第145話 プレイボール
試合が終わった。
ホームランも出たこの試合は、最終的なスコアは7-3と、やや大味な展開となった。
勝利投手は七回までを投げた直史で、これで今年のワールドシリーズ三勝。
去年から数えて六連勝の無敗である。
試合の後、選手たちはホテルに戻り、明日の最終戦に向けて、食事などをする。
わずかにアルコールを入れる選手もいるが、あくまでそれは眠りやすくするため。
ワールドシリーズの最終戦、スタメンでなくても、わずかにでも試合に出る可能性があるなら、二日酔いになどなるわけにはいかない。
ホテルの自室で休んでいると、FMのブライアンに呼ばれた。
明日は投げられるか、という問いであった。
答えはもちろん、イエスである。
メトロズに残っているピッチャーは武史なので、先発は兄弟対決になるだろう。
ロースコアゲームで勝つ。それも一点の勝負になる。
ならば直史が投げるしかない。
瑞希はアナハイムから、子供たちも連れて、同じホテルの違う部屋に泊まっている。
彼女自身はともかく、子供たちがいることで、直史が集中できないことを懸念したのだ。
直史は試合後、軽いマッサージを受けた。
ホテル近くのジムにある、酸素カプセルも使っている。
今日の試合での消耗はそれほどあるわけではない。
味方がリードしてくれたおかげで、おおよそ大介相手にも、無理をせずに投げることが出来たのだ。それでも万全に回復したい。
明日の試合はペース配分が重要になる。
それは直史だけではなく、向こうの先発である武史にしても同じことだ。
武史の十全のパフォーマンスは、おおよそ150球ぐらいまでが限界である。
そこから先は、コントロールが乱れてくる。
わずかなフォームの乱れは、スタミナも消耗していく。
これは鍛えればどうにかなるとかではなく、おそらく人間の肉体の限界だ。
169km/hという球速は、歴代でも五人ほどしか計測していない。
実際にはMLBのピッチャーとして使えない選手で、これぐらいを出したのは数人いるらしいが。
球数は抑えなければいけない。
だが単純に球数を少なくするのではなく、力の入ったボールをどれだけ投げるのかが肝心だ。
単純に球数だけなら、直史も150球ぐらいは軽く投げられる。
カーブやチェンジアップと組み合わせて使う、速球が問題であるのだ。
今でも本当に全力で投げれば、どれぐらい投げられるのかは分からない。
少なくとも去年は、致命的ではないにしろ、大介を打ち取るのには故障するほどのパワーが必要であった。
確実に打ち取れると思ったが、実際はぎりぎりであった。
今の大介相手には、確実に打ち取るなどという選択はほとんどない。
ただ、弱点も見えてはいる。
直史が自身で見つけたわけではないが、偶然にも気がついた。
そして樋口にも確認してもらって、それは確かだと思っている。
(あと一試合……)
九回を完封するのは、正直難しい。
ただ大介の勘違いを上手く突ければ、あと一試合だけならもちそうな気もする。
来年のことは考えたくない。
レギュラーシーズンやポストシーズンの間は少し考えることもあったが、来年はメトロズもアナハイムも、チーム力が落ちるはずなのだ。
直史が投げたとしても、他の試合で負けてしまえば、そもそもポストシーズンにたどり着けない。
アナハイムのGMがどう考えているかだが、とりあえずスターンバックは確実にいないのだ。
ヴィエラを引き止めるのに、金を使ってもいいだろう。
だがそのヴィエラも今年は、故障が少し多かった。
第七戦の先発に、直史を連投で投入する。
この判断は正しいかもしれないが、ヴィエラのプライドを傷つけることにはなっただろう。
打線の方はシュタイナーもあと一年あるが、ピッチャーが完全に足りないようになる。
レナードは成長してきているが、直史とレナードの二人だけになるのか。
若手のガーネットの成長にも期待したいが、それでもまだ足りない。
ヴィエラが故障中にローテに回っていた、リッチモンドを先発に回すか。
どちらにしろこのオフシーズンには、ピッチャーの補強は必須なのだ。
先発だけではなく、リリーフも増やすべきか。
勝ちパターンはかろうじて成り立っているが、ロングリリーフやビハインド展開に弱い。
樋口がいる間に鍛えておいてもらえば、今後五年はピッチャーに困らないと思うのだが。
考えていると、どうしても目が冴えてしまう。
ベッドに横になっても、自分の心臓の鼓動がうるさい。
間接照明も全て消したが、室内にはほんのわずかな光が入ってくる。
窓のカーテンのを通して、町並のほんのわずかな光が。
そして聴覚も、普段なら気にしないものまでが聞こえてくる。
鋭くなっているのだ。
だが本当に感覚を鋭敏にさせるには、まだ早すぎる。
今日の試合の名残が、体内に燻っているというのでもないだろう。
いや、両方が混じっているから、さすがにプレッシャーになっているのか?
