第32話 2006年~2010年

 YouTubeが2005年、ニコニコ動画が2006年に登場したこの時代、動画投稿サイトは何とかしてテレビアニメの映像をネットに上げようとする――もちろんイロイロと問題はある――者たちで溢れかえっていた。画質を落として動画を軽くして実際に上げた者も多々いる訳だが、タダで視ている連中からは「重くて視られない」「もっと軽くしろ」「ついでに画質も上げろ」と無慈悲なコメントが付いていたのがこの頃。USENが「GyaO」を開始したのも2005年らしい。


 さて2006年のテレビアニメはドンと増えて200本ほどあるそうなのだが、その中で記憶しているのは「涼宮ハルヒの憂鬱」「コードギアス 反逆のルルーシュ」「銀魂」「怪 〜ayakashi〜」「うたわれるもの」「ウィッチブレイド」「パンプキン・シザーズ」「xxxHOLiC」「BLACK LAGOON」「吉永さん家のガーゴイル」となる。例によって例のごとく「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」はだいぶ後になってから観た。


 特に「怪 〜ayakashi〜」の「化猫」は手間のかかる仕事だったのだろうが、薬売りは本当によくできたキャラクターだったように思う。「モノノ怪」(2007年)も全部観た。個人的にはもっとたくさん観たかった作品である。


 他に話題となったのはスタジオディーン版の「Fate/stay night」や、「史上最強の弟子ケンイチ」「結界師」「地獄少女 二籠」「ゼーガペイン」「ゼロの使い魔」「しにがみのバラッド。」「N・H・Kにようこそ!」など。「MUSASHI -GUN道-」は別の意味で話題となった。


 OVAは「HELLSING」「大魔法峠」など。


 webアニメとして「幕末機関説 いろはにほへと」がGyaOで放送されていたらしい。この作品は後年観たが、GyaOでは観なかったように思う。


 劇場用アニメ映画は「ゲド戦記」「パプリカ」「時をかける少女」「ブレイブストーリー」などがあった年。シリーズ作は増えすぎて読むのが苦痛になる文字数となってしまったので割愛。ドラえもん映画が復活している。


 アニメ以外の映画は「小さき勇者たち〜ガメラ〜」「デスノート」「犬神家の一族」「日本沈没」「日本以外全部沈没」「サイレントヒル」「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」「ダ・ヴィンチ・コード」など。


 2006年の特撮は「轟轟戦隊ボウケンジャー」「仮面ライダーカブト」「ウルトラマンメビウス」「ケータイ刑事 銭形雷」といったシリーズ作以外に、松竹が制作した「魔弾戦記リュウケンドー」、深夜枠の「ライオン丸G」などがあった。「など」という言葉を使えるだけの本数が放送されている訳だ。一時を思えば隔世の感がある。


   ◇ ◇ ◇


 iPhoneが発売された2007年、170本ほどあるテレビアニメで覚えているのは、「DARKER THAN BLACK -黒の契約者-」「おおきく振りかぶって」「らき☆すた」「モノノ怪」「さよなら絶望先生」「みなみけ」「ひだまりスケッチ」「ぼくらの」くらいか。「天元突破グレンラガン」「精霊の守り人」「電脳コイル」はかなり後になって観た。


 話題となっていたのは「機動戦士ガンダムOO」「CLANNAD -クラナド-」「魔人探偵脳噛ネウロ」「逆境無頼カイジ」「鋼鉄神ジーグ」「もやしもん」など。


 OVAは「ストライクウィッチーズ」「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ」など。


 アニメ映画は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」「河童のクゥと夏休み」「ストレンヂア 無皇刃譚」など。


 アニメ以外の映画は「仮面ライダー THE NEXT」「それでもボクはやってない」「大日本人」「ゴーストライダー」「トランスフォーマー」「ハンニバル・ライジング」などがあった。


 2007年の特撮は「獣拳戦隊ゲキレンジャー」「仮面ライダー電王」「ケータイ刑事 銭形海」、シリーズからは離れるが「ULTRASEVEN X」「ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル」「怪奇大作戦 セカンドファイル」の3本を円谷プロが出している。他に「キューティーハニー THE LIVE」「風魔の小次郎」なども放送された。


   ◇ ◇ ◇


 ニコニコ動画のアニメチャンネルが開設された2008年のテレビアニメは160本ほど。「RD 潜脳調査室」「黒執事」「墓場鬼太郎」「コードギアス 反逆のルルーシュR2」「夏目友人帳」「天体戦士サンレッド」「魍魎の匣」といった辺りを観ていた記憶がある。サンレッドはニコ動で観ている。つまり2008年には虫けらもアニメをネットで観るのが当たり前となっていたはずだ。これは相応の性能のPCが広く普及していたことを意味する。虫けらにハイスペックPCなど買える訳ないのだから。


