ。
そしてこの5%というのもあくまで感覚で、実際にはもっと高いかもしれないし、低いかもしれない。
最終戦に、勝ったらワールドチャンピオン。
一発勝負の感覚に近い。
樋口はどうにかして、あと一点が取りたい。
武史とバッテリーを組んだ期間が、一番長いキャッチャー。
それが樋口であるのだから。
そして樋口には、ほんのわずかにではあるが、武史の弱点とも言える部分が分かっている。
それは強烈なバックスピンをかけているだけに、ボールの持つエネルギーが大きいということ。
スピンの回転からしても、ジャストミートすれば飛んで行くということ。
上杉の方が武史よりも、ホームランを打たれていない理由。
それは単純に球速で上回っていたからということもあるが、球質の問題でもあったのだ。
上手く合わせることが出来たら、ボールはかなり遠くまで飛んで行く。
ターナーほどのパワーはない樋口だが、NPBではトリプルスリー、MLBでも20本を打っているのだ。
パワーとスピード、などと別のことのように言われる。
だがパワーはスピードであり、スピードはパワーなのだ。
質量とエネルギーの関係を示す、おそらく世界で一番有名な公式。
エネルギーは質量と速度の二乗から導き出されるというもの。
実際には反発力などもあるが、バッターの使うバットとボールは、基本的に全て同じだ。
下手にパワーをつけるよりも、正確にバレルで捉えることの方が重要なのだ。
だが武史のこのスピードを、樋口が正確に捉えられるかどうか。
よりスピードを高めたスイングで、強引に持っていくしかないのか。
考えるのはシンプルだ。
自分の中の一番いいスイングで、ボールを打つ。
ただ注意するべきは、坂本のリード。
もっともこれまでのデータを分析して、ここで投げてくるコースはある程度読める。
インコース。
ボール球でも、樋口は振り切る。
スピードに押されることなく、むしろこちらの力でボールを砕くかのように。
坂本の組み立てを、完全に読んだ形であった。
しかし打球は右方向、レフトのポールを切れていく。
武史も初回を除けば、ほとんど唯一とも言える、ファールとは言え外野のスタンドに飛んだ球。
ただキャッチャーのリード通りに投げていた武史は、別に萎縮したりはしない。
それをエースとしての矜持の不足と見るか、あるいは優れた鈍感さと取るか。
少なくとも日本の、エースピッチャーとしては珍しいメンタルなのだ。
武史が自分の意思を示すか、それとも坂本の言いなりに投げるか。
(さて、どう来る?)
単なるスピードボールなら、今度は持っていくぞ。
そう考えていた樋口に、またもインハイストレート。
かろうじて当てたボールは、バックネットに突き刺さる。
同じコースなのに、上手く飛ばせていない。
(力づくか)
樋口はバッターボックスを外して、軽くバットを振ってみる。
パワーピッチャーの中でも、最も頭の悪いコンビネーションだ。
ひたすら球威で押してくる。
もしもまたインハイに投げてきたら、確実にしとめる。
そう考えていた樋口に投げられたコースは、インハイであった。
スイングしたバットの上を、ボールは通過していった。
空振り三振で、樋口の打席は終わった。
大介を空振り三振でしとめた流れを、変える必要があったのだ。
頭の悪い配球で、あえて樋口を三振に取る。
これで樋口が少しでも、気にしてくれたら儲け物。
狙いはアナハイムの勢いを、完全に止めてしまうところにある。
三番のターナーにも、ストレートで押していく。
初回にホームランを打たれたのを、まさか忘れたわけでもあるまい。
だがホームランどころか前に飛ばすことも出来ず、最後にはチェンジアップ。
空振り三振で、この回の攻撃もツーアウト。
そして四番のシュタイナーは、キャッチャーフライとなった。
二番からの強力な打順が、三振二つの三者凡退。
なんとか追加点を、などという場合ではないだろう。
ランナーさえ出せない、圧倒的に敗北しているこの状況。
打線のこれ以上の援護が、見込めないというプレッシャー。
直史にとってはよくある話である。
メトロズはこの裏、二番のシュミットから。
大介を別にすれば、一点は取れそうな打順となる。
だがここでは直史も、状況を把握している。
球数を使っても、三振を奪っていく。
シュミットを片付ければ、ペレスとシュレンプにはフライを打たせた。