(プレッシャーか……)
そう心中で呟いてみても、それは違う気がする。
プレッシャーと言うならば、甲子園の決勝の方が、直史にとっては価値が高いからだ。
するとやはり、相手の問題なのだろうか。
大介との勝負だ。
あるいはこれが、最後の勝負になるのか。
両チームの戦力の入れ替えで、来年はどちらもがワールドシリーズに進むのは、無理ではないかと言われている。
そもそもメトロズが三年連続、アナハイムが二年連続で、リーグチャンピオンシップを制しているというのが、非常に珍しいことなのだ。
そしてメトロズもアナハイムも、来年にワールドシリーズまで進む戦力を維持できるのか。
正直なところ両チーム。主力に致命的な離脱がなかった運の良さが、ワールドシリーズまで進めた理由である。
ワールドシリーズでスターンバックが離脱したように、もしもヴィエラと一緒にシーズン途中で離脱していたら。
もちろん新しい戦力も出てきただろうが、野球は単純な足し算で分かるものではない.
自分と大介との対決は、何かか誰かが操作したような、必然性によって成立しているように思える。
だがそれも二度あることは三度ある、とまではいかないのではないか。
もしも来年ワールドシリーズまで行けず、メトロズとの対決がないのだとしたら。
来年で契約の切れる直史は、二度と大介と対決しないこととなる。
アナハイムにいる限りは、だが。
来年で契約の切れる直史を、ワールドシリーズが狙えそうなチームに、トレートどしてプロスペクトを得るという手段が、普通なら考えられる。
だが直史は最初の契約で、トレード拒否権を条項の中に入れていた。
なのでたとえば、ボストンやラッキーズ、ヒューストンにミネソタといったあたりに、トレードされることもない。
もっともトレード拒否権であるので、直史が行使しなければ、トレードが出来るという原則はある。
だが大介にしても、メトロズが果たして来年も、ワールドシリーズまで勝ち残れるのかどうか。
シュミットとペレスにウィッツ、また新しいクローザーも確保しなければいけない。
メトロズとアナハイム、どちらもが勝ちあがらなければいけない。
確かに今年の二つのチームは、圧倒的に強かった。
だがメンバーは代わるし、そして故障しないとも限らない。
今年が最後で、来年はおまけとして、考えておいた方がいいのだ。
鬼が笑う来年のことを考えていると、ようやく直史には眠気が訪れてきた。
もっとも分厚いカーテンからも、わずかに外の明かりが見えてきている。
試合は夜からなのだ、少し昼寝をしておいた方がいいだろうか。
重要なのは、集中力を試合に合わせて最大に持っていくということ。
今シーズン、MLB最後の日が、いよいよ始まったのだ。
スタジアムに集まり、野手陣の練習が始まる。
直史はブルペンキャッチャー相手にそこそこ投げた後、樋口とも組んでみた。
「緊張感がすごいな」
口調は冷静なまま、樋口は周囲を見回す。
彼はおそらく、緊張してはいない。
MLBにおいては優勝の栄誉などは、特に目指していないからだろう。
樋口はおそらく、オールMLBのキャッチャーに選ばれることだろう。
今のMLB30球団の中で、一番確実に打てるのが樋口であるからだ。
直史と組んで全勝の記録を作ったりもした。
樋口に比べると坂本は、打率や出塁率では、少し落ちるのだ。
去年の第七戦は、メトロズはピッチャーを継投し、一点しか失点していない。
だが直史が九回途中まで完封したことで、無失点に抑えた。
しかし今年の第七戦、メトロズは武史を温存している。
去年よりも厳しい試合になるだろうと、誰もが予想しているのだ。
去年は去年で、上杉がいたわけであるが。
序盤、特に初回の攻撃で、なんとか一点は取りたい。
出来れば二点だ。二点あればどうにか、逃げ切れると思うのだ。
