第60話 純粋
七回の表が始まる。
事実上この試合の、最後の山になるだろう。
イニングの先頭打者が、一番の大介。
ここを抑えてしまえば、パーフェクトを達成する可能性すらある。
ただし一人でも、それこそ大介がヒットでも打てば、それだけでパーフェクト阻止どころか四打席目が回ってくる。
二打席あれば一本はヒットを打てるだろう。それぐらいに大介が目算を立てても、彼の成績からすれば傲慢でもなんでもない。
もっともホームランを打ってさえ、大勢に影響はない。
直史としてもこの試合、勝敗自体は決したと思っている。
なので後はどれだけ、この勝利を有効に使うかが問題だ。
大介との対決は、あと二打席あると考えておいた方が現実的だ。
単打であれば大介は打ってくるはずだし、そろそろ打球が野手の正面に飛ばなかったり、イレギュラーやファンブルが起こってもおかしくない。
一人でも出れば、大介の第四打席が巡ってくる。
大介と観客は楽しいだろうが、直史としては疲れるだけである。
正直、大介に通用しそうな切り札は、全て使い切ってしまった。
四回の表の時点では、まだ一点差であったため、用心しすぎてしまったのだ。
あくまでもこれも、結果論でしかない。
だがここから先は上手い組み立てを見つけても、それを使うのは避けたい。
最終的にワールドチャンピオンになれるなら、ここで全てを出し切る必要はないのだ。
ただここで大介までも完封してしまうことで、メトロズにダメージを与える意味はあると思う。
そのあたりの判断は微妙なのだ。
ここから連戦があるなら、メトロズを徹底的に折っておく意味はあると思う。
ただそれでも、大介は折れないとは思う。
それに移動日が一日あるため、その間にメトロズは上手くリフレッシュするのではないか。
逆にどうにか直史を打っても、その高揚感は第六戦には引き継がないかもしれない。
そもそも大介以外は、まだ誰も打てていない。
ポストシーズンに入った直史は、本当にアンタッチャブルである。大介と同じように。
トロント、ラッキーズ、そしてメトロズ。
現在の試合を入れても、33イニングで被安打2のフォアボール1。
点を取られないどころではなく、ほとんど打たれないのだ。
直史の影響力は、その試合のみならず、次の試合にまで及ぶ。
対戦相手のチームが、直史が投げた次の試合も同じである場合、つまり同じカードであると18勝2敗となっている。
つまり状態異常攻撃は、次の試合にまで引きずってしまうのだ。
もっともメトロズは直史が完封した次の試合で、スターンバックを打って勝っているが。
それでも得点はたったの三点。
アナハイムがあと少し頑張って打てば、勝っていた数字である。
ただあそこで勝っていた場合、第三戦で上杉が途中から登板し、以降をパーフェクトリリーフしてしまうという可能性もある。
本当に現実の流れというのは、後から考えればどうこうなどと、なかなか言えないものなのだ。
大介と無責任に勝負が出来る。
直史にとってもありがたい状況だ。
初見殺しを使ってしまった以上、自分の持っているコンビネーションで、大介を封じていかなければいけない。
それはやはり、実戦で試していくのに越したことはない。
統計と言うか確率的に、直史がこの試合で三点を取られることは、まずないと言っていい。
シュミットなどの厄介なバッターもいるが、それも第一戦は完全に抑えてきているし、この試合でも出塁を許していない。
ならばやはり、大介とは勝負するべきなのだ。
深く考えすぎずに、もっと単純に考える。
単純な定跡が、どれだけ大介相手に、今の自分で通用するか。
などということは考えない。
自分はそういうピッチャーではない。
力ではなく技、それに加えて知恵。
野球のまだ未解明の分野で、こっそりと暗躍する者だ。
いずれはもっと分かりやすく、同じような技術を持つピッチャーが現れる。
人間が限界を超えようとするならば、絶対に記録は破られていくのだ。
薬物などを使わずとも、大介は記録を破り続けた。