出来ることならゴロを打たせた方がいいのだが、それだけにこだわっていると、コンビネーションの幅が狭くなる。
なので二人には、あえて高目を投げたのだ。
それでも、そこまでの組み立てによって、ボールの下を叩くような組み立てはしている。
結局どちらも、点を取るどころか、ランナーを出すことさえ出来ていない。
試合は完全に、投手戦となってきている。
そして残るは2イニング。
このままであればまたも、アナハイムが1-0で勝利するのであろうか。
ワールドシリーズ、直史が四勝するならば、MVPは間違いない。
そもそも去年も、三勝してMVPになっていたのだから。
八回の表、アナハイムの攻撃。
五番からの攻撃は、三者連続三振。
バットに当てるだけが二度あったが、それもバックネットに突き刺さる打球。
まさに完全に、前に飛ばせていない状態だ。
三振を奪うパワーピッチャーは、球数が多くなりがちだという。
確かに直史に比べれば、武史の球数は多い。
しかしそれでも、ボールにまるで当たらない空振りが多い。
それによって少ない球数で、九回までは投げ切れそうである。
八回の裏、メトロズの攻撃。
先頭打者の坂本は、色々と考えている。
このままランナーが出ないのであれば、九回ツーアウトで、大介の打席が回る。
最後の打席、直史は勝負を選んでも、アナハイムのベンチがどう動くか。
最後のバッターに大介であれば、勝負しなければ暴動が起きてもおかしくない。
そしてその勝負の行方も、おそらくはアナハイム側が有利に運べる。
ツーアウトからではランナーが出ても、次のバッターを打ち取れば済むことだ。
ワンナウトからなら、三塁まで進んでいれば、ゴロやフライで帰ってくることが出来るかもしれない。
つまり、ここで自分が出塁することは、重要なことである。
そう考えていた坂本であったが、ツーストライクと追い込まれてしまった。
自分の期待していた球種とコースが、なかなか投げてこられなかったのだ。
そしてそこから、外に外れたボールが一つ。
これに対して、坂本はバットを寝かせた。
バントヒット狙い。
坂本ならば、やってきてもおかしくないと思っていた。
ファーストとサードはチャージして、直史はカバーの体勢に入る。
そんな中で坂本の当てたボールは、サードの頭を越えていった。
プッシュバントである。
そしてそのボールは、ショートが追いつく前に、サードベースに当たって転がる方向を変えた。
野球にはどうしても、運の要素が存在する。
だが圧倒的なスペック差があれば、そういったものは無視できるのだ。
坂本は自分一人で点を取るのは、かなり難しいと分かっていた。
セカンドは一塁ではなく、二塁のベースカバーに入る。
一塁はもう完全に、間に合わないのが分かっていた。
内野安打にて、坂本がノーアウトから出塁。
運が大部分を占めるが、それでもあのコースにプッシュバントを決めたのだから、それは坂本の勝利である。
今更であるが、直史の弱点とも言えないが、攻略法に近いものが少し見えてきた。
直史のボールの球速は、MLBの平均よりも遅い。
遅い球というのは、それだけバントでならば、当てるのも難しくはないだろう。
もちろん大きく変化するボールなどは、当て損なって勢いも殺せなかったりするだろうが。
ツーストライクから、ラインギリギリにプッシュバント。
坂本以外はあまりにも、リスクが高すぎると考えるであろうプレイだ。
しかし普通に打っても、ここまでランナーは一本のみであった。
それを考えるなら、博打を仕掛けても分が悪いとは言えないだろう。
坂本の一発を、バッテリーは警戒していた。
だからそれよりも、出塁を優先してくれたのは、まだマシな判断だと言える。
だがこれで最終回、大介の打順が回ってくるとしたら、ワンナウトから。
得点の可能性が、ほんの少し高くなっている。
そしてここでメトロズの首脳陣の出した作戦は、二人を驚かせた。
坂本をバントで送ったのである。
現在のMLBでは、バントによる得点の期待値の向上は、アウトカウントを一つ増やすことより、少なく計算されている。
六番よりは七番、七番よりは八番と、打撃力はどんどん低下していくのだ。
だから塁に出た八番バッターを、九番が送るのであれば、まだ理解は出来る。
しかし坂本を送って、七番バッターに期待するのか。