「序盤の攻略は考えてあるのか?」
「ストレートを狙うのが基本とは思ってるけどな」
バッターボックスに立たない直史には、点を取ることは出来ない。
サッカーのゴールキーパーがルール上はフィールドを上がって攻撃に参加してもいいのとは違い、ピッチャーは本当に打撃が必要なくなったのだ。
もちろん二刀流という分類もあるが、直史のバッティングはMLBで通用するほどではない。
NPBにおいても基本は、ぶつけられないように避けることだけは考えていろと言われたものだ。
武史の攻略法は、主に二つある。
一つは立ち上がりを攻撃する方法で、これは今までにもよく行われてきた。
そしてもう一つが、限界まで球数を投げさせるというものだ。
これに成功したのは、アナハイムの直史と投げ合った試合のみである。
武史自身が点を取られたわけではないが、コントロールが怪しくなっていって、球威で無理やり抑えつけた。
充分にスタミナがあるため、普段はこれが問題になるわけではない。
だが直史との投げあいであれば、0-0のままずっと延長が続くこともあるのだ。
13回まで投げて、直史は144球。
対して武史は、185球も投げていた。
今日の場合はまず、立ち上がりを攻める。
それで点が取れて、逃げ切れればそれでいい。
だが直史も樋口も、一点ぐらいは覚悟している。
全力で投げた場合であっても、大介はホームランにこそならないが、長打になる打球は打ってくるからだ。
チーム全体の練習を見てから、直史はクラブハウスのマッサージ室で、仮眠を少し取る。
試合の四時間前には起きて、また少し調整をしなければいけない。
そんな直史のマッサージをするスタッフであるが、なんと柔らかい筋肉だろうと感心しきりである。
直史としてはストレッチをして、ペース配分を頭の中で組み立てる。
大介とは、おそらく四打席対戦する。
取られる点数は、なんとか一点までに抑えられるだろう。
もしも延長に入ってしまえば、そこからはさすがに予想できない。
ただ武史相手であると、アナハイム打線でも充分に延長はありうるのだ。
(どこまで試合は続くのかな)
武史の調子も、考えなくてはいけないだろう。
だが今日は恵美理も見に来ているはずで、そのあたりはおそらく初回から飛ばしてくる。
スタジアムにはファミリールームというのが備えられていて、物心つく前の子供たちは、ここでシッターに預けられる。
選手たちは試合の前に、最後に家族と会って、気合を入れるというわけだ。
直史の足に抱きつく真琴。
最近のマイブームは、人間の体を登ることらしい。
右手にぶら下がれるとまずいので、早々に瑞希に引き取ってもらうが。
瑞希は既におねむの明史を抱っこして、そんな夫の様子を見ていた。
アメリカだけにキスをして夫を送るパートナーもいるが、佐藤家の価値観はおおよそ、保守的な日本人のものである。
アメリカならアメリカ流でやってもよさそうではある。
だが基本的に直史は、そういうあからさまなことを好まない。
「それじゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」
「……なんか戦場に向かう兵隊みたいな感じだな」
直史がそう言うと、瑞希もふと笑いながら頷いた。
上の子の手を握り、下の子を抱いて。
まさにそういうシチュエーションである。
直史はここからベンチへ、そしてグラウンドへ。
瑞希と真琴はスタンドの応援席へ。
選手の家族用の、最前席に近いところ。
今日は決戦ということで、空気が違っている。
メトロズの青い帽子を被ったファンが圧倒的に多いが、アナハイム側には赤い帽子を被ったファンがそれなりにいる。
両軍のスターティングラインナップが発表されていくが、驚かれたのはアナハイムの先発の直史の部分だけ。
