第80話 基準となった男
フライを打たせるべきかゴロを打たせるべきか、それが問題だ。
佐藤直史が語った、と後に言われる野球関連の箴言であるが、もちろん本人はそんなことは言っていない。
ただ「そんなこと言ってないぞ」と否定もしなかった。適当な気分の時なら、言っていてもおかしくないことであったので。
つまり何が言いたいかと言うと、普段の直史はゴロを打たせ、それをエラーされたりイレギュラーしたりと、パーフェクトを逃すことが多い。
今日の試合に置いてはフライを打たせる傾向があり、その結果何が生まれたか。
ポテンヒットである。
その瞬間、トロントの首脳陣と選手の何人かは、安堵の涙さえも流した。
だが彼らは、まだ絶望が残っていることに気づいていなかった。
どうしようもなく心遣いの出来ない人間が、スコアを見て発言してしまう。
「サトーやられそうだ……」
サトー。
簡単に言うと強いマダックス。
最近ネットで言われてきて、急激に普及していると言うか、一部だけは大きく注目していると言うか、直史のパフォーマンスを示すその言葉の意味。
それは80球以内の完封である。
マダックスは100球未満の完封であり、技巧派ピッチャーの球数制限の極致、などと言われたりもした。
だがこの「サトー」の恐ろしいところは、81球未満という微妙な球数だ。80球未満の方が分かりやすいが、81球は特別な数字だ。
全打者を三球三振に取るという、ある意味究極のようなピッチングをしても、81球が必要になる。
それよりも少ない球数で、相手を完封するということ。
これは本当に、力の正反対の極致であると言えよう。
MLBで球数を全て記録し始めたのは、1988年からのこと。
それから81球以下での完封は、直史の登場までは九回あった。
80球未満であると六回である。
なお例外的に1988年以前だが、明らかにこれを達成しているという試合も存在する。
その試合はパーフェクトが達成されたため、例外的に球数の記録もしっかりと残っていたのだ。
直史は昨年この「サトー」をレギュラーシーズンで三回達成している。
そして今年は既に、二度達成しているのだ。
この試合でもそれを達成されたら、下手なノーヒットノーランよりも恥である。
直史がそこそこ何度もやっているので感覚がおかしくなるが、およそ半世紀の間で六回しかなかった記録である。
フライボール革命以降は三振の数が増えたため、むしろノーヒットノーランはそこそこ達成されているのだ。
だがこのサトーは……。
ボール球を振るな、という意識が浸透している。
だが直史はボール球を投げない。
前の試合ではとにかく、球数を減らすピッチングをしていた。
この試合ではある程度、三振も奪っている。
いっそのことノーヒッターの記録も破れているのだし、セーフティを狙っていってもいいのではないか。
直史のボールは上杉と違って、バントすらまともに出来ないというタイプのボールではない。
だが直史が上杉より、圧倒的に優れているのがフィールディングだ。
この試合でも弱めのピッチャー返しを、簡単にアウトにしている。
ピッチャーゴロをまたも、簡単にアウトにする。
残りアウト二つ。
二人とも三振をすれば、81球でサトー達成ならずとなる。
だがそんな消極的なことで、メジャーリーガーとしてこの先食っていけるのか。
心配しなくてもメジャーリーガーは八割が、引退後五年以内に破産するというデータがある。
だから振れよ、振れば分かるさ。
だが振れない。
ツーストライクから振っていって、ファールフライでアウト。
次の打者は小さな歩幅でバッターボックスに入る。
最後の一人となるかもしれないが、ツーストライクまではとても怖くて振れない。
そしてあっさりと追い込まれて、ゾーンへの球をスイング。
サードゴロでアウト。試合終了である。
結局球数は81球。
六度目の「サトー」達成とはならなかったが、もちろん直史本人は、そんなどうでもいいことの記録は頭になかった。
今季初の二桁奪三振であったので、そちらの方を聞かれるかな、と思っていた直史である。
だが記者の質問は最初から予想外であった。
「最近ネットなどではサトーという新たな記録が注目されてますが」
「何それ怖い」
あまり英文を読まない直史は、ネットにもさほど興味がなかった。
特に野球スポーツなどどうでもいいので、本当に知らなかった。