もちろんそれは、注意するところが違う。
坂本を一塁に置いておいた場合、直史の投げるボールであれば、内野ゴロでダブルプレイになる可能性が高かった。
だがこれでゴロを打たされても坂本は二塁に残り、大介は優位な状況で第四打席を迎えることが出来る。
大介の打席一つに、ここまで賭けられるのだ。
実際に今日のチャンスらしいチャンスは、大介のツーベースぐらいであろう。
坂本の出塁からの盗塁は、数えてはいけない。
ワンナウト二塁は、得点圏で得点のチャンス。
ただ坂本はセカンドとショートの位置を気にして、ベースから離れる距離もほどほどにしている。
七番八番という打線で、直史からヒットを打てるのか。
まさかここで、送りバントというものはないであろう。
ツーアウト三塁となれば、バッターを打ち取ればそれでいいだけ。
もちろんエラーなどでも確実に、点が入ってしまう状況になるわけだが。
そう思っていた初球、直史はカーブを投げた。
そしてそれに対し、坂本は走った。
この状況で三盗。
アウトになってはいけない坂本が、この状況で三盗。
確実性が低いがゆえに、二人ともが準備をしていなかった。
低めに投げられたカーブを、樋口は確実にキャッチ。
そして三塁ベースに入ったサードに投げるが、わずかに球が高かった。
タッチはしたものの、滑り込んだ坂本の方が早い。
今日初めて、直史は三塁に、ランナーを進ませることになった。
ワンナウト三塁。
ヒットはもちろん、エラーでもなんでも、一点が入る場面である。
盗塁に関しては、ほぼ無警戒になっていた。
セオリーどおりならまず二塁に盗塁して、それからバントで三塁に送るという方が確実だろう。
もっとも直史と樋口のバッテリーの場合、盗塁はさせても問題ない時にしかさせない。
だがまさか、こんなところで坂本が走ってくるとは。
注意の間隙を突かれたことになる。
やはり坂本は曲者だ。
「スクイズはあるだろうな」
「あるだろうが、出来るのか?」
MLBでは送りバントもだが、スクイズもあまり見かけない。
スクイズは外された時に、一気にチャンスが失われてしまうからだ。
もっともあらゆる手段を、最初から除外するのも愚かなことだ。
おそらく当初の作戦では、坂本をアウトにならないベースにまで進めるというところまでだったのだろう。
だがこの盗塁成功で、一点を取れるチャンスが巡ってきた。
とりあえずここは、追いつけばそれでいいという場面。
内野が集まって、どうするのかを考えていく。
そこで樋口は、かなり開き直った作戦を告げる。
「七番は基本的に、全部外していく」
ランナーに出ることを、許容するということだ。
「実際には高めとか、当てやすいところには投げるが」
バント失敗というのも、悪いものではないのだ。
ツーアウトにさえしてしまえば、それで問題はない。
七番は歩かせても、その後の八番と九番で、点が取れるとは思えない。
ベンチにはホームランで追いついてきた代打もいるはずだが、それを果たして出してくるのかどうか。
もしもここで追いついたとしても、まだ追いついただけだ。
守備力の低下を許容するかどうか。
「七番から九番は、バントヒットで出てることが多いんだよな」
樋口がやや疲れたように言った。
八回の裏は、もう試合も終盤だ。
守備の選手に代打を出して、また守りで守備の選手を出すということが出来る。
とにかくメトロズとしては、一点を追いつかなければいけない。
同点にさえすれば、今の武史からは、もうヒットもまともに打てないと思うのだ。
メトロズ首脳陣は、ここは確かにスクイズも考えている。
ただ坂本の足を考えると、内野ゴロでもどうにか帰ってこれるのではないか。
ゴロを打てたら、そこでホームに帰ってくる。
それでも出来なくはないのではないか。
ここで確実に外野フライが打てる代打がいるなら、確かに使っていっただろう。
そういうタイプの代打が、メトロズのベンチにはいるのだ。
だが直史の、外野フライを打たれている確率。
三振以外のアウトでは、内野ゴロが一番多い。
そして内野フライが続いて、外野までは飛ばされることが滅多にないのだ。
守備陣がポジションに戻る。
バッテリーとメトロズベンチの、読み合いが始まる。
ただその中で、坂本だけは己の、直感を信じていた。
メトロズはスクイズを狙っていたのは間違いない。
七番バッターはバントの構えを、何度も見せていたからだ。