常識的に考えれば、ここはヴィエラを先発させ、リリーフとして直史が投げるところなのだろう。
ワールドシリーズで、既に三勝しているピッチャーを、最終戦の先発に使う。
ピッチャー酷使がポストシーズンの定めとは言え、どれだけの戦力が直史一人の評価なのだろうか。
懐かしいなと思うのは、NPB一年目の日本シリーズだろうか。
樋口と武史の離脱で、まさに今のような事態になっていた。
それに比べれば今日の試合は、味方のスタメンに欠けがないだけ、まだマシと言えるだろう。
この試合は、倒れるまで投げてもいい。
体力の限界よりも先に、脳の処理能力の限界がくるだろう。
水分と糖分、そして塩分も適度に摂取しておかなければいけない。
おそらくは最も過酷な、地獄の試合になる。
大阪光陰と対戦した時、あちらには真田がいたが、大介のようなバッターはいなかった。
スターズと戦った時、あちらには上杉がいたが、大介のようなバッターはいなかった。
ライガースと戦った時、レックス打線はどうにか、ライガースのピッチャーを打ってくれた。
だがこのメトロズとの試合は、武史から点を取らなくてはいけないし、大介を抑えなければいけない。
まあ上杉がピッチャーでないだけマシと言おうか。
参考試合ではなく、MLBの歴史に残る公式戦。
ワールドシリーズの最終戦が始まる。
一回の表はアナハイムの攻撃から。
マウンドに立つ武史を眺めて、アレクはベンチの前で体をねじる。
いつもと変わらない。
普段どおりに打っていけばいい。
ただ問題は、相手のボールが105マイルだということであって。
初回の武史のピッチングは、フォーシームストレートではなく、ツーシームかカットボールの場合が多い。
そしてこれに、左打者のアレクに対しては、ナックルカーブを有効に使ってくる。
スピードにばかり意識がいっていると、チェンジアップを投げてくる。
正直なところアレクは、単なるヒットを打つのであれば、このチェンジアップを狙うのが一番楽だ。
しかしメトロズの坂本も、そのあたりは考えているだろう。
審判のコールと共に、試合が開始される。
坂本のサインに躊躇なく頷き、武史は投げてくる。
初球がいきなりナックルカーブであった。
アレクはこれを振らない。高低差のあるボールは、一応ゾーンを通っていても、ストライクとカウントされることが少ない。
ボールと宣告されて、アレクは二球目に集中する。
次のボールがチェンジアップである確率は低い。
速球が来ることは間違いないだろうが、どのボールが来るのか。
一応序盤の武史のピッチングでは、ツーシームがカットよりも多い統計になっている。
アレクはこの一打席目、ツーシームを打つことだけを考えている。
カットやフォーシームが来たら、もう見逃すしかない。
だが武史の左腕から投げられるツーシームは、左バッターの内角へと変化する。
あえてそれを打つのだ。
バットの根元であっても、ミートさえすれば内野の頭は抜ける。
左方向に打てば、大介のおかしな守備範囲で、アウトにされてしまう可能性もある。
だから右方向、セカンドの頭をちょっと越えるだけ。
ツーシームを狙って、それを打つのだ。
アウトローへのストレートも、またアウトローへ外れるカットボールも、アレクの反応を引き出すことはない。
キャッチャーの坂本としては、ツーシームを狙っているのかな、という予想はつく。
外に二球投げたのだから、次は内。
インローになる武史のツーシームを、アレクが打てるだろうか。
初回から103マイルを投げている武史。
実のところアレクは、武史の素質的には、二刀流も可能ではと思ったことがある。
同じ学年で甲子園で戦い、武史はホームランも打っている。
またプロに入ってからも、そこそこの打率を残しているのだ。