 他に話題作は「鉄のラインバレル」「キャシャーン Sins」「とらドラ!」「狼と香辛料」「図書館戦争」「とある魔術の禁書目録」「鉄腕バーディー DECODE」「絶対可憐チルドレン」「マクロスF」「ファイアボール」「夜桜四重奏 〜ヨザクラカルテット〜」「仮面のメイドガイ」などがあった。


 OVAは「ルパン三世 GREEN vs RED」「獄・さよなら絶望先生」くらいかなあ。


 劇場用アニメ映画は「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」「崖の上のポニョ」「劇場版 空の境界」など。


 アニメ以外の映画は「おくりびと」「デトロイト・メタル・シティ」「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」「スピード・レーサー」「レッドクリフ」など。


 2008年の特撮は「炎神戦隊ゴーオンジャー」「仮面ライダーキバ」「ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY」に、松竹の特撮「トミカヒーロー レスキューフォース」などがあった。


   ◇ ◇ ◇

 

 2009年、webアニメとして「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」「にょろーん ちゅるやさん」などが流れていた頃、テレビアニメは160本ほどが放送されていた。記憶しているのは「けいおん!」「懺・さよなら絶望先生」「GA 芸術科アートデザインクラス」「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」「化物語」「宇宙をかける少女」あたり。


 話題作としては「戦国BASARA」「グイン・サーガ」「獣の奏者 エリン」「狼と香辛料Ⅱ」「うみねこのなく頃に」「君に届け」「鋼殻のレギオス」「バスカッシュ!」「真マジンガー 衝撃! Z編」「咲-Saki-」などがあった。


 OVAは「地獄甲子園」「ゆるめいつ」くらいか。興味を引かれる作品がほぼない。


 アニメ映画は「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」「サマーウォーズ」「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」「マイマイ新子と千年の魔法」など。マイマイ新子しか観ていないな。


 アニメ以外の映画は「GOEMON」「アウトレイジ」「カムイ外伝」「感染列島」「アバター」「シャーロック・ホームズ」「DRAGONBALL EVOLUTION」「ハリー・ポッターと謎のプリンス」など。


 2009年の特撮は「侍戦隊シンケンジャー」「仮面ライダーディケイド」「仮面ライダーW」「ケータイ刑事 銭形命」「トミカヒーロー レスキューファイアー」の他に、「古代少女ドグちゃん」があった。


   ◇ ◇ ◇


 さて2010年、12年前だ。アニメは140本くらい新規に放送されている。記憶にあるのは「荒川アンダー ザ ブリッジ」「刀語」「四畳半神話体系」「生徒会役員共」「デュラララ!!」「ひだまりスケッチ×☆☆☆」くらい。もうちょっと観ているかと思ったのだが、そうでもない。


 話題作としては「けいおん!!」「世紀末オカルト学院」「Angel Beats!」「侵略!イカ娘」「それでも町は廻っている」「探偵オペラ ミルキィホームズ」「ぬらりひょんの孫」「ヨスガノソラ」「バクマン。」「みつどもえ」などがあった。


 OVAは「機動戦士ガンダムUC」「装甲騎兵ボトムズ 幻影篇」「ムダヅモ無き改革」など。


 アニメ映画としては「借りぐらしのアリエッティ」「涼宮ハルヒの消失」「蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH」「劇場版 銀魂 新訳紅桜篇」「トイ・ストーリー3」などがあった。


 アニメ以外の映画は「牙狼<GARO> 〜RED REQUIEM〜」「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」「キック・アス」「エクスペンダブルズ」「トロン: レガシー」「ブラック・スワン」など。


 2010年の特撮は、「天装戦隊ゴセイジャー」「仮面ライダーOOO」の他に「大魔神カノン」「怪物くん」が放送されている。


 アニメ・特撮雑史と銘打ってここまで書いてきた訳だが、特撮の情報はこの2010年で最後になる。理由はこれ以後の特撮に関するまとまった情報がネット上に見つからないからだ。2010年代、という括りならWikipediaにあるのだが、各年ごとの、それもテレビの特撮に限定した情報がない。特撮の変身ヒーロー物に限定すればもう少しはあるのだけれど、まあ今回で特撮は終わりにしておく。


 この5年間に観たアニメの中で代表的な1本を挙げるとするなら、虫けら的には「DARKER THAN BLACK -黒の契約者-」になる。かつて「装甲騎兵ボトムズ」(1983年)が垣間見せた「アニメにおけるハードボイルド」を、極めて洗練されたタッチで描いたこの作品の魅力は際立っていると思う。続編は知らん。


 そんなこんなで2010年、インターネット上のアニメをPCで視聴するのはもはや当たり前の時代となったが、それでもモニター全画面でアニメを観るのはなかなか難しかった。まだメモリをガッツンガッツン載せたPCでもなければYouTubeやニコ動のデフォルト画面で観るしかない。しかし時代はどんどん動く。アニメや映画を全画面で見せる動画配信サイトが、翌年以降日本に押し寄せてくるのだ。

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