先天的なナチュラルドーピング体質とも言えるが、大介は体格面で大きなハンデも背負っている。
そしてそれは直史も似たようなものだ。
この脆弱な肉体で、巨人ばかりのMLBを戦い抜く。
人間の新たなる可能性。
それを探索し続ける限り、エースに限界はないのかもしれない。
(とは言っても、はてさて)
現実的なところでは、打ち取る手段が限られている。
アウトを取りたい。
ヒットを打たれる程度なら、もう問題はない。
だが出来れば、打ち取ったと言えるアウトが取りたい。
三振を奪うのは、大介と審判の目を錯覚させる必要があるため、かなりの難易度だ。
だが空振りよりはまだしも、見逃しの方が取りやすいか。
大介は三振をしない。
これは直史も正確には知らないことだが、NPB時代の九年間で、わずか229個しか三振をしていない。
そのうちの50個がプロ入り初年のルーキーイヤーで、九年目の70本オーバーの記録を作ったとき、キャリア二番目の36三振をしている。
そしてMLBに移籍してからは、一年目が23個、二年目が18個。
とにかく圧倒的に三振が少ないのだ。
敬遠の数も確かに圧倒的であるが、ツーストライクを取ってもそこから粘られて、結局はフォアボールで出塁ということもある。
派手なホームランに目が行くが、大介の本質は出塁の鬼だ。
アベレージスラッガーなどという変な言葉さえ生まれているのに。
そんな大介に対して直史が投じた初球は、カーブであった。
いつもの判定に迷うタイプではなく、明らかにボール球。
もっともキャッチャーのキャッチング位置では、高さはゾーンになっているというものだ。
ベースの上のゾーンは通っていない。
ただこれも下手な審判であると、ストライク判定することはある。
だがさすがにこれは、ボール判定だ。
スピードが遅い上に落差がありすぎると、審判も判断するのは楽である。
(これで落ちるボールに目が慣れていたら)
ストレートで上手くフライを打たせることが出来るか。
そうは思わない。
(今のカーブとの球速差を使う)
ツーシームをアウトローに。
ほんのわずかにゾーンから外すが、これは審判もストライクにとるかもしれない。
そのボールを大介は体軸を傾けながらも、腰の回転で打っていった。
強いドライブ回転のかかったボールは、レフト側のポールを外れてスタンドへ。
大介がレフト方向に打つ、フライ性のホームランだったが、わずかにインパクトがずれていた。
(危ないな)
ほんのわずかの差で、ポールの内側に入っていただろう。
数mは外れていたが、実際のインパクトの瞬間は、せいぜい0.1mmほどの違い。
ピッチングとバッティングの、精緻さの競い合いだ。
直史としてはもう、単体として大介を確実に打ち取る球はない。
あとは読みとコンビネーションの問題だ。
(さすがにホームランにはならないだろ)
そう考えて投げたのは、内角へのパワーカーブ。
ゾーンに入るその球を、大介は打ちに行く。
バットの捉えた球は、今度は右方向に大きな弧を描く。
パワーは充分に乗っている。
あとはコンタクトの問題だ。
ツーストライクまで追い詰めたが、いつもここからが大変なのだ。
NPB時代よりも明らかに、三振をしないようになっている。
これまでは球数をかけても、どうにか想定内に抑えてきた。
だが第六戦と第七戦、もしも対決するのだとしたら、かなりシビアな状況であろう。
舞台が大きくなれば大きくなるほど、パフォーマンスを増す大介のバッティング。
ホームのスタジアムで戦えることは、かなり大きいはずだ。
ここで大ダメージを与えても、死の際から回復してパワーアップするあたり、大介は本当に性質が悪い。
対戦すれば対戦するほど、勝っても負けてもより強くなっていく。
こちらにはもう、伸び代などないのだ。
あるとしたらそれは、コンビネーションを複雑にすることだけ。
カーブをこの打席は二回投げて見せている。
ツーシームで外に逃げるボールも見せている。
二打席目はもう、ほとんどの球種でどうにかしようとした。