怠惰な武史は、打撃出までは貢献しようとは思わなかった。
だがフィジカル的には、あるいはアレクよりも上だったのではないか。
高校三年間、ずっと同じチームにいた。
なので他のピッチャーのスピードボールより、武史のスピードボールの方が、その軌道を憶えている。
インローへのツーシームを、アレクは素直に弾き返した。
ボールはセカンドの頭の上、ジャンプしても届かない。
ライト前のクリーンヒットだが、当たりがよすぎたことはある。
アレクなのでセーフであったが、鈍足のバッターであったら、守備位置によってはライトゴロになっていたかもしれない。
先頭打者のアレクが出塁した。
アナハイムとしては、いきなり初回からのチャンスである。
だが二番打者の樋口は、逆に考えていた。
初回でチャンスを作らなければ、おそらく武史から点を取ることは、ほとんど事故以外にはありえないだろうと。
ノーアウト一塁。
もし進塁打を打ったとして、ターナーに任せてもいいものか。
おそらく坂本のリードはターナーに対しては、ボール球を振らせるようなものになるだろう。
初回からフォアボールの危険性がある配球を、他のピッチャー相手にはしない。
だが武史は直史とは別の方向に、普通ではないピッチャーだ。
強打者との勝負にはこだわらず、あっさりとフォアボールを出すことが出来る。
直史も変な縛りがなければ、もっと大介相手に優位に戦えるのだが。
坂本の肩が強いのは知っているが、出来ればここは盗塁をしかけてほしいな、と樋口は思っている。
もちろんサウスポーの武史を相手に、そんなギャンブルは犯せない。
樋口は地力でヒットを打つか、あるいは自分がアウトになっても、アレクを三塁まで進めたいと思っている。
だがそんな都合のいい話は、このバッテリー相手には通用しないだろう。
初球から狙っていた。
初球から、わずかに外寄りのボールが投げられた。
カットボールかと思って、スイングを修正する。
カットボールなら打てるし、ツーシームならば空振りする。
だがボールはカットよりも、鋭く落ちた。
(スプリット!?)
確かに今年、試しには投げていた。
だが試合中に投げられた数は、本当に限られたものであったはずだ。
勢いのあるショートゴロに、大介はダッシュしてキャッチする。
そしてそれを二塁ベースのセカンドへ。
フォースアウトから、一塁へと送球。
樋口の足でも、ファーストが間に合わなかった。
ダブルプレイだ。
年に数回しかダブルプレイなどされない樋口が、よりにもよってここでダブルプレイをしてしまった。
武史から打てる、本当にわずかなチャンスであるのに。
武史のことばかりを、頭で考えていたからか。
(坂本は博打を打つのが得意だったか)
だからこそ、博打のスプリットを使ってきた。
あるいは既に、スプリットはかなり完成に近くなっていたのか。
それをここまで温存していたというなら、本当にバッテリーのどちらもがたいしたものだが。
武史は今年、26勝0敗。
スプリットを使わなくても、充分だったとは言える。
「やられた」
珍しくも眉根を寄せる樋口であるが、頭はすぐに切り替えなければいけない。
スプリットだったと、ターナーには伝えたが。
初回の攻撃で、一点を取るという勝利のための条件。
よもや樋口の手で、そのチャンスを失ってしまうとは。
野球はこういうことがあるのだ。
切り替えてプロテクターを装着する樋口だが、スタジアムが歓声に包まれる。
見ればターナーの打った打球が、美しい放物線を描いて、遠くまで飛んでいた。
「うわ」
こういうことがあるのだ、野球には。
ターナーのソロホームランで、アナハイムは一点を先制した。
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