自分の名前がいつの間にか、形而下の事象を指すようになっている。
確かに恐ろしいことだろう。
20世紀も半ば頃などは、球数など記録していなかった。
むしろ投手の管理をするために、球数を数える必要が出てきたのだ。
それが公式記録になったのが、1988年から。
だがそれぞれのチームにはちゃんと、もっと前の記録も残っているだろう。
ともあれ81球未満の完封がサトーと呼ばれていることを、やっとはっきりと認識した。
そして直史自身が認識したことにより、この判定は野球というスポーツの、MLBの中で広がっていく。
直史以外にこんなもの、出来るピッチャーはほぼいないのだが。
なおマダックス自身の最少球数数でのマダックスは、84球であった。
点を取られた試合も入れていいなら、77球で完投というものがあるらしい。
自分の名前がこういった形で残るということは、もちろん名誉なことであろう。
直史自身は世俗的な価値観の持ち主であるので、こういったものをあえて忌避することもない。
ただいつも通りに言うだけだ。
「球数といっても、全力で投げた一球よりも、抜いて投げた二球の方が負担は楽でしょう。問題は点を取られないことなので、球数自体がどうこうとは思いません」
それは本人の認識としても本音でもあるのだが、やってることはマダックスの連発である。
「球数での投球制限など分かりやすいから使っているだけで、本来ならコーチなり監督なりが、選手の調子を見ていかなければいけない。ただ相当の指導者でも、選手の限界を正しく判断するのは難しい」
直史は自分のようなタイプのピッチャーであれば、球数の限界は150球ぐらいにすべきだと思う。
それでも全力で投げることが、どれだけあるかで継投の判断は変わるだろうが。
自分の限界は自分でも分かっていないところが、困ったものなのである。
「変に意識するようなことになって、そのピッチャーの個性が失われたら怖いですね」
それは、今度はお茶が一杯怖いとか、そういう意味の怖いなのか?
これからも、このサトーを狙っていくのか、との質問に直史は答える。
「出来るだけ楽に、早く、疲れを残さないピッチングが、レギュラーシーズンを戦う上では必要だから」
その言葉はそのまま捉えれば、おおよそ目的とするスタイルは分かる。
それでも断言しないあたり、そして少しも笑わないあたり、直史らしいと言えるのだろう。
奪三振が多いピッチャーこそ、華のあるピッチャー。
その価値観が崩れるこの数年が、直史の活躍した時期に重なるのであろう。
トロントとの第二戦、先発がガーネットであったのは、アナハイムにとっては結果的に都合が良かった。
半死人となっていたトロントの打線に対して、ガーネットは怖いもの知らずにピッチングを開始する。
ストライク先行のそのボールは、本来のトロントの打線からすれば、それなりに攻略は可能なレベルのはずであった。
だが今日のトロントのバッターは、勝負すべきタイミングを完全に見失っている。
自分のバッティングを忘れているのだ。
極端な話、直史を打つのは何をしても打てないのだから、諦めて素振りをしていた方がいいとさえ、樋口は思っている。
無理に打ちにいって、いつもとは違うことをして、それで調子を崩したら本末転倒だ。
選手は数字を残すのが仕事で、数字を残すためには直史以外を打った方がいいのだから。
ただそこに、メジャーリーガーの意地がかかってくる。
どうやらこの意地というものが、MLBとNPBでは違うものらしい。
NPBは今でも、滅私奉公の精神がそれなりに残っている。
昔ほどではないが、犠打などを的確に使ってくる。
そういった精神性があるからこそ、完全に抑えられないために色々と工夫を凝らし、そして自分の死に対してそれほどの痛痒を覚えない。
メジャーリーガーは程度の差こそあれ、全ては金だ。
そして自分が大事なため、自分にダメージを負ってしまう。
樋口はメジャーリーガーの技術的なことは最初から理解していたが、メンタル的なことはさほど理解していなかった。
日本人とは違うな、とは思っていたがその根底にあるものは何かを分かっていなかった。
アメリカのメジャーリーガーは、辛辣に言えば資本主義者だ。ビジネスマンだ。
ただハングリー精神は強いというか、日本よりも激しい競争率のため、ハングリー精神が強い人間が上に行きやすい。
(こんな若造に、とか考えているのかな?)