一応まだコンビネーションで、どうにかなりそうなものは一つだけある。
しかしそれは本当に、最後の最後の対決で使うべきものだ。
己のピッチャーとしての生涯をかけて、その一球に込める。
そんなものはまだ、この勝ち試合で使うべきものではない。
ならばここはどうするか。
幸いなことにまだ、ボール球を投げることは出来る。
(これを打ってくれるなよ)
内角の腹に突き刺さるようなスライダー。
大介はわずかに腰を引いて、デッドボールにはならないようにした。
坂本からボールが戻ってくるが、大介の立ち位置は変わらない。
外のボールには間違いなくバットが届くだろう。
これで平行カウント。
直史の次のボールは、アウトハイのボール球。
大介はわずかに反応はしたが、バットは動かない。
フルイニングになって、ボール球は振らせるしかない。
直史が明らかなボール球を投げてくることはない、と大介は思っているだろう。
それは二人の間にある、暗黙の了解だ。
直史としてもゾーンギリギリは攻めても、明らかにフォアボールにするつもりなどはない。
プレートの端を使って、グリップを確かめる。
ここから投げるボールは、大介の心理的な死角を突いたものになるだろう。
だがそれでもなお、打ち取れるとは限らない。
残りはもう、カーブとスルーを連発するか、ツーシームを見送られてフォアボールを与えるか。
大介がわざわざ、ボール球にまで手を出してくる義理はない。
ただ試合としては、大介がヒットを打たないなら、パーフェクトはともかくノーヒットノーランは達成するだろうが。
プレートの端からホームベースの端へ、一本の線を引く。
そして直史の投げたボールは、そのやや外からリリースされる。
外角のボール球。いや、ぎりぎり内に変化してくる。
大介はそう思ったのかもしれないが、それはバッターまでの距離が半分になった時点で、既に大きく変化を開始していた。
右打者からの三振を取るためのスライダー。
その変化量を大きくしたボールが、外角から内角へ。
凄まじい変化量だが、このボールはまだ大介は見ていないはずだった。
だが体を傾けながらも、しっかりとバットを遅らせて出して、引っ張った。
打球は強く、ファーストシュタイナーのミットに収まる。
ある程度厚みのあるファーストのミットでなければ、今ので骨の一本ぐらいは折れていたかもしれない。
強打者シュタイナーだけに、なんとか反応できた打球とも言える。
なにせ受け止めた手が、後ろに弾かれるほどの勢い。
シュタイナーの顔色も、青いものとなっていた。
自分は、結局のところ運がいいのだ。
直史はそんなことを考えている。
大介の打球は今のものだけではなく、あとわずかにコースがずれていれば、野手の間を抜けていくものであった。
これであとはランナーを一人も出さなければ、大介に回ることはない。
万が一に回るとしても、おそらくはツーアウトから。
ランナーがいてもツーアウトからなら二点までしか取られない。
これで完全に試合は勝ったと言えるだろう。
ここで下手に気を抜くわけにはいかない。
二番のシュミットも、オールMLBチームの候補の一人。
大介が来るまでは、6ツールプレイヤーの代表格であったのだ。
これも直史は、粘られはしたが内野ゴロでしとめる。
そして三番のペレスとなる。
どいつもこいつも一発のある、MLBのバッターには気が抜けない。
直史から点をとるためには、どうしても一発に頼らざるをえないことがあるのだ。
もっとも実際に対戦する直史としては、アベレージを残すよりも一発を打てるスラッガーの方が料理はたやすい。
これまでは内野ゴロでしとめることが多かったが、ここでは高めのストレート。
平凡な外野フライで、スリーアウトとなった。
パーフェクトに抑えれば、もう大介の打席はない。
ただ九番にカーペンターを置いているのは、本当に今日は適切な打順だと思う。
もっとも適切なことだけをしていても、野球には勝てない。
相手の虚を突くことが、最も大事なことなのだ。