だがまさか、坂本が走る素振りだけを見せて、一度も走ってこないとは。
明らかにベンチの指示を無視していた。
しかしそれは正しかった。直史と樋口のバッテリーは、全てのボールを外していったので。
一度でもスタートを切っていれば、ボール球からサードにボールを送り、そこで挟んでアウトに出来ていただろう。
だが坂本は走りそうな様子を見せても、結局は三塁に戻れるところまでしか、前に出てこなかったのだ。
完全に二人が、七番は全てボール球にしても、ランナーの坂本を殺すという作戦を、見抜いていたに違いない。
確かに坂本は、そういった極端な作戦を、自然と見抜いてくるものなのだ。
逆にここで坂本がキャッチャーでも、全て外すように伝えたであろう。
ワンナウト一三塁。
ただこれで、内野ゴロでダブルプレイを取れる形になった。
八番バッターも、スクイズをしてくる可能性は高い。
内野ゴロを打たれても、その打球方向次第では、三塁の坂本が突っ込んでくるだろう。
その場合はダブルプレイを取れなければ、一点が入ってしまう。
内野ゴロ、スクイズバント。
この二つの可能性が存在する。
なんなら八番まで歩かせてしまえば、フォースアウトでアウトカウントを増やせる可能性もある。
だがもしホームでアウトが取れたとしても、他のベースでもアウトが取れないと、ツーアウト満塁で大介の打順となる。
それはさすがに許容出来ない。
クリーンヒット一本を打てば、確実に一点が入る。
ツーアウトなので打球によっては、二点が入ってもおかしくない。
つまり満塁策は取れない。
取るとしたら、確実に次で、ダブルプレイを取らなければいけないのだ。
ここは意地でも無失点に抑えなければいけない場面だが、同時に一点までで抑えなければいけない場面でもある。
(三振が理想的なんだが)
バントをしてきたら、それも難しいだろう。
樋口は迷った末に、サインを出した。
初球はゾーンの高めにストレートを投げた。
これを内野フライか、浅い外野フライに打ってくれれば一番ありがたい。
だがバントの構えをしたバッターは、バットを引く。
やはりスクイズの可能性がある。
まさかこんな、下位打線で試合の動きがあるとは。
坂本のバントヒットから、こんな状況に到るとは考えられなかった。
直史としてはやはり、坂本の三盗を許したのが大きいと思う。
だがそれは全て、過去のことだ。
八番に、バントはないと思う。
七番へのボールを全て外して、坂本もスタートを切らなかった。
だがそう思わせて、あるいは初球でやってくるかもしれない。
そう思って高めいっぱいに投げたら、バントの構えをしてからバットを引いたのだ。
まさに読み合いと言える。
次はスライダーを投げて、ゾーン内に入れた。
バントをするならこの場面ではないかと思ったが、八番は小さく鋭くスイングをしてきた。
バットは打球を捉える。
サード前へのゴロで、坂本が突っ込んできた。
送球はホームへ。
わずかに前でボールを受けた樋口は、坂本に追いタッチをする。
そのコールも聞かないままに、一塁へ送球。
ホームでは審判が手を広げて、一塁では審判が拳を握る。
内野ゴロから、一点。
八回の裏、不運な内野安打から始まったメトロズの攻撃は、セットプレイを駆使することによって、ようやくアナハイムに追いついたのであった。
滑り込んでいた坂本は、ガッツポーズをして立ち上がり、ベンチで手荒い歓迎を受ける。
続く九番をあっさりと片付けた直史であったが、これで九回の裏は、大介からの打順となる。
単打はもちろん、長打も許されない状況。
そこで間違えたのかと考えれば、最初の運の悪いヒットがダメだったのか。
あるいは八番バッターに、内野ゴロなどを打たれたのがまずかったのか。
満塁策をしてでも、フォースアウトを取って大介と勝負すれば良かったのか。
全ては結果論である。
八回、試合は始まりに戻った。
そして九回の攻防が始まる。
ただこの九回、アナハイムは八番からの打順で、得点の期待値は高くない。
それに対してメトロズは、大介からの打順であるのだ。
幸運や執念が実って、メトロズは一点を取った。
そして追いついたメトロズは、明らかに優位に九回を迎えることになる。
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