樋口としては21歳になるガーネットは、チームの大エースになっていてもおかしくないと思う。
NPBではそこそこありうることだからだ。
MLBは育成や評価がシステム化されている。
それがある程度はいいことだとは思うが、この基準では星はプロになれなかっただろう。
あの遅い球で、史上最強の白富東に立ち向かった。
そしてプロでは貴重なロングリリーフとして、しっかりと自分のポジションを掴んでいたのだ。
まだ20代で、そして子供も二人いるとなれば、セカンドキャリアを考えるのも現実的であったろう。
球団としてはなんらかの形で残ってほしかったらしいが、星はそもそも高校野球を指導したいために、大学で教職も取ったのだ。
星とは対象的な、ガンガンと三振を奪っていこうというガーネットのスタイル。
実際にNPBならストレートのスピードは、充分すぎるものだろう。
そうは言ってもこの10年ほどで、NPBの球速も一気に上がったと言っていい。
それだけトレーニングが合理的になってきたのかもしれないが、それに真っ向から反対するスタイルで、試合を支配するのが直史だ。
結果的にガーネットも、七イニングを七本ヒットを打たれて一失点。
ただフォアボールを出していないあたり、まだ怖いもの知らずの勢いはある。
ランナーを出してから、しっかり三振でアウトを取れれば、ランナーの進塁を阻むことが出来る。
結果的に一点しか取られず、リリーフもそれに追加で一点を取られたのみ。
打線の援護で六点を取って、6-2と見事に勝利。
マイナーから上がってきたピッチャーが、スムーズに先発で二連勝。
もっとも樋口としては、早くヴィエラに戻ってもらいたいな、というのが正直なところである。
「なんで?」
アレクなどは本職がピッチャーというわけではないし、MLBでも投げていない。
敗戦処理で本職以外が投げることはあっても、アレクの外野守備力が高すぎるため、下手に誰かと代えたら試合が長引く可能性があるからだ。
「ペース配分だな」
同じピッチャーの直史としては分かるし、そしてその通りである。
今のガーネットは念願のメジャーロースターから先発ローテーション入りして、結果を続いて出した。
しかしそれは相手が慣れていない段階で、アドレナリンを出して球威を上げて投げているからだ。
おそらくこのまま投げ続ければ、突然に故障する。
せめてローテに入れるにしても、普段はリリーフとして使った方がいいだろうという考えなのだ。
もちろん自身の力で、ずっとローテにいる可能性もある。
ただ完全にローテを回すには、まだまだ力不足だと思っているのだ。
ヴィエラが離脱して、まだ半月も経過していない。
だが同じく新人のはずの樋口は、NPBでの長い経験がある。
このままではまずいだろうな、というのは経験的に分かるものなのだ。
次代の主戦かと思う中も、これまで通りにローテは動いていく。
第三戦はスターンバックが、ダメージの残るトロント打線をさらに攻める。
今年のアナハイムは去年以上に、投手を含めた守備力が高い。
特にアレクの守備範囲の広さも考えて、直史はフライを打たせることも選択肢に入れている。
もっともそれが外野にまで届かず、内野フライにばかりなっていたりするのだが。
この日のスターンバックも、ゴロを打たせることが多い。
それでも鋭いスライダーなどは、空振りを取るのに使える。
今季完封をしたものの、その次の試合ではやや立ち上がりに難があったスターンバック。
だがここまでくると、かなり安定して投げることが出来る。
打線の得点力が上がっていて、とにかく先発が勝ち星がつくようになっている。
それでいてちゃんと、失点は昨年ともほぼ等しい。
絶対の守備力はほぼそのままに、そして得点力は上昇。
この試合の前までに16勝3敗というのは、去年をも上回る成績である。
アナハイムファンはかなりいい気分をするために、スタジアムへ足を運ぶことになる。
余裕を持った応援は、選手にも好影響を与える。
七回までを二失点でリリーフ陣にチェンジ。
打線もここからさらに援護を加えていく。
とにかく今年は先発五人で、負けを記録しているのが、ヒューストン戦で蓮池と投げあったマクダイスのみ。
それでもクオリティスタートは達成しているので、評価が落ちるということはない。