(あと二回)
六人を抑えれば、アナハイムは三勝目でワールドチャンピオンへ王手となる。
大介との対戦は、今年はあと一度あるかどうか。
(今年勝ってもまだ、来年があるわけか)
そのあたりも直史の、プロとしてはやっていけないところだ。
プロのレベルのバッターを相手に、毎年どんどんと武器を増やさなければいけない。
最初は小手先の技が通じていた相手も、そんな技術には対応してくる。
やがてどこかで、また自分もバージョンアップしなければいけない。
しかし直史の成長は、投球術しか残っていない。
無理をするなら、一応は球速の上限は上げられるだろう。
だがそれをすれば、犠牲になるものが多すぎる。
七回の裏、アナハイムの打線はメトロズのリリーフ陣と対戦するが、特に動きはない。
そして八回の表も、まだ直史はマウンドに登る。
大介に投げさせられたため、球数自体はそこそこ多めだ。
それでも普通なら、完投してもおかしくないぐらいの数字ではある。
四番から始まる打線を、しっかりと抑えきる。
ランナーは一人も出ていない。
パーフェクトを狙っているわけではない。
だが一人でもランナーが出れば、また大介と対戦することになる。
そんなことになるならば、狙ってパーフェクトをした方が楽だ。
普通は狙っても狙わなくても、パーフェクトなどそうそう出来るものではない。
それが常識であるのだが、直史の常識は世間の非常識である。
ただ球数は、もう明らかに100球は超えそうではある。
しかしアナハイムベンチは、直史を交代させるつもりは全くない。
一応リリーフは、クローザーのピアースを用意させてはいる。
それは万が一の用意であって、パーフェクトを続行中でしかも三点のリードをもらっているエースを、この舞台で代えるはずもない。
もしも代えたとしたら、地元アナハイムのファンがFMのブライアンに集中砲火を浴びせるだろう。
可能性の話としても、直史以外のピッチャーであれば、メトロズのカーペンターから続くバッターに、連打を浴びる可能性はあるのだ。
直史ならば大丈夫。
信頼を言うよりは信仰をもって、直史は望まれる。
そして八回の裏も終わり、九回の表が始まる。
ここまでに直史の投げたボールは、96球である。
それほど多くはないが、大介を打ち取るために投げたボールは、それぞれ普段よりも何割か多い負担を強いている。
七番からの打順であるが、メトロズは代打を出してくる。
当然ながら初見の直史を、打てるはずもない。
それならばまだしも、下位打線ではあっても直史の球を、経験させておけばいいであろうに。
最初の代打は三球でしとめた。
このバッターが初球打ちをしてくれれば、マダックスの可能性はごくわずかだが存在した。
しかしこれで球数は99球となり、その希望は潰える。
もっともさすがの直史も、そんな都合のいいことは期待していなかったが。
またも出てきた代打は、直史のボールをカットすることに集中していた。
最後は落差多めのカーブで見逃し三振を取ったが、その判定には不服があっただろう。
審判としても勝敗の決したことの試合で、無駄に長引かせるカット打法を良しとはしなかったのだろう。
審判だって人間なのだから、試合は早く終わってくれたほうが楽だ。
ただでさえ直史の投げるボールは、判定するのが難しいのであるから。
今日のラストバッターとなるのか、九番のカーペンター。
彼こそまさに、直史の嫌いなアベレージを残すバッターだ。
そのくせ毎年二桁近くは、ホームランも打っている。
ただそれも、ゾーンの中で勝負してくる直史相手には、内野ゴロを打つにとどまる。
ネクストバッターズサークルで見守る大介の視線の先で、スリーアウト。
ゲームセットでパーフェクト達成となった。
アナハイムが優勝に王手をかけた。
そして直史はこのポストシーズン、二度目のパーフェクト達成である。
一つのポストシーズンで、二度のパーフェクトを達成したピッチャーなど、もちろん直史が初めてだ。
