第17話 1987年
1987年、劇場公開されたアニメは20本超。かなり減ったな。この年一番の話題作はおそらくガイナックスが制作した「王立宇宙軍 オネアミスの翼」だろう。物語的にイマイチという声もあるかも知れないが、こういう感じの映画はアニメ以外なら昔からある。虫けら的には十分面白かった。だがやはり特筆すべきは絵作りか。独特の匂い立つような雰囲気の画面は抜群に目を引いた。この作品でアニメの世界は新しい「解答」を得たのかも知れない。
アニメ雑誌では「ダーティペア」も紙面を割いて取り上げられていたが、虫けらは観に行っていない。テレビ版とコスチュームのデザインを変える意味がわからなかったし。まあ、この時代に観れば面白かった可能性もある。「歌は世につれ世は歌につれ」と言うが、アニメもまた時代を映すのである。
ちょっと変則的な話題性だが、OVA「ルパン三世 風魔一族の陰謀」も劇場公開されている。声優がTVシリーズとは異なり、ルパン役は古川登志夫氏である。当時アニメ雑誌では激しく賛否両論があったのを覚えているが、Wikipediaとか読んでみると、まあイロイロあったようだ。アニメの世界も大変だ。言うまでもないが、この後のテレビシリーズでは元のキャストに戻されている。
当時18禁でこそなかったが、子供には観せられないアニメ映画として、菊地秀行氏原作の「妖獣都市」が公開された。原作からして子供に読ませられない小説だが、これをちゃんとアニメ化しており、非常に面白い。菊地秀行氏の小説はイロイロ削らねばならない部分はあるにしても、もっとアニメになってもいいと思うのだがな。吸血鬼ハンターDにせよ魔界都市シリーズにせよ。Dの2度目のアニメ映画化は2000年、それでももう22年前か。虫けらは英語版を字幕スーパーで観たのだが、これは本当に凄い映画だった。機会があれば是非観ていただきたい。
アニメ以外の実写映画では「竹取物語」「首都消失」「スーパーマンⅣ」「バトルランナー」「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」「アンタッチャブル」などがあった年である。あとついでに「紅い眼鏡/The Red Spectacles」も。
1987年の特撮番組は、東映不思議コメディシリーズの「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」、スーパー戦隊は「光戦隊マスクマン」の年。スケバン刑事の後を受けたのは「少女コマンドーいづみ」、イロイロと無理がありすぎて別の意味で面白かったが、当たり前のように打ち切りとなった。
メタルヒーローは「超人機メタルダー」だが、うーん。キカイダーがやりたかったのか、やりたくなかったのか、どっちなんだろう。結局ほとんど観なかったが。ジェームズ三木氏が作詞の主題歌は、説教臭いが悪くはない。凄く良いとも思わないけれど。
久しぶりにテレビに戻って来た仮面ライダーは「仮面ライダーBLACK」、たぶん予算的に潤沢ではないのだろうな、と正直なところ第1話から思ってしまったが、それでも「新しいライダーを創りたい」という意欲は画面のあちこちから感じる作品だった。翌年のRXはちょっと後退したと感じたものの、丸2年に渡って仮面ライダーを放送できたのは立派であろう。この後、オリジナルビデオや劇場版映画で仮面ライダーの命脈が繋がるのは、BLACKの功績が大きいと思う次第。
さて問題なのは1987年のアニメである。この年を代表する作品から話を始めると、たぶん「シティハンター」「赤い光弾ジリオン」「ミスター味っ子」の3作のうちどれかだと思う。どれも面白いのは間違いないのだが、圧倒的な部分は感じない。それでも強いて1本に絞るなら、エンディングの「Get Wild」への入り方が毎回印象的だったシティハンターだろうか。ミスター味っ子の味皇様も十分印象的ではあるのだが。
主題歌の好みだけで言うなら「機甲戦記ドラグナー」は大好きだ。ただ肝心の内容が。新時代のガンダムを目指したのかも知れないが、とてもとても。巨大ロボアニメとしては「マシンロボ ぶっちぎりバトルハッカーズ」「トランスフォーマー ザ☆ヘッドマスターズ」があったが、どれも観ていない。
藤子不二雄作品としては「ウルトラB」「エスパー魔美」があるが、この年の暮れ、藤子不二雄氏は「藤子・F・不二雄」氏と「藤子不二雄Ⓐ」氏に別れる。
他に漫画原作のアニメとしては「北斗の拳2」「きまぐれオレンジ☆ロード」「ついでにとんちんかん」「陽あたり良好!」「レディレディ!!」「仮面の忍者赤影」「のらくろクン」が放送されている。
名作劇場は「愛の若草物語」。NHKでは「アニメ三銃士」があった。他に「グリム名作劇場」があったらしいが記憶にはない。
日曜日の朝のテレビ朝日系は「新メイプルタウン物語 パームタウン編」と「ビックリマン」がセットになって30分枠で放送されていた模様。虫けらはビックリマン単体で30分枠になってから見始めたのだろうな、最初の頃のことはまったく知らない。
この年、もう虫けらは成人していたし、昔のように「アニメなら(女の子向け以外)何でも観る!」という姿勢を貫くのは難しくなっていた。アニメの制作側も、とにかく全年齢向きの作品を創るのだ、ではなく、年代ターゲットを絞った作品を出すようになった。「ドラえもん」を始めとする藤子不二雄作品は、安心して小さな子供に見せられるアニメとして確固たる地位を築いていたように思う。しかし翌年、そこに激震が走る。とうとう「アイツ」が登場するのだ。
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