ただポストシーズンまで進めば、必要なのは計算できるピッチャーではなく、勝てるピッチャーだ。
去年のワールドシリーズ、スターンバックは負けていたが、今年はどうしった試合となるだろうか。
インターリーグにおける試合で、ある程度それは明らかになるのかもしれない。
三連勝で17勝3敗。
四連戦なので、次を勝てばスウィープである。
四戦目の先発はレナード。
アナハイム側としては、どんどんと成長してきて、先発の柱の一つに数える日も近い。
樋口などから見ても、こちらのレナードの方は、安定して勝てるように見える。
もちろんそれは、レナードに去年の経験があるからではある。
ピッチャーとしての素質や実力に、シーズン序盤の今では、それほどの差は見えない。
MLBほどタフではないが、NPBも年間に143試合を行う。
そしてその中でピッチャーはローテを守って投げていくのだ。
やがてシーズンも暑い時期に入ると、それだけコンディションの維持が大変になる。
大学時代も直史と樋口は、シーズン以外は野球部に入り浸りなどということはなかった。
むしろシーズン中でさえ、野球部には行っていない。
さすがにピッチャーを把握する樋口はそれなりに行っていたが、直史がトレーニングのために利用したのは、大学外の施設。
それでも二人とも、プロの夏場にバテることはなかったのはなぜか。
簡単な話で大学の練習は、体を慣れさせるのには役立つものの、本質的には体力を増しているものではなかったからだ。
直史などはそれに加えて、入団前の半年間で、とにかく徹底的に合理的にスタミナを増やした。
元々高校時代から、体力強化と体力の温存には、注意していた直史である。
ただ、大学時代のチームメイトが見れば、世の不条理を感じただろう。
別に試合で使ってもらわなくても構わないし、プロに行く気もなかった二人。
プロを目指す皆さんは、あるいは惰性で野球をする皆さんは、野球を頑張ってトレーニングしてください。
そんな二人の学年からは、他にもプロ野球選手が出たが、MLBにまで到達しているのは二人だけだ。
この二人の、ある意味才能と言える部分が、他の選手よりも突出していたというのはあるが。
第三戦まで落としていたトロントは、まだ混乱の中にある。
自分のバッティングを見失って、それをわずか数試合で取り戻すのは難しいのだ。
おかげでベンチメンバーがスタメンとして出て、機会を与えられることはあった。
MLBのサブメンバーは、普段のスタメンと比べても、劣っているわけではない。
ほんのわずかな差で、スタメンとしては出られない。
そのほんのわずかな差が、絶対的な差であるのかもしれないが。
メジャーの舞台では出場機会が少ないために、データが充分に取れていない選手もいる。
それがなければスターンバックの投げた試合も、もっと楽なリードが出来ただろう樋口である。
これ以上の楽など贅沢かもしれないが、本番で楽をするためには、その事前準備はより苦労しなければいけないのだ。
第四戦のレナードは、これまたいいピッチングをしていく。
連打で一点を取られたり、ソロホームランで一点を取られたりはするが、ランナーのいるところでホームランを打たれないのも、運がいいうちに入るのだろう。
そして打線は今年、平均で六点近くを取っている強力打線。
メトロズほどではないが、初回の先頭打者として、アレクが出塁を意識しているため、相手のピッチャーは立ち上がりが上手くいかない。
二打席目以降は自由に打っているので、ヒットの数も増えていく。
長打力はさすがに大介と比べることも出来ないが、樋口と共に恐怖の一番二番打者となっている。
どちらも塁に出したら、本当にめんどくさいバッターである。
走れるキャッチャーというのはなんなのか。
坂本もキャッチャーの割には走れたが、樋口はさらにその上を行く。
30ホームランに30盗塁も出来ればいいかな、と本人は考えているが、実際のところはそこまでの数字は必要ない。
続くターナーはランナーにピッチャーの意識が向かっていれば、打ってしまえるバッターなのだ。
まだまだ四月ではあるが、ホームラン数にはア・リーグの二位。