ワールドシリーズに限定しても、18イニング投げて無失点。
打たれたヒットだけですら、たったの一本なのだ。
九回108球10奪三振。
二桁奪三振でのパーフェクトは、ピッチャーの実力を保証するものだ。
もはや誰かが言うまでもないが、直史はまさにパーフェクトにもっとも近いピッチャーだ。
アナハイムが優勝すれば間違いなく、直史はワールドシリーズMVPに選ばれるだろう。
もちろんそれだけでもないだろうが。
MLBの賞の中には、ベーブ・ルース賞というものがある。
ワールドシリーズで最も顕著なパフォーマンスを残した者に、送られる賞である。
基本的にMVPは優勝したチームで、ベーブ・ルース賞は負けたチームから選ばれることもある。
だがどちらも例外的に、負けたチームから選ばれることがあるのだ。
もしもチームが負けたとしても、おそらく直史はベーブ・ルース賞には選ばれるであろう。
そして優勝したなら、どちらにも選ばれるであろう。
面倒なものである。ワールドシリーズMVP一つでも充分だろう二。
直史としては、ここまできてもまだ、安心は出来ない。
三勝二敗でニューヨークにまた戻り、二回の試合を行うのだ。
第六戦で勝てればそれで終わりだが、それだけで終わるとは思えない。
ホームゲームであればメトロズの打線が、アナハイムを攻略することは充分に考えられる。
第六戦か第七戦。
試合の終盤であれば、直史がマウンドに上がる可能性は低くない。
メトロズの打線を完全に抑え込めたのは、レギュラーシーズンを通じても直史だけだ。
ピッチャーが全力を出すポストシーズンではあるが、それでも二先発の二完封というのは、尋常の枠を大きくはみ出ている。
試合後のインタビューでは、地元のマスコミは大興奮だ。
アナハイムがワールドチャンピオンになったのは、もうだいぶ昔の話。
今年はレギュラーシーズンを圧勝して地区優勝を果たし、リーグチャンピオンシップまではスウィープで勝利。
ワールドシリーズでもあのメトロズ打線を、かなり封じ込めているのだ。
二回の試合のうちの、どちらかを勝てば優勝。
ならばこの時点で、その確率だけを出すなら、75%となる。
もちろん実際には確率に頼って優勝の行方などはなんとも言えない。
だが今年最後のアナハイムでの試合は、とにかくアナハイムの勝利で終えることが出来たのだ。
チームを勝利に導いた英雄は、しかしながら馬鹿騒ぎをすることもなく、ホテル代わりになっている病院に戻る。
そこでは瑞希が、まだ眠ることなく待っていた。
今日の試合の感想を書いたノートは、PCを使ったものではない。
連想したことをつらつらと書いていって、後からまとめるためには、紙の媒体の方が優れていたりする。
その瑞希のベッドの隣で、真琴は小さなベッドで眠りに就いている。
ベビーベッドでは明史もすやすやと眠っている。
明日からニューヨークへ行き、いよいよ決戦となる。
どちらかの試合で直史は投げるだろうな、とは瑞希も思っている。
勝てそうならば第六戦、そこで負けそうならば第七戦。
おそらく一試合で、今年の直史のシーズンは終わる。
集中する直史は、別室のベッドで一人で眠る。
明史が途中で起きてしまっても、その眠りを妨げないように。
長かったアメリカでの一年目が終わる。
正確にはシーズンが終わるだけで、まだまだアメリカでやることは残っているのだが。
早く日本に戻って、明史を見せてやりたい。
そう思いながらも瑞希は、直史の偉業をまとめる。
いつかどこかで、必ず誰かが必要とするであろう。
記録は分かるが、人々の感情、熱量は分からない。
それを残していくのが、自分の役目だと思っていた。
歴史の記録者。
そんな大袈裟なものではないかもしれないが、瑞希の残したものは、現在進行形の神話とも呼ばれている。
直史に残されたのは、あと二年と一試合。
そう考えればやはりもう残された時間は短いと思えるのであった。
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