ターナーも走れないバッターではないので、アナハイムの上位の機動力野球は、かなりの脅威となっている。
もっともこの時期からあまり走りすぎると、途中で怪我をする可能性もあるが。
アナハイムは第四戦も7-2で勝利し、トロントをスウィープした。
やはり大きかったのは、初戦の直史のピッチングであろうが、それでも安全にアナハイムは勝つことが出来た。
七回までを投げるピッチャーが、多くても二点までに抑える。
そしてその後はリリーフがしっかりと〆る。
先発陣に勝ち星がどんどんとついていき、どこからか高笑いが聞こえそうな雰囲気すらある。
そんなトロントとの試合を終えたアナハイムは、次にはまたホームでの、オークランドとの試合を行うのである。
オークランドはアナハイムの開幕初戦の相手であり、そして直史はここでマダックスという名の「サトー」を達成した。
ヒット一本を打たれながらも、そのランナーも殺して76球での完封。
去年もひどかったオークランドであるが、今年も全く勝てていない。
チーム解体で今年はもうポストシーズンなど諦めているが、それだけにどんどんとスタメンが変わっているらしい。
このオークランドとの第三戦で、直史の登板が回ってくる。
ただそこまでの二戦は、アナハイムが連敗したマクダイスと、リリーフデーの日。
どれだけでたらめに負けていても、ここぐらいは勝てるのではないか。
あるいはこの対戦においては、さすがに負けるのではないか。
結論から言うと、まずマクダイスは負けなかった。
そもそも前回の敗北にしても、六回まで三失点と、それなりのピッチングはしていたのだ。
マクダイスが負けたのは、蓮池との投げあいに負けたからである。
ただ今度のオークランドのピッチャーは、蓮池ほどのスペックではない。
またアナハイムの他の打者にしても、昨年も対戦経験のあるピッチャーであった。
同じ地区のアレクとしても、しっかりとここまで対戦してきている。
よってまず得点力で相手を上回ることが出来る。
そしてなんとか六回までを投げたなら、そこからはたっぷり休んだリリーフ陣が、久しぶりの接戦に気合充分で挑む。
今年は圧倒的な勝利が目立つアナハイムだが、やはり接戦は経験しておいた方がいい。
ポストシーズンならずとも、レギュラーシーズンに重要な試合は存在する。
そしてポストシーズンに至れば、より一点差の厳しい場面は増えるだろう。
去年のポストシーズンは、ワールドシリーズまではスウィープで勝利したアナハイム。
だがワールドシリーズは本当にぎりぎりの勝利で、メトロズが勝ってもおかしくなかった。
さらに今年は去年と違い、決戦用兵力がもう一人いる。
ここでの戦力差というものが、果たしてどれぐらいあるのか。
レギュラーシーズンでの対決で、それはある程度分かるだろう。
ともかくマクダイスは六回までを、三失点で投げきった。
打線はそれまでに四点を取っていたので、勝利投手の権利を持ってのリリーフへの継投である。
MLBにおいては勝ち星というのは、もうあまりピッチャーの能力を判断する基準にはならない。
だが責任投球回までを投げるというのは、間違いなく評価の対象になる。
オークランドのチームは、ボロボロということもあった。
だがそれでもちゃんとした力がないと、確実な勝利というのはつかめない。
最終的なスコアは5-3でアナハイムの勝利。
オークランドのチームは、もうメンタルはボロボロかもしれない。
もっとも今年のアナハイムを五点までに抑えたので、投手陣の事情はそれほど悪くないのかもしれない。
負けているチームからこそ、次代の新しいスターは登場するものだ。
第三戦は直史が投げるため、リリーフ陣を継投させる第二戦は、どうしても勝っておきたいオークランド。
アナハイムとしてはこの第二戦も、リリーフ陣の具合を見るのに重要な試合となる。
次の試合で直史が投げるということは、つまりリリーフの必要はまずないであろうということ。
あったとしてもせいぜい、勝ちパターンでのリリーフ継投。
このリリーフデーにおいては、キャッチャーのリードと判断が重要となる。
FMはどこへ行った?という感じで第二戦が始まる。
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